125 / 241
第四章
第125話 食材ダンジョン
しおりを挟む
「思ってた通り森と草原があるのですね。あっ、あそこで何か採取していますよ」
「そうね。見た感じリンゴよあれは。問題はウォールナットラット······って言いにくいし長いわ! もうネズミで良いわよこれって! じゃあ見てみるわね、んん~! あっちね。この階層にも結構いるわよ。階段近くの森にうようよいるわ」
テラが指差す方向にぐるぐるの範囲を伸ばすと、数えるのも嫌になるほどの気配が感じられました。
今から行くけれど、ウォール······ネズミさん。なぜそんなに増えたのでしょうかね。
ネズミさんの魔力をぐるぐるしながら目的の森に走ります。
途中僕の事を指差しながら何か言っているようですが、たぶん『子供がいるぞ!』とか『危ないぞ!』とかでしょうし、僕は手を振って、聞こえないでしょうが、『ネズミ倒してきますね』と言って走り去りました。
「よし、全部気絶したけどどうしようかな? この数で、一匹がこんなに······。大きい犬さんくらいでしょうか?」
「それもだけど多すぎるわね、地面が埋め尽くされてるじゃない。一匹一匹倒していたら日がくれるわよ」
そうなのですよね、どうしましょうか······。ウインドニードルで数匹倒して見ると煙のように消えて、魔石だけが残ります。
「あっ! 土魔法でいきましょう!」
僕はしゃがみこんで、地面に手をきぐるぐるしながら森全体に範囲を広げて行きます。
「なにをするつもり? 埋めちゃおうって訳?」
「トゲトゲです。行きますよー! ぐるぐるー、ほいっと!」
土魔法で地面から一メートルほどの高さがある針を森中に生やし、そして消しました。
「なっ! 針地獄! 戦略魔法じゃないの!」
戦略魔法? 戦争で使うのかな?
「あっ! ······魔石は拾わないといけないのですね」
「今の魔法は、戦争などで数人がかりでやる魔法よ。まあそんな事はやれちゃったのだからもう良いわ。魔石よね。そんなの簡単でしょ? 魔力が見えるならこの森の中の魔力を帯びた魔石をぐるぐるで特定すれば収納できるんじゃない?」
「そうです! うんうん魔石にはちゃんと魔力がありますし、これなら! 収納!」
森の外から見ても地面に転がっているのが沢山見える魔石が消え、一つも残さず無くなりました。
「よし、じゃあこの森の真ん中にある二階層への階段に向かいましょう」
「そうね、途中この森は団栗の木がほとんどね、目につくものは収納しておけば良いわよね、行くわよライ! 進めー!」
下草の無い森なのは助かりますね、見ただけでも沢山の団栗が落ちていますし、まだまだ木にも生っていますからそちらも収納しておきましょう。
「階段がありましたね。では見えているところの団栗は、収納! じゃあいきましょう」
「待って、ネズミがここからほとんど他に動かなかったのが何か分からないのよ」
「二階層に行かせたくなかったのかな? ん~、あっ、魔道具みたいなのはありますね」
二階層への階段をぐるりと囲むように八個の魔力があります。
階段に近付きその四隅と、その場所同士を繋ぐ線の真ん中にも少し魔力が違う魔道具が一つずつ。そして僕は四隅の一か所でしゃがみこみ、土魔法で上の土を退けました。
「流石ね。良く見付けたわ。それがネズミを発生させる魔道具ね。後ネズミを引き寄せる魔道具があるはずよ」
「じゃあこの真ん中のかな? ほいっと!」
「うんうんそれね。これは魔物を集める魔道具ね、ライ収納しちゃいなさい」
「うん残りも掘り返して、ほいっと! 収納!」
残りの六か所を土魔法で掘り起こし、魔道具はしゅうのうしました。
「じゃあこれで依頼は達成なんだけど、その魔道具ダンジョンで作られたものじゃないわね。ライこの下の階層も調べておいた方が良いわ。誰かがここに置いたって事はこの下に何か有るって事だもの」
「うん。僕もそう思う。行こう」
階段を下りて二階層に出たのですが、そこには。
「タイラントカウだ! それもこんなにいっぱい!」
階段から出た場所も、その向こうに見える草原も、タイラントカウさん達がまた大量です。
犇めきあうとはこの事でしょうね。
「この階層はお肉が採れそうね。見たところこのウシ達は消えずに残るわ、ライ、やっておしまい!」
「うん。いっくよ~! ウインドニードル!」
階段のとこらから一歩踏み出した途端タイラントカウは僕たちに向かって走りよって来てくれますが、直線的に突っ込んできてくれますから狙うのも簡単ですし、少しゆっくり目に次の階層への階段の魔力がある方へ向かいながら倒して収納を繰り返していきます。
二十分ほど歩いた時、岩の横に下への階段があり今度はタイラントカウを出す魔道具だけが埋められていました。
次の三階層は、ゴブリンだらけで麦や豆。四階層は魔狼で果物、五階層はオークでもちろんお肉です。
そして六階層は湿地で、そこそこ大きいツノガエルが大量です。
「所々に池って言うより水溜まりだね、あっ! あれってトウモロコシだ!」
「良いわね、後で焼いて食べれば良いわ、もう少しでお昼でしょ?」
「うん。それにツノガエルの皮は良いんだよ。水を通さないから水筒やローブにも使われてるし。本当に色々良い物が採れるしそこまで強い魔物もいませんし、凄く良いダンジョンなのに誰がこんな魔道具を仕掛けたのでしょうか?」
六階層を攻略し終わり七階層ヘ下りる階段のそばでお昼ごはんです。トウモロコシを焼きながら思ったのは、このダンジョンはこの階層にも誰かが来て、魔道具を仕掛けたって謎ですが何がしたいのか分かりませんし、どんどん深まる一方です。
