【完結 R18追放物】勇者パーティーの荷物持ち~お忍び王女とダンジョン攻略。あれ? 王女のダンジョンも攻略しちゃいました~

いな@

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第一章

第87話 作戦開始

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 蹴られた脇腹の痛みに呻きながらも話し出した。タナトス王国の斥候部隊の部隊長で、シュウソ子爵、貴族だ。だがそんなもの気にせずサイラスが、さらに質問を投げ掛けていく。

「では貴様らは今回のスタンピードを見定めるためだけに派遣されたと?」

「ああ。魔物寄せの香を用いたスタンピード作戦の後、支援の形でパナケア王都に入り、俺達の部隊が活動できる拠点を作り、渓谷の同胞と、本国に報告する事、それが我々に課せられた任務だ······」

 シュウソ子爵は項垂れ、力無く肩を落としていたが······。

「クソ、なぜあれほどのスタンピードが半日ほどで終息して、パナケアの王都が無傷なのだ! 壊滅していてもおかしくないのだぞ! 我々もワイバーンの群れがあれほど集まるとは思っていなかったが、パナケア王国の魔道師団とはあのような魔法を連発できると言うのか!」

 顔を上げ、睨み付けるようにサイラスに言葉を投げ付ける。

「我らタナトス王国が全軍でパナケアに攻め込んだとしても、我々には大敗の目しかないではないか······この事だけはなんとしても王へお伝えしたかった······」

 別に早馬などは仕立ててはいなかったようだな。

 その後、小一時間ほどの詰問を終え、三台の馬車を収納し、一台は捕まえたやつらを乗せ、もう一台を俺達が乗って、薄明かるくなりかけた街道を進み、開門前に渓谷手前の街に到着した。

 開門と同時に街に入り、衛兵の詰所に到着し馬車を止めた。

「アイテール様、この街の衛兵にこの者達を引き渡して来ますので、向かいの宿でお待ち下さい。言われていたように、この後仮眠をして夜に渓谷へ。で、良いのですよね?」

「ああ。夜目の魔法をかけられるのはしっているだろ? 今夜は曇りだから夜は闇に覆われる。やつらが俺達を見付けることは難しいはずだ。近付くまで、いや、できるなら見付からずに事を終わらせたい」

 サイラスとヤードは力強く頷き、『では後ほど』と衛兵の詰所に入っていった。

「宿か、二人とも行くぞ、この時間に空いていれば良いんだがな。アイテールは冒険者の時、どれくらいの時間に動き出していたのだ?」

「そうだな。もう少し後だと思うぞ。ガイナス達は朝が弱くて中々起きなかったからだが、そうでなくても出ていく前の可能性があるからな。まあ、朝ごはんが食えるなら助かるが」

「そうですね~。冒険者の方達ならそろそろギルドに行っててもらいたいですね~」

 宿に入ると、入ってすぐは食堂になっており、冒険者や、商人風の者達が食事を取っていた。

「部屋は開けられるか? 夜通し走ってきたから部屋に入って休みたい。後、朝食も頼みたいが」

「いらっしゃい。大丈夫よ、昨晩空いていた部屋が二部屋あるから三人部屋と二人部屋だから三人部屋で良い? それとも男女で分かれるならその分高くなるけど」

「わ、私はアイテールと同じ部屋で良いぞ、それに後二人いるのだからどちらにしても二部屋必要だ」

「では二部屋用意しますね、食事はどうされますか?」

 部屋は上手い具合に取れたな、宿の女性は、マルガリータの言葉でニヤニヤしながらジロジロ見られたが、まあ、夕方まで寝るからたぶん想像するような事はないはずだ。

「アイテール。朝食も頂くのだろ? まずは三人分で良いよな? あの二人は遅れてくるだろうし」

「ああ、それで良いぞ。合わせていくらだ?」

 俺達は二部屋分の部屋代と三人分食事代を払い、テーブルに案内されて、腰を落ち着けた。

 すぐに食事が運ばれて来て、その後すぐにサイラスとヤードも宿に入ってきた。

 部屋の鍵をサイラスに渡し、同じ席について二人も食事を頼み、揃うのを待って食事を始めた。

「お待たせしました。上手く部屋が空いていて助かりましたね」

「ああ。腹ごしらえした後、今夜のために、寝ておかないとな。特にサイラスとヤードは二日ほど寝てないからな、今夜が山場だ、しっかり寝ておいて欲しい」

「部長。イビキは勘弁してくださいね、馬車で結構してましたよ」

「す、すまないな、自分では分からないのだ、そう言うヤード、お前もだぞ」

「マジか! す、すいません部長」

 ヤードも出会った時より言葉遣いが良くなったな。まあ、馬車の中からも聞こえるイビキだったからな、二人には我慢して、寝てもらおう。

 食事が終わり、宿の二階にある部屋に俺達と、サイラス達に分かれ、部屋に入り、二人に『今回は無しだぞ』と言うと、ミラーノが『私の番だったのに~』と落ち込んでいたが、我慢してもらおう。

 そして、俺達の部屋と、隣のサイラス達の部屋に、侵入できないよう一応結界を張り、寝ることにした。


 夕方前に目を覚まして出かける準備をした後、みんなで早めの夕食を頂いて、衛兵の詰所に馬を取りに行き、そのまま街を出た。

「聞き取りして地図を書いてもらったのですが、場所は渓谷の中腹にある夜営地から行けるようですね。この速度で行くとちょうど良い感じに薄暗くなるでしょう」

「なら、冒険者を装って夜営の準備をしたいな。テントはあるから一つ張り、焚き火でもして擬装するのが良いか。馬はどうする?」

「そのまま連れていきましょう。急ぎの依頼と言うことにしておけば、冒険者同士なら、深く聞きに来る者もまずいないでしょうから」

 話はまとまり、渓谷に入ると何台かの馬車が夜営地に向けて走っていたが、俺達は怪しまれない程度に速度を落として追い抜き、夜営地が見えてきた。
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