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第6章
閑話・小話詰め合わせ⑨
しおりを挟む『女教師のお仕置きです。』
「あ〝ぁぁぁあカタカナ多いー…」
「もう、情けない声を出しちゃダメよ?」
俺は机にうつ伏せになり、目の前の本を睨んでいた。マリアは相変わらず教師モードで顔を膨らませている。安定の可愛さだ、いと尊し。
「だってカタカナの名前多くない?あんた誰やって人多い気が…。」
「そんな事言っちゃダメ。歴史に名を残すような事をしたから、後世に語り継がれているんです。」
「でも…」
前世で漢字名ばかりの暮らしをしてる人にとって、好きでもない限り世界史みたいなのはなかなか手こずる。大体のことは本で読んでいたので知っているが、マリアの教えてくれる事は細かい事が多く、なかなか気が滅入っていた。
「ダメだ、もう…今ここで諦めても安西先生は許してくれるよ…ホッホッホッって言って…。」
「ほら、シャキッとしなさい!ダメな生徒はお仕置きですよ!」
「マリアのお仕置きなら、それはそれで良きかな…。」
「ぐぬぬ、なかなか手強い生徒ですね…。」
「ふっ、この俺を更生させてみるが良い!」
あ、やばい。なんか楽しくなってきた。そのまま楽しもうと思ったら、部屋の扉が開いた。
「ならー」
「ん?」
「この俺の前でもそのような態度はとれるかな…?」
扉を開けたのは、まさかの陛下だった。
(ぎぃやぁぁぁあああ!なんで、覇王☆見参?!そこは『選ばれたのはアンクさんでした』でしょうが!)
「随分楽しそうだな、レイよ。」
「えぇ…はい。」
「マリアにそのような格好をさせるとは…何か最後に言い残すことはあるか?」
「いや!おr…私は指示をしてないです!」
「ひどい!レイ君、私にこの格好をして欲しいって言ったのにっ…!」
驚いてマリアを見ると、泣いた演技をしていたが少し口角が上がっていた。
(おぃぃぃいい!さっき言ってたお仕置きってこれのことか?!お仕置きどころか処刑なんですけど!『王に代わってお仕置きよ!』どころじゃないよ?!)
「マリアを辱めて泣かせるとは…レイ、何回くらい地獄を巡りたいかな…?」
(あんたら情けって言葉は知ってるかい?)
その後、ちょうどお茶を持ってきたアンクさんが陛下を諭し、俺はなんとか地獄巡りを回避した。
『ある大男の話』
皆さん、お久しぶりでず。おでダイだ、ただのダイだ。
あの誕生日の日以降、たまたま会った紅葉さんのおかげもあって毎年花を渡せてるでさ。ほんと紅葉さんには感謝しかねぇ。
ソフィアさんの仕事みだいなのは、なんだか仲間だった男の研究室?がなくなっだとかで、白紙に戻っちまったらしいんだ。ソフィアさん、すんげぇ悲しそうな顔してただ。
だから今日は、ソフィアさんが元気になれるような物を王都に探しに来ただ!んだけど…
「ここどこだ…?」
おでは来た道を忘れて、完全に迷っていだ。あたりを見ても人が多すぎて、どこに行けばいいのかわかんねぇだ。
「ダイー!」
「んだ?」
名前を呼ばれたような気がして振り返ると、紅葉さんが肉を沢山持ちながら走ってきているだ。
「紅葉さん!久しぶりだなぁ!」
「あの日以来じゃな。あの花は喜んでもらえたのか?」
「もちろんでさ!紅葉さんのおかげだ!」
「そうか、なら良かった。今日も買い物か?」
「そうなんだけんど…迷ってしまってな。それに何を買っていいのかわからなくで…。」
「なら、妾が良いものを知っておる!ついてこい!」
紅葉さんはそう言ってすぐに歩いて行ったんで、おでも慌ててついて行っだ。
紅葉さんが連れてきてくれたのは、なんだがおでが入るのは難しそうなお店だった。
「ここ…すんげぇ高そうだ。」
「そんな事はないぞ?それにな、綺麗な水魔法を使えるソフィアとやらにぴったりの物がある。」
「本当でさ?!」
「あぁ。きっとお前も気にいるはずだ。」
中に入って、紅葉さんは小物が沢山並んでる所へ行っだ。そしてものを見つけると、とでも嬉しそうな顔をしだ。
「これじゃ!」
「なんだこれ?おで見た事ないでさ。」
紅葉さんが渡してくれたのは、土台に水晶のような物が乗った綺麗な置物だ。中にはおでの住む家みだいなのがある。
「逆さにして、すぐに元の状態に戻してみろ。」
言われた通りにひっくり返して戻すと、中で綺麗な雪が舞っていた。ソフィアさんが使う魔法みたいだ。
「す、すんげぇなこれ!雪が降ってるでさ!」
「それは『すのーどーむ』と言うらしいぞ。妾が花を送った者が作ったんじゃ!」
「そうなんだか?!すんげぇな、紅葉さんの想い人は…。」
「そうじゃろ?!それにそのサイズだったら、大銅貨5枚ですむぞ。」
「そんなに安いんでさ?!てっきりもっとするもんかと。」
「レイは天才じゃからな!」
すぐにすのーどーむを買って、紅葉さんに門まで案内してもらった。
「また助けてもらっでしまっただ。ほんと、面目ねぇ。」
「気にするな。それより、早くそれをソフィアに届けてやれ。」
「わかっただ!紅葉さん、今日は本当にありがとうだ!」
おではそう言って、家に急いで帰った。
「ソフィアさん!」
「あら、どうしたの?」
「こ、これ!」
おでは家に帰って、すぐにソフィアさんに買ったものを渡した。ソフィアさんは読んでいた本を置き、不思議そうに見つめている。
「これは何かしら?何かの飾り物?」
「えっど…ひっくり返して、すぐに戻すんだ!やってみてくれ!」
すぐに水晶の中に雪が舞い、小さな雪国みたいになっていた。ソフィアさんもそれを見て嬉しそうになってるでさ。
「すごい!これを私に?」
「もちろんでさ!最近元気がなかったんで、良かったら…。」
「ふふっ、ありがとねダイ。」
「と、とんでもねぇでさ!」
「それとね、仕事は白紙になったけど1から始めるってだけよ。だから、もしもの時は助けてくれるかしら?」
「おでなんかでよければ!」
「ありがとね。」
ソフィアさんはそう言って、嬉しそうにすのーどーむを持って部屋を出て行っただ。
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