魔王とスライム悠々自適スローライフ

いな@

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第1章

第43話 満室だったのでキャンプをしよう

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「すまないねえ、今日は満室で泊められないんだ。晩飯は出せるんだが……女の子が二人旅、何とかしてやりたいんだがなぁ」

 村に入る前に、俺は茜ちゃんの幻影ミラージュをといて、本来の姿で村に入った。

 まあ、『たまには私もお話ししたい!』と、言われたからなんだけど……。

 宿を取る時になって、村唯一の宿屋が満室らしいことが分かった。

 一応夜営用のテントは買ってきてあるので、場所さえあれば良いかとも思ったけど、そうか、女の子二人に見えるし、テントじゃ不用心だよね。

「後は、冒険者ギルドの出張所に少し寝るところがあるにはあるんだが、大部屋で雑魚寝になるんだよなぁ、まあ外で寝るよりは安全……か?」

『茜ちゃん、イル、冒険者ギルドはやめておこうか、それなら村を出て、テントで寝た方が安全だと思う』

『テントーですの! ユウリ、アカネ、私はテントでお泊まりしたいですの!』

『そうですね、男の人と一緒に寝るなんて考えられません。友里くんはスライムだし幼馴染みだから手は出さないと……今は触手……攻め――っ! な、なんでもないよ、初めは中々寝付けなかったけど、信じてたもん』

 イルはテントで寝ることに興味津々だし、茜ちゃんは……ちょっと、そんな小説読んでたの? 俺はそっち方面は……引きこもりが悪いんだ、時間があり余ってたし、ちょ~っと読んだだけだから!

 と、取り乱したけど、まだ明るいし、村を出て先に進むことにした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 街道を進み、少し薄暗くなった頃、街道の横に大きな岩があるところにたどり着いた。

「これが村の門番さんが言ってた目印の大岩だよね? このあたりなら魔物が少ないって」

「大きいですのー、ここでテントを張りますの? 焚き火はどこが~、あっ、あそこに草が生えていないところがありますの!」

 草原の中に突然そそり立つ高さが二十メートルはある大岩だ。
 石柱のデカい版と言って良いと思う。その近くにはイルが言う通り、いくつもの焚き火をして、消し炭に土を被せたような後があった。

「うん、この先に分かれ道があるらしいから、ここにしよう。でも、ちょっと工夫をしようと思います。見ててね」

 まず、大岩の街道から見た裏側にまわってもらう。
 そこでイルの頭から飛び降りて、岩のそばまで進むと、その後ろを二人がついてきた。

 俺は大岩背中にして、あの魔法を試してみる。

「二人とも、俺と大岩の間に来てくれる? 今から塀を作っちゃうから」

「おお! 流石だね友里くんアレをやるんだ。イルちゃんこっちよ、今から友里くんが土魔法を使うからね~」

 流石と言おうか、茜ちゃん俺がやろうとしていることが分かったみたい。

「はいですの! ユウリ頑張るのです!」

 二人が俺と壁の、内側に入ったのを見てから、呪文を唱える。

「ロックウォール! 駄目か、岩だからこれかなと思ったんだけど、これはダメ元――アースウォール! あれ? ヤバいぞ、でも次が本命、ストーンウォール!」

 呪文を唱えた後、すぐに結果が出た。

「「壁ですの!すごいよ!」」

 ズズズンと高さ三メートル、横幅も三メートルの石の壁がそそり立った。

「よっし! 厚みは――うん、三十センチはあるから丈夫そうだ。イル、茜ちゃん、テントの用意お願いできる? 俺はストーンウォールでまわりを囲っちゃうから。ストーンウォール」

「ユウリ、任せてなのです! アカネ、テント張りますの!」

「はいはい、でもさ友里くん、いつも思っていたけど、魔力がよく持つよね? 守護者って言うのを倒してレベルが爆上がり、MPも増えたとしても、スライムなんだし」

 俺の出したテントを広げ出しながら茜ちゃんが聞いてきた。
 まあ不思議だろうね。
 俺も逆の立場なら無茶苦茶不思議に思っただろうし。

「あ~、あのね、MP回復スキルも付いてたからさ、使ってもすぐに回復しちゃって満タンに戻るんだ。ストーンウォール」

「なにそれズルい! バグキャラだよ! ……まあ良いのかな? そのお陰で私達はこんなにのんびり、安全に旅ができているんだもんね」

 せっかく説明したのにバグキャラって……そうかもね。

「だよね。ロリっ子にスライムにされた時は慌てたけど、イルと出会った時もスライムになった事で助かったようなもんだしね。ストーンウォール!」

 話をしながらも、俺は壁を作り続け、大岩も利用してぐるりと囲いを完成させた。

「二人とも、こっちの壁は完成だよ」

 と振り向くと、テントは広げられてはいたんだけど、ぺしゃんこのままだった。

「どうしたのってそうか、真ん中の棒が無いと立てられないのか、袋に入っていると思っていたよ」

「友里くんと昔にお庭で立てた三角のテントと同じだと思っていたのに、大きな布しか入ってなかった。こんなの立てられないよ」

「ダメダメテントですの、ぺちゃんこなのです」

 苦笑いの茜ちゃんとしょんぼりしてるイル。

「困ったね……」

 俺はテントの作りを見て、収納から槍を取り出す。

「茜ちゃん、刃の方を地面に刺せば使えそうじゃない? そうか、刃の所に布を巻いちゃうか」

「おお! えっと、これかな……うん、長さもちょうど良さそう! 貸して友里くん、イルちゃん、テントが立てられるよ」

「やったーですの! アカネ、早くですの!」

 何本か出した槍を見て、一番短い槍を手に取る。
 ちょうど茜ちゃんの身長より頭ひとつ分長い、槍としては短い一本を選んだ。

 一緒に出した布切れで、怪我しないように慎重に刃をぐるぐる巻きにしていく。

 ほどけないように結んだ後、それをもってぺちゃんこのテントの中に入ると――バサッと中で立ち上がったのか、テントが膨らみ少しテントらしい形になった。

「よ~し、イルちゃん、友里くん、良い感じだよ――きゃっ」

「にゅふふふ~♪ 入っちゃいましたの♪ ひにゃっ」

 イルがテントに潜り込んで、茜ちゃんが驚き槍が倒れたようです。
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