「そうね。見た感じリンゴよあれは。問題はウォールナットラット······って言いにくいし長いわ! もうネズミで良いわよこれって! じゃあ見てみるわね、んん~! あっちね。この階層にも結構いるわよ。階段近くの森にうようよいるわ」
テラが指差す方向にぐるぐるの範囲を伸ばすと、数えるのも嫌になるほどの気配が感じられました。
今から行くけれど、ウォール······ネズミさん。なぜそんなに増えたのでしょうかね。
ネズミさんの魔力をぐるぐるしながら目的の森に走ります。
途中僕の事を指差しながら何か言っているようですが、たぶん『子供がいるぞ!』とか『危ないぞ!』とかでしょうし、僕は手を振って、聞こえないでしょうが、『ネズミ倒してきますね』と言って走り去りました。
「よし、全部気絶したけどどうしようかな? この数で、一匹がこんなに······。大きい犬さんくらいでしょうか?」
「それもだけど多すぎるわね、地面が埋め尽くされてるじゃない。一匹一匹倒していたら日がくれるわよ」
そうなのですよね、どうしましょうか······。ウインドニードルで数匹倒して見ると煙のように消えて、魔石だけが残ります。
「あっ! 土魔法でいきましょう!」
僕はしゃがみこんで、地面に手をきぐるぐるしながら森全体に範囲を広げて行きます。
「なにをするつもり? 埋めちゃおうって訳?」
「トゲトゲです。行きますよー! ぐるぐるー、ほいっと!」
土魔法で地面から一メートルほどの高さがある針を森中に生やし、そして消しました。
「なっ! 針地獄! 戦略魔法じゃないの!」
戦略魔法? 戦争で使うのかな?
「あっ! ······魔石は拾わないといけないのですね」
「今の魔法は、戦争などで数人がかりでやる魔法よ。まあそんな事はやれちゃったのだからもう良いわ。魔石よね。そんなの簡単でしょ? 魔力が見えるならこの森の中の魔力を帯びた魔石をぐるぐるで特定すれば収納できるんじゃない?」
「そうです! うんうん魔石にはちゃんと魔力がありますし、これなら! 収納!」
森の外から見ても地面に転がっているのが沢山見える魔石が消え、一つも残さず無くなりました。
「よし、じゃあこの森の真ん中にある二階層への階段に向かいましょう」
「そうね、途中この森は団栗の木がほとんどね、目につくものは収納しておけば良いわよね、行くわよライ! 進めー!」
下草の無い森なのは助かりますね、見ただけでも沢山の団栗が落ちていますし、まだまだ木にも生っていますからそちらも収納しておきましょう。
「階段がありましたね。では見えているところの団栗は、収納! じゃあいきましょう」
「待って、ネズミがここからほとんど他に動かなかったのが何か分からないのよ」
「二階層に行かせたくなかったのかな? ん~、あっ、魔道具みたいなのはありますね」
二階層への階段をぐるりと囲むように八個の魔力があります。
階段に近付きその四隅と、その場所同士を繋ぐ線の真ん中にも少し魔力が違う魔道具が一つずつ。そして僕は四隅の一か所でしゃがみこみ、土魔法で上の土を退けました。
「流石ね。良く見付けたわ。それがネズミを発生させる魔道具ね。後ネズミを引き寄せる魔道具があるはずよ」
「じゃあこの真ん中のかな? ほいっと!」
「うんうんそれね。これは魔物を集める魔道具ね、ライ収納しちゃいなさい」
「うん残りも掘り返して、ほいっと! 収納!」
残りの六か所を土魔法で掘り起こし、魔道具はしゅうのうしました。
「じゃあこれで依頼は達成なんだけど、その魔道具ダンジョンで作られたものじゃないわね。ライこの下の階層も調べておいた方が良いわ。誰かがここに置いたって事はこの下に何か有るって事だもの」
「うん。僕もそう思う。行こう」
階段を下りて二階層に出たのですが、そこには。
「タイラントカウだ! それもこんなにいっぱい!」
階段から出た場所も、その向こうに見える草原も、タイラントカウさん達がまた大量です。
犇めきあうとはこの事でしょうね。
「この階層はお肉が採れそうね。見たところこのウシ達は消えずに残るわ、ライ、やっておしまい!」
「うん。いっくよ~! ウインドニードル!」
階段のとこらから一歩踏み出した途端タイラントカウは僕たちに向かって走りよって来てくれますが、直線的に突っ込んできてくれますから狙うのも簡単ですし、少しゆっくり目に次の階層への階段の魔力がある方へ向かいながら倒して収納を繰り返していきます。
二十分ほど歩いた時、岩の横に下への階段があり今度はタイラントカウを出す魔道具だけが埋められていました。
次の三階層は、ゴブリンだらけで麦や豆。四階層は魔狼で果物、五階層はオークでもちろんお肉です。
そして六階層は湿地で、そこそこ大きいツノガエルが大量です。
「所々に池って言うより水溜まりだね、あっ! あれってトウモロコシだ!」
「良いわね、後で焼いて食べれば良いわ、もう少しでお昼でしょ?」
「うん。それにツノガエルの皮は良いんだよ。水を通さないから水筒やローブにも使われてるし。本当に色々良い物が採れるしそこまで強い魔物もいませんし、凄く良いダンジョンなのに誰がこんな魔道具を仕掛けたのでしょうか?」
六階層を攻略し終わり七階層ヘ下りる階段のそばでお昼ごはんです。トウモロコシを焼きながら思ったのは、このダンジョンはこの階層にも誰かが来て、魔道具を仕掛けたって謎ですが何がしたいのか分かりませんし、どんどん深まる一方です。
0
お気に入りに追加
1,638
あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。


辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる