47 / 210
第3章
第43話
しおりを挟む屋敷に戻り、母さんにお菓子を食べようと言われたが流石に少し疲れていたので断って自室に戻った。
部屋着に着替えてベットにダイブする。
(あぁ、落ち着く…。前世でもあったけど
、旅行から我が家に帰ってくると溢れるこの安心感はなんなんだろう…。)
そのまま俺は深い眠りについた。
(ん…やばい結構寝ちゃったな…)
起きて外を見ると、少し暗くなっていた。
だが、よく見るとそこは自分の部屋とは異なり昔の日本の寝殿造のような部屋にいた。部屋はあまり正式な造りに忠実に作ったわけではないようだが、明らかにそれに似ていた。
大きい部屋の入り口には簾がかけられ、そこから見える中庭には人口の池や川の流れが作られ、紅葉の葉が咲き誇っていた。
「…ん?!どこだここ?!」
慌てて上半身を起こし、周りを確認する。やはり知らない場所だった。
「疲れてるな…ゆ、夢かな…?」
そこである事に気付いた。寝ているベットの真ん中がやけに膨らんでいたのだ。
というか足に何やら柔らかい感触が…。
「ま、まさか…これはアニメでよくあるやつじゃ…」
そう思い一気に掛け布団をめくると、俺の足元に抱きつきながら丸まっている紅葉がいた。しかも白い無地の浴衣は肩がはだけ、豊満な胸が見えていた。
「ちょっ!紅葉起きて!ていうかここどこ?!」
「……ぅん…?はっ、レイに夜這いせねば!」
「しなくていい!まだ子供だから性欲もない!!」
「なら抱きつくくらいさせるのじゃ~。」
そう言ってにじり寄り、また頰をすり寄せてきた。
いつもは落ち着く匂いがするのだが、今回は少しお酒臭かった。
「うっ…!お前お酒飲んだな…?」
「ぇえ?飲んでおらんぞぉ?」
(ダメだ、完全に酔っ払ってる。)
もう諦めて好きにさせる事にした。
「…ここどこなの?」
「そうじゃなぁ…。レイがくれたあなざーわーるどとやらじゃ!」
(いや、あげた覚えはないんだけど…)
「ってまじで?!ここが?何にもなかったのに何でこんなでかい家が?!」
「わらわがさっきから作っておっただろう~。レイとの【あ・い・の・す】じゃ!」
「あ、愛の巣って…だから丸太切ってたのね。」
「さぁ、いつ子を作るんじゃ~?」
「まだ早いです!ダメだからな!それが許されるのは少女漫画のエンディングとアニメ内ですでに成立しているカップル限定だ!」
「なんの事じゃ~?」
「とにかく戻らないと!早く扉あけさせて!エ○サに会って雪だるま作らないと!」
「わらわの扉はいつでも準備万端じゃぞ~?」
「ひ、卑猥っ!」
すると部屋の入り口に異空間の扉が現れ、ロゼッタが入ってきた。手にはごっつい武器が握られている。確か、ドラ○エとかで見た棒の先に鎖があり、鎖の先端に棘のついた鉄球があるモーニング・スターとかいうやつだ。
「やっと見つけました…。どうりで屋敷にいないわけです。エレナ様からお酒をもらいたらふく飲んで消えたと思ったらこんな所に…。」
「ちょっ!俺はなんもしてない!ほんと部屋で寝てたらここに!」
「ではその服はなんですか…?」
「服…?はっ!」
俺の部屋着は紅葉によってボタンが外されており、少しはだけていた。
「違うこれは…!」
そう言うとロゼッタはニコリと笑った。目は全く笑っていなかったが。
「そうですか…。なら、お仕置きですね。」
「ちょっ、まっ!ぎぃやぁぁぁぁあああ…」
寝殿にゲームで雑魚キャラが死んだ時のような断末魔が響いた。
部屋に戻って聞いた話によると、寝ている俺に向かって紅葉が「レイ、げーとじゃげーと」と言い続けたらしい。その結果、俺が寝言でゲートと言い紅葉の狙い通り異空間に行けたとか。
80
あなたにおすすめの小説
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる