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第一章
第57話 悪者がいた……ぞ?
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「おい! そのまま捕まえていてくれ、王都の掃除作業をサボりやがる悪い子だ」
ん? どういう事だ? んじゃ、悪い奴は囲まれてる方なんか?
「うるせえ! 兄ちゃんも分かるだろ? ちょっとサボってただけなんだよ、それなのに――」
「いや、サボって叱られんのは当たり前じゃねえか、だが……」
ブカブカでボロボロの服を着てるから、肩がずれて背中まで見えている。
は? なんだよこの傷……。
(うっわ~、鞭か何かで叩かれたんだね、身が抉れた傷だよこれ)
そうだよな、俺も脇腹に同じような傷があっから見て分かった。
二年くらい前に罠で捕まえてしまった鹿、子連れで食っちゃいけねえからなんとか罠から外そうとした時、暴れた鹿の角で抉られた傷と同じだ。
「なあ、お前さ、背中の傷って奴らにやられたんか?」
ぐいっと抱き付いてた奴の肩を持って押しのけて、目を見ながら聞いてみる。
「ん? この傷か? 誰にやられたかは言えねえよ、またやられるしな。でも傷は見えるところにはねえ、高く売れねえから叩かれねえが、背中とケツはボロボロだな」
(ふ~ん、今は人身売買できるんだ、昔は重罪だったけど~、それともこの子達借金か犯罪奴隷なの?)
いや、人身売買は普通に重罪だぞ、もし里親が現れても、金は要らねえはずだ。
『見たところ奴隷の魔道具は付けられていませんね』
クロセルの言う通り、腕輪や首輪の魔道具はついていないようだ。
「なあ、子供達を売ってるのは本当か?」
俺は目の前の子の肩を持ったままもう一度確かめてみる。
「おう、この前も姉ちゃん達三人が売られていったぞ、連れていったのは貴族だ、馬車に乗って来たからな」
「何を言ってる! あれは売ってなどいない! 子供がいない貴族様が一旦メイドにして教育してから養女とするため連れていったと聞いてる!」
俺の目の前にいる者がそう言った後、すぐに反論してきた奥にいるおっさん。
子供達を囲んで逃がさないようにしてるおっさん達の顔は、俺の方を睨み付けてくる。
雰囲気は、怒っちゃいるが、どうも話が噛み合わねえな。
(寝かせちゃう? それでギルマスのところに引きずっていけば良くない?)
アンラの提案を聞きながら、周囲の様子を確認する。
大人四人がなんとか肩を並べて通れそうな狭い路地裏、俺から見て奥に一人、間に子供が四人、手前が二人だ。
手前の奴は二人だからやれると思うが、奥の奴は子供を避けてから倒さなきゃ駄目か……。
それならアンラに頼み、寝ている間に衛兵を呼ぶのが良いだろうな。
「そんな事する訳はないだろ、俺達も孤児院出身だがそんな事は一度もなかった……が、怪我か……」
なんだよ、おっさんも孤児院出身なんか、なあ、アンラ、眠らすんはちと待ってくれよ。
(面倒だから眠らせてからでも良いんじゃない? ケントが言うなら待っておくけどさ)
にらみ合っていたが、怪我と聞いて囲っている子供の服に手を伸ばしたおっさんの顔が驚きの顔に変わった。
「おい! ちょっと待て! この子も背中が傷だらけだぞ!」
「めくんな! 俺は女だぞ! この変態野郎が!」
「ちょっと動くんじゃねえ! チッ! なんだよこれは! この子も――こっちの子もだ!」
三人のおっさんは、子供全員の背中をめくり、傷を目にして驚きの声をあげた。
そして、おっさん達は跪いて、子供達と目線の高さを合わせ、誰にやられたのか聞いている。
『ケント、これは――』
クロセル、どうも人攫いでも、人身売買でもなさそうだな、このおっさん達は……公爵んちに連れてくか?
初めは子供達も、いきなり心配顔に変わり、荒らげていた声も落ち着いて優しい声に変わったおっさん達を怪しんでいたが『院長が』『院長の旦那さんもだよ』『ご飯作ってくれる人だけ優しい』と、孤児院での話を始めた。
そこへ、路地の入口で俺達の事を見ていたアシア達がゆっくりと近付いてきた。
「ねえ、王都の孤児院って、教会がやってるんじゃないの?」
アシアがそろそろと横に来て話しかけて来たんだが……。
「俺達がいる孤児院は違うぞ、教会がやってる孤児院もあるけどよ」
それを聞いて、俺も初めて知ったが……こりゃギルマスに言って、やってもらわねえと俺らだけじゃ荷が重いな。
アシアは目の前にいるたぶん女の子の頭を、少し腰を曲げた姿勢で撫でながら、俺の方を見上げてきた。
「教会じゃない孤児院もあるのね、ケント……こんなの許せないわ、その孤児院の人達を捕まえなきゃ」
「分かってる。俺もそう思ってたところだ。それにちょうど良いじゃねえか、ギルマスに相談すりゃよ」
子供達の話はまだまだ出てきそうだが、いつまでもここで話を聞いても仕方ねえな。
俺はおっさん達にも少し話を聞かせてもらう事にした。
目の前の子はアシア任せ、おっさん達に近付き、話しかけてみる。
「なあ、おっさん達は孤児院出身で、街の掃除を……冒険者ギルドの依頼なんか?」
俺が近付き話しかけてきたんで、少し驚いたようだが、しゃがんだまま俺の問いに答えてくれる。
「ああ、俺達三人は冒険者パーティーを組んでいてな、もう歳だ、魔物の討伐依頼はキツくてな、王都の中での依頼を請けてるんだよ」
一人目が答えると、横からも声がかかる。
「昔から孤児院出身の冒険者が良くやってるんだが、小さな子供も連れて掃除の依頼を請けてるんだよ」
そうか、街中の依頼ならコイツらくらいの小せえ子供でもできる事はあるしな。
「もちろん依頼報酬は、やった分だけ多く孤児院に渡して維持費に使ってもらっていたんだが……」
「なんほどな、なあ、ちと付き合ってくれねえか? 俺は今冒険者ギルドのギルマスに世話になってるんだけどよ、そこまでみんなに来てもらいてえんだが」
そう言った後、おっさん達は顔を見合わせ『そうだな、こんなの放ってはおけない』『ギルマスより衛兵じゃねえか?』と。
うっし、今はギルマスって王城なんかな、ちょうど良いじゃねえか、ちと見学もしたかったしよ。
(お城の本借りられるかな!)
いやいやアンラよ、遊びに行くんじゃねえぞ……。
ん? どういう事だ? んじゃ、悪い奴は囲まれてる方なんか?
「うるせえ! 兄ちゃんも分かるだろ? ちょっとサボってただけなんだよ、それなのに――」
「いや、サボって叱られんのは当たり前じゃねえか、だが……」
ブカブカでボロボロの服を着てるから、肩がずれて背中まで見えている。
は? なんだよこの傷……。
(うっわ~、鞭か何かで叩かれたんだね、身が抉れた傷だよこれ)
そうだよな、俺も脇腹に同じような傷があっから見て分かった。
二年くらい前に罠で捕まえてしまった鹿、子連れで食っちゃいけねえからなんとか罠から外そうとした時、暴れた鹿の角で抉られた傷と同じだ。
「なあ、お前さ、背中の傷って奴らにやられたんか?」
ぐいっと抱き付いてた奴の肩を持って押しのけて、目を見ながら聞いてみる。
「ん? この傷か? 誰にやられたかは言えねえよ、またやられるしな。でも傷は見えるところにはねえ、高く売れねえから叩かれねえが、背中とケツはボロボロだな」
(ふ~ん、今は人身売買できるんだ、昔は重罪だったけど~、それともこの子達借金か犯罪奴隷なの?)
いや、人身売買は普通に重罪だぞ、もし里親が現れても、金は要らねえはずだ。
『見たところ奴隷の魔道具は付けられていませんね』
クロセルの言う通り、腕輪や首輪の魔道具はついていないようだ。
「なあ、子供達を売ってるのは本当か?」
俺は目の前の子の肩を持ったままもう一度確かめてみる。
「おう、この前も姉ちゃん達三人が売られていったぞ、連れていったのは貴族だ、馬車に乗って来たからな」
「何を言ってる! あれは売ってなどいない! 子供がいない貴族様が一旦メイドにして教育してから養女とするため連れていったと聞いてる!」
俺の目の前にいる者がそう言った後、すぐに反論してきた奥にいるおっさん。
子供達を囲んで逃がさないようにしてるおっさん達の顔は、俺の方を睨み付けてくる。
雰囲気は、怒っちゃいるが、どうも話が噛み合わねえな。
(寝かせちゃう? それでギルマスのところに引きずっていけば良くない?)
アンラの提案を聞きながら、周囲の様子を確認する。
大人四人がなんとか肩を並べて通れそうな狭い路地裏、俺から見て奥に一人、間に子供が四人、手前が二人だ。
手前の奴は二人だからやれると思うが、奥の奴は子供を避けてから倒さなきゃ駄目か……。
それならアンラに頼み、寝ている間に衛兵を呼ぶのが良いだろうな。
「そんな事する訳はないだろ、俺達も孤児院出身だがそんな事は一度もなかった……が、怪我か……」
なんだよ、おっさんも孤児院出身なんか、なあ、アンラ、眠らすんはちと待ってくれよ。
(面倒だから眠らせてからでも良いんじゃない? ケントが言うなら待っておくけどさ)
にらみ合っていたが、怪我と聞いて囲っている子供の服に手を伸ばしたおっさんの顔が驚きの顔に変わった。
「おい! ちょっと待て! この子も背中が傷だらけだぞ!」
「めくんな! 俺は女だぞ! この変態野郎が!」
「ちょっと動くんじゃねえ! チッ! なんだよこれは! この子も――こっちの子もだ!」
三人のおっさんは、子供全員の背中をめくり、傷を目にして驚きの声をあげた。
そして、おっさん達は跪いて、子供達と目線の高さを合わせ、誰にやられたのか聞いている。
『ケント、これは――』
クロセル、どうも人攫いでも、人身売買でもなさそうだな、このおっさん達は……公爵んちに連れてくか?
初めは子供達も、いきなり心配顔に変わり、荒らげていた声も落ち着いて優しい声に変わったおっさん達を怪しんでいたが『院長が』『院長の旦那さんもだよ』『ご飯作ってくれる人だけ優しい』と、孤児院での話を始めた。
そこへ、路地の入口で俺達の事を見ていたアシア達がゆっくりと近付いてきた。
「ねえ、王都の孤児院って、教会がやってるんじゃないの?」
アシアがそろそろと横に来て話しかけて来たんだが……。
「俺達がいる孤児院は違うぞ、教会がやってる孤児院もあるけどよ」
それを聞いて、俺も初めて知ったが……こりゃギルマスに言って、やってもらわねえと俺らだけじゃ荷が重いな。
アシアは目の前にいるたぶん女の子の頭を、少し腰を曲げた姿勢で撫でながら、俺の方を見上げてきた。
「教会じゃない孤児院もあるのね、ケント……こんなの許せないわ、その孤児院の人達を捕まえなきゃ」
「分かってる。俺もそう思ってたところだ。それにちょうど良いじゃねえか、ギルマスに相談すりゃよ」
子供達の話はまだまだ出てきそうだが、いつまでもここで話を聞いても仕方ねえな。
俺はおっさん達にも少し話を聞かせてもらう事にした。
目の前の子はアシア任せ、おっさん達に近付き、話しかけてみる。
「なあ、おっさん達は孤児院出身で、街の掃除を……冒険者ギルドの依頼なんか?」
俺が近付き話しかけてきたんで、少し驚いたようだが、しゃがんだまま俺の問いに答えてくれる。
「ああ、俺達三人は冒険者パーティーを組んでいてな、もう歳だ、魔物の討伐依頼はキツくてな、王都の中での依頼を請けてるんだよ」
一人目が答えると、横からも声がかかる。
「昔から孤児院出身の冒険者が良くやってるんだが、小さな子供も連れて掃除の依頼を請けてるんだよ」
そうか、街中の依頼ならコイツらくらいの小せえ子供でもできる事はあるしな。
「もちろん依頼報酬は、やった分だけ多く孤児院に渡して維持費に使ってもらっていたんだが……」
「なんほどな、なあ、ちと付き合ってくれねえか? 俺は今冒険者ギルドのギルマスに世話になってるんだけどよ、そこまでみんなに来てもらいてえんだが」
そう言った後、おっさん達は顔を見合わせ『そうだな、こんなの放ってはおけない』『ギルマスより衛兵じゃねえか?』と。
うっし、今はギルマスって王城なんかな、ちょうど良いじゃねえか、ちと見学もしたかったしよ。
(お城の本借りられるかな!)
いやいやアンラよ、遊びに行くんじゃねえぞ……。
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