【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第四章

第126話 ダンジョンと言えば

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 七階層から九階層も、順に。

 七階層 : トレント・木材とキノコ
 八階層 : 角ウサギ(大量)・毛皮と根菜
 九階層 : ロックタートル・甲羅とバナナ、サトウキビ

 どの魔物も特筆して強い物はいませんし、お砂糖が取れるのは良いですね、亀さんは動きが遅いので、倒さなくても採取できそうですから砦街の人達も採取しに来れるでしょうね。

 そして十階層への階段周りの魔道具を収納してから下りていくとそこには今まで無かった両開きの扉がありました。

「これはもしかしてボスがいるのですか!」

「その様ね、扉のレリーフで予想は付くけどワイバーンね。ドラゴンとはまったく違うけれど中には炎なんかを吐く種類もいる中々の強さをもつ魔物よ」

「じゃあ魔道具を仕掛けたのは九階層までの可能性が高いね。でもとりあえずワイバーンですか! くふふ。中々の知名度の魔物が出てきましたね、テラ、ムルムルにしっかり掴まって、ムルムルは僕に掴まっていてね」

 テラはこくりと頷き、ぎゅむっとムルムルを掴み、······ムルムル大丈夫?

 ぷるぷる

 大丈夫そうですね。そして扉に手をかけると凄く軽い感じにスーっと扉はほとんどひとりでに開いてしまいました。

「行きますよ! ぐるぐる! それから飛ぶ前に羽! ウインドカッター!」

 ここは草原じゃなくて大きな部屋です!

 勢いをつけて走り込みながら部屋の中央二十メートルほど離れたところで羽を広げようとしている赤褐色のワイバーンの羽めがけて二枚のウインドカッターを飛ばしました。

「避けるわよ、上にも撃ちなさい!」

「うん! 逃がしませんよ! ウインドカッター!」

 翼を閉じ避けたワイバーンは身をかがめ、跳躍してから飛ぼうとしていたので、先手のウインドカッターを撃ち屈んだ状態からさらに伏せの格好にして避けました。

「何かしますよ! 口に魔力を集めてます!」

「ブレスを吐くわ! 気を付けなさい!」

「大丈夫! 任せて!」

 ワイバーンの頬袋が膨れ上がり鼻から煙と炎がチョロチョロと出ています。ですが口を開けそうになった瞬間が勝負!

「今だ! 転移!」

 パッ

「ウインドアロー!」

 口から炎が見えた瞬間、伏せた格好の、二メートルほどあるワイバーンの頭の上に転移し、真下に向かってウインドアローを撃ちました。

「ライ! 弱点は水よ! アローじゃなくてランスを使いなさい!」

「うん! ウォーターランス!」

 ウインドアローが途中までしか刺さらなかった傷跡にウォーターランスを撃ち込む!

 ズシュンと音を立て、直径三十センチほどの穴がワイバーンの頭を貫き、ビクンと痙攣した後倒れました。

「よし後五匹! やっちゃいますよ!」

 一番近くにいたワイバーンを倒して収納。既に飛び立ってしまった五匹を見据え、こちらへ凄い速度で降下してくる黒いワイバーンの鼻先に出現させるようめがけて!

「ファイアーランス!」

 目の前に現れた炎の槍を避ける事はできず、鼻先から後頭部に槍は抜け、その後ろに同じ様に降下してきた黄土色のワイバーンも胸に当たり背中に抜けていきました。

 そしてすぐに二匹とも収納。

「良い調子よ! 残りは風、水、光の三匹よ! 油断しないでね!」

「うん! まずは風から! 転移!」

 パッ

「アースランス! 転移!」

 パッ

「ウインドランス! 転移!」

 パッ

「ファイアーランス!」

 立て続けに転移してワイバーンの頭を撃ち抜き収納しながら高さ五十メートルほどの上から地面に着にして、六匹のワイバーンを倒し終わりました。

「はぁ。やっぱり強かったですね、ぐるぐるで気絶させるには強すぎでしたし、アローとカッターで行けると思っていたのですが、流石はワイバーンさんですね」

「くふふ。そうね、あっ、ライ宝箱よ! ほら早くしなさい! 神眼! 罠もないわよ急いで!」

 見ると最初に倒した赤褐色のワイバーンがいた場所に、宝箱が出現していました。

 テラもそう言ってますし、僕もちょっと期待していましたから、言われなくても早く中身を見たいですからね。

 出現した宝箱に駆け寄り見上げるほどの宝箱です、中身を期待しない方がおかしいでしょう♪

「ん~、どうやって開けましょうかね? 足場がないですし」

「そうね、蓋のところまで手が届かないわよね」

「あっ! そうです土魔法で足場を作れば良いのですよ! ぐるぐる~、ほいっと!」

 蓋のところまで階段状に土を固めて完成です。階段を登り左手首にテラを乗せたムルムルを乗せ、みんなで宝箱の蓋に手を添えて開けました。

 少し力が必要でしたが、途中からは勝手に開いてパカッっと全開に中には二メートル四方の四角い箱が入っていました。······なんでしょうねこれは。

「あら、良いのが入っていたわね。持ち運びハウスよこれ。ライ、一旦収納して一度使ってみなさいな、使えば良いものだって分かるわよ」

「うん。収納! よし下に降りて出せば良いんだね」

「そうね、後は何か入ってないのかしら」

 テラはムルムルを掴みながら身を乗り出して覗いていますが。

「残念。持ち運びハウスだけのようね、仕方がないわ。じゃあ早くどんなのか見て、十一階層を一応見てから戻りましょう」

「うん」

 下に戻ったところに持ち運びハウスを出して、魔力を流し込むと大きくなるそうなので手で触りながら魔力を流しました。

 流した途端ギュンって大きくなって、四角の箱がログハウスに変身しちゃいました。

「おおー! 可愛いですね♪ 中に入ってみましょう♪」

「おかしいわね? もっと大きくなるかと思ったけどまあ良いわ。中を見ないとね、良い感じだったらテントからこっちにしちゃえば良いんだし」

 そして戸を開け中に入ると凄く広いリビングがありました。

「テラ。これはちょっと広すぎるね」

「そうね、空間拡張が付き物だけどライに私とムルムルならこの広さは必要ないわ。あのソファーなんて十人くらいゆっくり座れるわよね。それに廊下の先が遠いわ、これはしばらくテントね」

「ん~、そうだね。でもお風呂がありそうだから、次に一回使ってみてからだね」

 そうして持ち運びハウスから出て収納すると、入ってきた場所とは逆のところにあった階段から下りて行く事にましょう。
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