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1回戦 vsショーマン
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「さーて!今年も始まりました!え?つい先日が決勝戦だった?いやだって試合数多いし開催時期の変更あるしでこうなるしか無かったのよ」
司会、マッキーのジョークで白ける会場も無視しながら彼は話を続ける。
「そんなこんなで今回大会の、というか毎年同じなんだけどね。とにかく!対戦形式の説明始めまーす!
例年通り1V1です。
まず1回戦に入る前の予選。面接とかあります。終わってるんだけどね。これで28人に絞ります。それを1回戦で半分の14人に、2回戦で7人に絞ります。
1回戦と2回戦の敗北者は敗者復活戦で戦いあっていただき、一度でも敗北したら脱落の状態で最後の一人まで残っていただきます。
見事、敗者復活戦の勝者は準々決勝へ参加できます。
はい、先程ちらっと出ましたが、準々決勝で敗者復活を含めた8人から4人に絞ります。
準決勝では4人から2人、そして決勝という流れです」
長々と語ってはいるが、実際のところあまり関係ない。なぜなら誰も僕に勝てないのだから。
さぁ、始まりだ。
「1回戦後半戦スタート!8試合目!前回大会準優勝!明らかに戦闘向きスペクトルでスペクターを蹂躙してきた最強スペクター!金剛寺成!」
溢れんばかりの歓声!さすが僕!最高だ!
「そしてこんな相手に対するのは、前回大会では敗者復活2位!しかし本戦で不利なスペクトル「ショーマン」!最強相手に戦えるか!?中藻 苦亜魅!」
僕と戦うことになった相手は意外にもヒョロ。それに、ぶっちゃけこいつのスペクトルは俺との相性が悪い。
そう、僕に勝てるわけが無い。
僕の体は俺にも破れない
「「「中藻!中藻!中藻!中藻!」」」
普段なら俺に対する歓声と熱さで地球温暖化が進んでしまいそうな勢いなのに、今回は違った。中藻が来た瞬間、会場の雰囲気は中藻に持っていかれた。
「ショーマン」、自分に関心を向ける能力。
街頭芸なんかをやるときに便利だが、それを会場の熱を自分に向けるという使い方。
そう、相手に対して圧倒的なプレッシャーを与えることになる。特に敗北が許されない敗者復活では、相手の気迫に押され、勝てる相手にも勝てなくなる。
強い能力だとは思う。だが、残念ながら俺を見ろ!俺の自己肯定感を見ろ!
こんなんでへこたれるとでも?
腕を金属化させた途端、中藻は「やっぱりか」と呟いた。
「やっぱり?どういうことだ?」
「言葉のままだよ、成。お前には多分、この能力は聞かないと思ってたんだ」
中藻は全て諦めたような顔でそう言った。
「そうか」俺は中藻に近寄り「敗者復活、頑張れよ」
すると、中藻は「無理さ。この能力の限界を知った状態で全力は出せない」
この戦いは、あっさり俺の勝利となった。
♢
今年のスペクターバトルは無理だ。無理だよ。
あの最強な成には自分の能力の限界を知ったから負けるのだと言ったが、実際は俺が去年敗者復活で負けたやつがいたからだ。
あいつも分かって言ったのだろう。「頑張れ」って。
俺はひとり悔し涙を流した。
そんな俺とすれ違った赤の他人に声をかけられた。
「どうしたんさお前さん」
「……なんでこういう時だけ、このスペクトルは役立つんだよ」
俺の涙の粒は大きくなった。
司会、マッキーのジョークで白ける会場も無視しながら彼は話を続ける。
「そんなこんなで今回大会の、というか毎年同じなんだけどね。とにかく!対戦形式の説明始めまーす!
例年通り1V1です。
まず1回戦に入る前の予選。面接とかあります。終わってるんだけどね。これで28人に絞ります。それを1回戦で半分の14人に、2回戦で7人に絞ります。
1回戦と2回戦の敗北者は敗者復活戦で戦いあっていただき、一度でも敗北したら脱落の状態で最後の一人まで残っていただきます。
見事、敗者復活戦の勝者は準々決勝へ参加できます。
はい、先程ちらっと出ましたが、準々決勝で敗者復活を含めた8人から4人に絞ります。
準決勝では4人から2人、そして決勝という流れです」
長々と語ってはいるが、実際のところあまり関係ない。なぜなら誰も僕に勝てないのだから。
さぁ、始まりだ。
「1回戦後半戦スタート!8試合目!前回大会準優勝!明らかに戦闘向きスペクトルでスペクターを蹂躙してきた最強スペクター!金剛寺成!」
溢れんばかりの歓声!さすが僕!最高だ!
「そしてこんな相手に対するのは、前回大会では敗者復活2位!しかし本戦で不利なスペクトル「ショーマン」!最強相手に戦えるか!?中藻 苦亜魅!」
僕と戦うことになった相手は意外にもヒョロ。それに、ぶっちゃけこいつのスペクトルは俺との相性が悪い。
そう、僕に勝てるわけが無い。
僕の体は俺にも破れない
「「「中藻!中藻!中藻!中藻!」」」
普段なら俺に対する歓声と熱さで地球温暖化が進んでしまいそうな勢いなのに、今回は違った。中藻が来た瞬間、会場の雰囲気は中藻に持っていかれた。
「ショーマン」、自分に関心を向ける能力。
街頭芸なんかをやるときに便利だが、それを会場の熱を自分に向けるという使い方。
そう、相手に対して圧倒的なプレッシャーを与えることになる。特に敗北が許されない敗者復活では、相手の気迫に押され、勝てる相手にも勝てなくなる。
強い能力だとは思う。だが、残念ながら俺を見ろ!俺の自己肯定感を見ろ!
こんなんでへこたれるとでも?
腕を金属化させた途端、中藻は「やっぱりか」と呟いた。
「やっぱり?どういうことだ?」
「言葉のままだよ、成。お前には多分、この能力は聞かないと思ってたんだ」
中藻は全て諦めたような顔でそう言った。
「そうか」俺は中藻に近寄り「敗者復活、頑張れよ」
すると、中藻は「無理さ。この能力の限界を知った状態で全力は出せない」
この戦いは、あっさり俺の勝利となった。
♢
今年のスペクターバトルは無理だ。無理だよ。
あの最強な成には自分の能力の限界を知ったから負けるのだと言ったが、実際は俺が去年敗者復活で負けたやつがいたからだ。
あいつも分かって言ったのだろう。「頑張れ」って。
俺はひとり悔し涙を流した。
そんな俺とすれ違った赤の他人に声をかけられた。
「どうしたんさお前さん」
「……なんでこういう時だけ、このスペクトルは役立つんだよ」
俺の涙の粒は大きくなった。
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