【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

文字の大きさ
68 / 241
第二章

第68話 海賊退治です 交戦相手

しおりを挟む
「おお! 穴を掘ってますね!」

 みんなで高台に転移して浜を見下ろすとアクーパーラは完全に砂浜に上がっていて全身が見え、ヒレを使って一生懸命卵を産み落とす穴を掘っていました。

「ううむ、デカいな。あれほどの大きさのアクーパーラは見たことがないぞ、私が見たものはあれの半分もない個体だ」

 おお。この子は物凄く大きいようですね、あっ、穴が掘り終わったようです。もぞもぞ方向転換してお尻をこれから穴に会わせるのかな。

「ええ王様の言う通り私もその程度の大きさまでしか見た事がございません」

「そうね。本当に大きいわ五十メートルほどあるでしょうか」

 アクーパーラの動きを見ながら聞いていると、王様、父さんと母さんも前にアクーパーラを見たことがあるみたいですね。

「皆様、文献によりますと百メートルを超える個体がいたとされていますゆえ、この個体が大きい事にはかわりませんがさらに大きなアクーパーラもおりましょう」

 そうなのですね! 百メートルなんて滅茶苦茶大きいじゃないですか!

 おっと今は観察です。ふむふむ、お尻を掘った穴に向けましたよ! 近くで見たいですが······。

「ライ。やめてあげなさい。私達がここで見ている事にも気付いているし、近付いてしまうと産むのをやめちゃうかもしれないから」

「うん。そうだね、安心して産んで欲し、い······ん? テラ! あっちの方向に気配が! 何者かがいます! 多分沢山、船だと思う」

「「何! 船だと!ライ帝国か!」」

 僕の声にみんなが反応しました。

「ちょっと待ってね! テラどう?」

「任せて! んん神眼~! 海賊よ! 船の数は十! 大型ばかりね、一隻いっせきに百人以上乗っているわ!」

 テラが言った言葉をみんなが集中しています。

「ん~帝国の船は無いわね、全て海賊よ。だから捕まっている人達が沢山いるって事ね」

「では千人近くがその方向にいると言うのか! ライ!」

「はい。僕にはテラほど詳しくは分からないですが、それくらいいると思います」

「ライ。あなたのぐるぐるでやっつけられそう?」

「はい! でもこの島はアクーパーラさんがいるので、二つ目の島にしましょうか、あそこに船ごと転移させればあそこも砂浜でしたから乗り上げて止まりますよね?」

「止まるわね。でもそんな事できるの? 千人と船を十隻よ?」

「ん~と、一度だと倒すのも面倒だから、一隻ずつにしましょうか、それとももう全員気絶させてからにしましょうか、そうすれば」

「駄目よライ、海賊が気絶する前に捕らわれてる人達が気絶しちゃったら、何されるか分からないわよ、」

 遮られちゃったけど、それもありそうですね、鞭や何かで叩かれちゃうかも。

 それにあれも止めた方が良いですね船だけ収納。海に落としてしまったらテラにまた怒られちゃいますから。

「うむ。ライよ、アクーパーラの産卵も見た事だしこの島は兵を置き、保護しようと思う。だからそっちの二島目にて一網打尽にしてもらえるか? 情報では他の海賊の筈だ。時折交戦をしていたと資料にあったからな」

「他の海賊、そうなのですね。それもそうか、海賊がこの広い海に一つってことはありませんから他にも海賊達がいてもおかしくありませんからね分かりました」

 少し考えながら、アクーパーラが産み落とす白色の真ん丸卵がポコン、ポコンと連続で見えました。

「分かりました。ではみんなで二島目に転移しますね。それとアクーパーラさん沢山産んで下さいね。転移」

 パッ

「到着です。この浜に突っ込むように一隻ずつこちらに転移させて行きますね」

 この浜は直径百メートルくらいある湾状の浜なので波も穏やかですが、走っている船を持ってきちゃうとどうなりますか。

 よしまずは船を探しましょう。

「ん~と、船は······見つけました! いきますよ! せ~の、転移!」

 パッ

 サバン!
 ズガガガ!

 湾内で、ちょうど真ん中より僕達に近い場所、浅瀬に突如現れ、波しぶきを上げながら船底が海底をこすり船の喫水線きっすいせんが下がり、急激に速度が落ちたので甲板の先端にいた人数人が船縁ふなべりにぶつかっているのが見えました。

「ライ······もう少し沖からにしないと駄目みたいね、捕らわれていた人達が怪我してなきゃ良いけれど······」

「う、うん。まさかこんな事になるなんておもってもいませんでした。次からはあの湾の入口に転移させることにします」

 ズザザザとやっと止まった大きな海賊船は、半分近く浜に上がっていて少し斜めになっています。

「くははは! 見事だが船は修理せねば使えないな。宰相どうだ私の将来親戚になる子は」

「これ程のものを疲れたようすも見せず転移させる能力。伯爵とおっしゃっておりましたが、これは辺境をお任せしても良いのではと考えます」

「辺境伯か、侯爵にするには実績と歴史が無いからな。うむ、それを検討するべきだな」

 何かまた出世しそうな事を言っていますが、まあ先の話ですので今は放って置きましょう。

「テラ、上の方にいるのが海賊だよね?」

「そうね、この船も捕らわれている人達の近くには十人いるだけ。その塊より上を。そうね、魔道具と、服以外を収納してぐるぐるしちゃいなさい!」

「そうか! そうすれば腕輪の鍵なんかも探す前に手に入れてしまえます! うん! ん~と、収納! それからぐるぐるいきますよ! ほいっと!」

 しばらくして海賊達が船縁に来てこちらを見てましたが一人倒れ、また一人とバタバタ視界から消えていきます。

「ライ、気絶した奴らを浜に一旦転移させておいた方が良いわよ。どうせ一度は船に乗るのだから」

「それならお屋敷に飛ばしてしまいましょうか。父さん達も一緒に帰って貰えれば向こうで先に牢屋にいれて貰えますし」

「ライ、そうだな。ここはお前に任せておいても良さそうだ。王様それでよろしいか?」

「うむ。まあ船は次から痛まないように頼む。中々良い船を使っているようだからな」

「分かりました。では行きますね。転移!」

 パッ

 父さん達を今気絶している海賊達と共に送ってから数分、上にいた海賊達は全員気絶したのでお屋敷に送りました。

 そして僕達は船に乗り込んだのですが、ちょうど甲板に来てすぐに見えた階段から上がってきた五人の海賊と出くわしてしまいました。

「なんでだれもいねえ! おいガキ! 俺様の手下はどこに行った!」

「あっ、船長さんですか?」

「なに言ってやがるあたりまえだろうが! 俺様を知らねえのか俺様は」

「いえ、船長って分かっただけで良いですよ。後でカヤッツがあなた聞く事になりますからではちょっと痛いですが行きますよ」

「ライ、少しくらいお話を聞いてあげても良かったのですよ? ほら、話を止められてビックリしたのか皆さん止まってしまってますよ」

 だって、面倒くさそうでしたし。

「あはは。次からはそうしますから」

 ドサッドサッ

 そんなことをしてる間に海賊達は魔力欠乏で倒れてしまいました······。

「あら、この五人は魔力が少なかったようね。この分なら後一言二言喋った時点で気絶していたでしょうね。まあ良いわ、さっさと済ませちゃいましょう」

「うん。それと気になる魔力もありましたし」

「あはは。あれね。あれは本当に珍しいわね」

「え? なんなのですか! わ、私にも教えてくださいよ!」

 プシュケが背負子の上で騒いでますが、さっさと一隻目を終わらせましょう♪
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...