【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

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第四章

第125話 食材ダンジョン

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「思ってた通り森と草原があるのですね。あっ、あそこで何か採取していますよ」

「そうね。見た感じリンゴよあれは。問題はウォールナットラット······って言いにくいし長いわ! もうネズミで良いわよこれって! じゃあ見てみるわね、んん神眼~! あっちね。この階層にも結構いるわよ。階段近くの森にうようよいるわ」

 テラが指差す方向にぐるぐるの範囲を伸ばすと、数えるのも嫌になるほどの気配が感じられました。

 今から行くけれど、ウォール······ネズミさん。なぜそんなに増えたのでしょうかね。

 ネズミさんの魔力をぐるぐるしながら目的の森に走ります。

 途中僕の事を指差しながら何か言っているようですが、たぶん『子供がいるぞ!』とか『危ないぞ!』とかでしょうし、僕は手を振って、聞こえないでしょうが、『ネズミ倒してきますね』と言って走り去りました。

「よし、全部気絶したけどどうしようかな? この数で、一匹がこんなに······。大きい犬さんくらいでしょうか?」

「それもだけど多すぎるわね、地面が埋め尽くされてるじゃない。一匹一匹倒していたら日がくれるわよ」

 そうなのですよね、どうしましょうか······。ウインドニードルで数匹倒して見ると煙のように消えて、魔石だけが残ります。

「あっ! 土魔法でいきましょう!」

 僕はしゃがみこんで、地面に手をきぐるぐるしながら森全体に範囲を広げて行きます。

「なにをするつもり? 埋めちゃおうって訳?」

「トゲトゲです。行きますよー! ぐるぐるー、ほいっと!」

 土魔法で地面から一メートルほどの高さがある針を森中に生やし、そして消しました。

「なっ! 針地獄ニードルヘル! 戦略魔法じゃないの!」

 戦略魔法? 戦争で使うのかな?

「あっ! ······魔石は拾わないといけないのですね」

「今の魔法は、戦争などで数人がかりでやる魔法よ。まあそんな事はやれちゃったのだからもう良いわ。魔石よね。そんなの簡単でしょ? 魔力が見えるならこの森の中の魔力を帯びた魔石をぐるぐるで特定すれば収納できるんじゃない?」

「そうです! うんうん魔石にはちゃんと魔力がありますし、これなら! 収納!」

 森の外から見ても地面に転がっているのが沢山見える魔石が消え、一つも残さず無くなりました。

「よし、じゃあこの森の真ん中にある二階層への階段に向かいましょう」

「そうね、途中この森は団栗の木がほとんどね、目につくものは収納しておけば良いわよね、行くわよライ! 進めー!」

 下草の無い森なのは助かりますね、見ただけでも沢山の団栗が落ちていますし、まだまだ木にもっていますからそちらも収納しておきましょう。

「階段がありましたね。では見えているところの団栗は、収納! じゃあいきましょう」

「待って、ネズミがここからほとんど他に動かなかったのが何か分からないのよ」

「二階層に行かせたくなかったのかな? ん~、あっ、魔道具みたいなのはありますね」

 二階層への階段をぐるりと囲むように八個の魔力があります。

 階段に近付きその四隅と、その場所同士を繋ぐ線の真ん中にも少し魔力が違う魔道具が一つずつ。そして僕は四隅の一か所でしゃがみこみ、土魔法で上の土を退けました。

「流石ね。良く見付けたわ。それがネズミを発生させる魔道具ね。後ネズミを引き寄せる魔道具があるはずよ」

「じゃあこの真ん中のかな? ほいっと!」

「うんうんそれね。これは魔物を集める魔道具ね、ライ収納しちゃいなさい」

「うん残りも掘り返して、ほいっと! 収納!」

 残りの六か所を土魔法で掘り起こし、魔道具はしゅうのうしました。

「じゃあこれで依頼は達成なんだけど、その魔道具ダンジョンで作られたものじゃないわね。ライこの下の階層も調べておいた方が良いわ。誰かがここに置いたって事はこの下に何か有るって事だもの」

「うん。僕もそう思う。行こう」

 階段を下りて二階層に出たのですが、そこには。

「タイラントカウだ! それもこんなにいっぱい!」

 階段から出た場所も、その向こうに見える草原も、タイラントカウさん達がまた大量です。

 ひしめめきあうとはこの事でしょうね。

「この階層はお肉が採れそうね。見たところこのウシ達は消えずに残るわ、ライ、やっておしまい!」

「うん。いっくよ~! ウインドニードル!」

 階段のとこらから一歩踏み出した途端タイラントカウは僕たちに向かって走りよって来てくれますが、直線的に突っ込んできてくれますから狙うのも簡単ですし、少しゆっくり目に次の階層への階段の魔力がある方へ向かいながら倒して収納を繰り返していきます。

 二十分ほど歩いた時、岩の横に下への階段があり今度はタイラントカウを出す魔道具だけが埋められていました。

 次の三階層は、ゴブリンだらけで麦や豆。四階層は魔狼で果物、五階層はオークでもちろんお肉です。

 そして六階層は湿地で、そこそこ大きいツノガエルが大量です。

「所々に池って言うより水溜まりだね、あっ! あれってトウモロコシだ!」

「良いわね、後で焼いて食べれば良いわ、もう少しでお昼でしょ?」

「うん。それにツノガエルの皮は良いんだよ。水を通さないから水筒やローブにも使われてるし。本当に色々良い物が採れるしそこまで強い魔物もいませんし、凄く良いダンジョンなのに誰がこんな魔道具を仕掛けたのでしょうか?」

 六階層を攻略し終わり七階層ヘ下りる階段のそばでお昼ごはんです。トウモロコシを焼きながら思ったのは、このダンジョンはこの階層にも誰かが来て、魔道具を仕掛けたって謎ですが何がしたいのか分かりませんし、どんどん深まる一方です。


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