【完結 R18追放物】勇者パーティーの荷物持ち~お忍び王女とダンジョン攻略。あれ? 王女のダンジョンも攻略しちゃいました~

いな@

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第一章

第68話 深淵の大森林

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 リーンが獣人女性のおっぱいをわしづかみで引っ張っているがそれどころじゃない!

「くそっ! 完全に油断していた! 東の森が溢れるぞ! エイア、セレーナ、リーン。すぐに冒険者ギルドと王城に報せるんだ! スタンピードだ! リュールとアンジェラもみんなを頼む!」

「え? 東にある深淵の大森林は国有の危険指定の森よ! そんなのが溢れるなんて!」

「エイア、だからヤバいんだよ! すでに見えているかもしれない。たぶん先頭はワイバーンだろう。俺は迎撃するから頼んだぞ! 街壁には俺が報せに走る!」

 身をひるがえし宿屋を出て東へ走る。

 全力で行くしかない! 身体強化! ドンっと、すでにかけてあった身体強化を重ねがけする。いままでがハイハイする赤ちゃんが大人の早さで走れるようにしていたとするなら、これは生まれたての赤ちゃんが、最速の魔物、猫のツインテールと競争できるほどの違いが出る。

 一瞬で街壁にたどり着き、その垂直の壁をも駆け上り、街壁の上。

「まだあんなに遠くか、よし。おい! 東の森が溢れるぞ! あれを見ろ!」

 突然現れた俺に驚いている警備兵は、俺が指差す方を目を細め、見た次の瞬間!

「マジかよ! 半鐘を鳴らせ! 東の森が溢れる! スタンピードだ!」

 すると近くにいた者達も森の上空を見た後あわただしく動き始めた。そして――!

 カンカンカンカンと半鐘が鳴り響き、それが街壁の上で広がっていく。すると東門に並んでいた入門待ちの列が検問無しで門前広場に流し入れられて行く。

「おい! ところでお前は誰だ! 街壁の上は立ち入り禁止だぞ!」

「俺はあれを報せに来た! それからワイバーンで間違いなさそうだな。迎撃をやり始めるから、皆さんはあの飛んでくるヤツに対抗できるヤツと、地上から来るものに対抗する者を集めてくれ!」

「何!? ここから届く訳――っ!」

 俺は周囲の魔力も使いながらワイバーンの弱点属性、風魔法の準備を始める。その光景は俺の体のまわりに集まってくる魔力が目に見えるほどだ。バチバチと音が鳴るほど凝縮された魔力。そしてそれに魔法強化を重ねがけする事によって、威力、射程が格段に上がる事になる。

「ふぅ、······行くぞ――魔力強化っ! すぅっ! テンペストカッター!」

「――っ! テンペストカッターだと! 敵に大打撃を与える魔法じゃないか!」

「そうだ! 戦争の流れを変えられる魔法! 宮廷の魔術師が束になってやる魔法を!」

 後ろでうるさいがこっちは集中しなきゃ、無駄弾は撃てない! 確実に首を落とすんだ!

「視力強化! 魔力操作!」

 目に見えず、物凄い早さで飛ぶ二メートル大の大量のウインドカッターが、むらくものようなワイバーンの群れに届き、その太い首に吸い込まれ刈り落としていく。数百のウインドカッターが数十匹のワイバーンの首を落として、ふらふらと落下していく途中で収納していくが、まだだ!

「多過ぎだぞ! くそっ、まだ足りない! 魔力強化! 行けっ! テンペストカッター! もう一つ! テンペストカッター!」

「馬鹿な! 一人で何発も撃てるなどあり得ん! あり得んが今の内に外の人々を中に入れて門を閉めるんだ! 魔法兵と弓兵は迎撃準備! この者がワイバーンを食い止めてる内に体制を整えよ! 急げ!」

「「はっ!はっ!」」

 よし。警備兵も動き出した。そろそろ森から魔狼かコボルドあたりが飛び出してくるはずだ。問題はワイバーンをも追い立てる魔物はなんだ? ん!? あれは、馬車が平原をこちらに向かってくる? 荷台から煙を······まさか! 鑑定! ――くそったれ!

 魔物集めの香をあんなに煙が出るくらい焚いているだと!

「おい! あの街道じゃない平原をこちらに向かってくる馬車に、魔物集めの香が焚かれている! 水魔法で火を消してくれ! そして奴らを捕まえるんだ! 急げ!」

「な、なんだと! それが本当なら――騎馬隊に連絡! あの馬車にいる者を生かして捕らえよ! 水魔法が得意なヤツはあの荷台、馬車を壊しても良い! 確実に火を消せ!」

「「はっ!はっ!」」

 よし、詠唱を始めたな。狙いやすいように――アースランス! 馬車は突然前方の地面から立ち塞がった馬は通り抜けられるが馬車はつっかえる幅の石柱。

 ガン――ガン――ガンと適度に間を開けた柱を何本か折りながら、なんとか進んだが、一度目のぶち当たった衝撃で御者台にいた二人は放り出され、荷台にいた三人も同じように二本目の柱に当たった衝撃で馬車から落ち、地面に転がった。

「「ウォーターボール!ウォーターボール!」」

 無人になり、石柱に挟まり止まった荷台に向かって数十発のウォーターボールが飛び――!

「「弾けろ!弾けろ!」」

 魔法を放つ前に止まった馬車に確実に命中し、荷台がバラバラになるのと同時に火は消えくすぶる煙も無くなった。

「よし! 落ちた奴らは怪我をしているようだ、さっさと捕まえてしまえ!」

「隊長! 森から魔狼とコボルドが出ました! 続けてゴブリンとオークも見えます! 平原を埋め尽くす勢いです!」

「城への連絡は!」

「それなら俺が確実な者に頼んで走ってもらった。冒険者ギルドも同じようにな」

「そうか! ありがたい。私は東門警護隊長ファンだ。貴殿の名を聞きたい」

俺は四発目、五発目のテンペストカッターを放ちながら。

「冒険者のアイテールだ。なんとか援軍が来るまで持ちこたえるぞ。すまないが俺はワイバーンで今は手一杯だ。終われば地を行くものにも移れるのだが数が多すぎる。頼むぞ!」

「任せておけと言いたいところだが、厳しいのは分かってくれ。最善は尽くすと約束しよう。――聞いたか! ワイバーンはアイテールが食い止めてくれる! 俺達は地べたを来るものだけに集中しろ! たった一人に負けるような俺達じゃないと見せ付けてやれ!」

「「おぉぉぉぉぉー!おぉぉぉぉぉー!」」

 カンカンカンカンと鳴り止まない半鐘と集まり出した兵と冒険者達の雄叫びが王都の東門から空気を震わせた。

 さあ、ここからが本番だ!
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