異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

文字の大きさ
上 下
118 / 210
第6章

閑話・小話詰め合わせ⑨

しおりを挟む

『女教師のお仕置きです。』


「あ〝ぁぁぁあカタカナ多いー…」

「もう、情けない声を出しちゃダメよ?」

俺は机にうつ伏せになり、目の前の本を睨んでいた。マリアは相変わらず教師モードで顔を膨らませている。安定の可愛さだ、いと尊し。

「だってカタカナの名前多くない?あんた誰やって人多い気が…。」

「そんな事言っちゃダメ。歴史に名を残すような事をしたから、後世に語り継がれているんです。」

「でも…」

前世で漢字名ばかりの暮らしをしてる人にとって、好きでもない限り世界史みたいなのはなかなか手こずる。大体のことは本で読んでいたので知っているが、マリアの教えてくれる事は細かい事が多く、なかなか気が滅入っていた。

「ダメだ、もう…今ここで諦めても安西先生は許してくれるよ…ホッホッホッって言って…。」

「ほら、シャキッとしなさい!ダメな生徒はお仕置きですよ!」

「マリアのお仕置きなら、それはそれで良きかな…。」

「ぐぬぬ、なかなか手強い生徒ですね…。」

「ふっ、この俺を更生させてみるが良い!」

あ、やばい。なんか楽しくなってきた。そのまま楽しもうと思ったら、部屋の扉が開いた。


「ならー」

「ん?」

「この俺の前でもそのような態度はとれるかな…?」

扉を開けたのは、まさかの陛下だった。

(ぎぃやぁぁぁあああ!なんで、覇王☆見参?!そこは『選ばれたのはアンクさんでした』でしょうが!)

「随分楽しそうだな、レイよ。」

「えぇ…はい。」

「マリアにそのような格好をさせるとは…何か最後に言い残すことはあるか?」

「いや!おr…私は指示をしてないです!」

「ひどい!レイ君、私にこの格好をして欲しいって言ったのにっ…!」

驚いてマリアを見ると、泣いた演技をしていたが少し口角が上がっていた。

(おぃぃぃいい!さっき言ってたってこれのことか?!お仕置きどころか処刑なんですけど!『王に代わってお仕置きよ!』どころじゃないよ?!)

「マリアを辱めて泣かせるとは…レイ、何回くらい地獄を巡りたいかな…?」

(あんたら情けって言葉は知ってるかい?)

その後、ちょうどお茶を持ってきたアンクさんが陛下を諭し、俺はなんとか地獄巡りを回避した。




『ある大男の話』


皆さん、お久しぶりでず。おでダイだ、ただのダイだ。
あの誕生日の日以降、たまたま会った紅葉さんのおかげもあって毎年花を渡せてるでさ。ほんと紅葉さんには感謝しかねぇ。

ソフィアさんの仕事みだいなのは、なんだか仲間だった男の研究室?がなくなっだとかで、白紙に戻っちまったらしいんだ。ソフィアさん、すんげぇ悲しそうな顔してただ。


だから今日は、ソフィアさんが元気になれるような物を王都に探しに来ただ!んだけど…

「ここどこだ…?」

おでは来た道を忘れて、完全に迷っていだ。あたりを見ても人が多すぎて、どこに行けばいいのかわかんねぇだ。

「ダイー!」

「んだ?」

名前を呼ばれたような気がして振り返ると、紅葉さんが肉を沢山持ちながら走ってきているだ。

「紅葉さん!久しぶりだなぁ!」

「あの日以来じゃな。あの花は喜んでもらえたのか?」

「もちろんでさ!紅葉さんのおかげだ!」

「そうか、なら良かった。今日も買い物か?」

「そうなんだけんど…迷ってしまってな。それに何を買っていいのかわからなくで…。」

「なら、妾が良いものを知っておる!ついてこい!」

紅葉さんはそう言ってすぐに歩いて行ったんで、おでも慌ててついて行っだ。


紅葉さんが連れてきてくれたのは、なんだがおでが入るのは難しそうなお店だった。

「ここ…すんげぇ高そうだ。」

「そんな事はないぞ?それにな、綺麗な水魔法を使えるソフィアとやらにぴったりの物がある。」

「本当でさ?!」

「あぁ。きっとお前も気にいるはずだ。」


中に入って、紅葉さんは小物が沢山並んでる所へ行っだ。そしてものを見つけると、とでも嬉しそうな顔をしだ。

「これじゃ!」

「なんだこれ?おで見た事ないでさ。」

紅葉さんが渡してくれたのは、土台に水晶のような物が乗った綺麗な置物だ。中にはおでの住む家みだいなのがある。

「逆さにして、すぐに元の状態に戻してみろ。」

言われた通りにひっくり返して戻すと、中で綺麗な雪が舞っていた。ソフィアさんが使う魔法みたいだ。

「す、すんげぇなこれ!雪が降ってるでさ!」

「それは『すのーどーむ』と言うらしいぞ。妾が花を送った者が作ったんじゃ!」

「そうなんだか?!すんげぇな、紅葉さんの想い人は…。」

「そうじゃろ?!それにそのサイズだったら、大銅貨5枚ですむぞ。」

「そんなに安いんでさ?!てっきりもっとするもんかと。」

「レイは天才じゃからな!」

すぐにすのーどーむを買って、紅葉さんに門まで案内してもらった。

「また助けてもらっでしまっただ。ほんと、面目ねぇ。」

「気にするな。それより、早くそれをソフィアに届けてやれ。」

「わかっただ!紅葉さん、今日は本当にありがとうだ!」

おではそう言って、家に急いで帰った。



「ソフィアさん!」

「あら、どうしたの?」

「こ、これ!」

おでは家に帰って、すぐにソフィアさんに買ったものを渡した。ソフィアさんは読んでいた本を置き、不思議そうに見つめている。

「これは何かしら?何かの飾り物?」

「えっど…ひっくり返して、すぐに戻すんだ!やってみてくれ!」

すぐに水晶の中に雪が舞い、小さな雪国みたいになっていた。ソフィアさんもそれを見て嬉しそうになってるでさ。

「すごい!これを私に?」

「もちろんでさ!最近元気がなかったんで、良かったら…。」

「ふふっ、ありがとねダイ。」

「と、とんでもねぇでさ!」

「それとね、仕事は白紙になったけど1から始めるってだけよ。だから、もしもの時は助けてくれるかしら?」

「おでなんかでよければ!」

「ありがとね。」

ソフィアさんはそう言って、嬉しそうにすのーどーむを持って部屋を出て行っただ。
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...