人間兵器

ツチノコのお口

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本編

第11話 日勝(イルショー)戦争の話

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 日版イルボー協定国。
 日正イルショー版段ボーディーンという、2つの国の戦争によって生み出された、珍しい国であり、次のブリス戦争の相手国だ。
 この国の最大の特徴は、日版協定という終戦協定によって、渋々作られたため、未だに内戦が収まっていないところだ。
 ちなみに、日正は今の日本と同じような位置にあった国だ。必然的に日版は、東アジアの、日本に近い位置にある国というわけだ。

 そんなわけで、友樹はこの戦争がなにげに嫌だった。なにせ、母国である日本の地で戦うわけだからだ。日本の血を引くものもかなりいると思われる。
 しかし、友樹は一つ、おかしな疑問に気づいた。
「内戦で混乱してんなら、こんなとこに兵を回すより、内戦の終結を目指したほうがよくないか?領土が増えると、更に混乱しそうだし」
 事実、ブリスは私達の世界線でのアラスカに近い位置にある。こんな遠くに飛び地があっても、混乱しかしないだろうに。
 しかし、友樹ももう3回目だ。学んだことがある。
「んなこと考える暇があったら、アップの一つでもしとかないと」

 まぁ、いつものテンプレを超えて、ついに戦場へと向かう日に。
 大西洋をまたいだ位置に日版はあるので、巨大な軍艦に乗って向かうことになった。黒塗装だったため、「2度目の黒船来航」と呼ばれた。
 大西洋の真ん中辺りまで来た頃だろうか?
 タイミングが悪く、地震が発生した。しかも、すぐ近くで。
 いや、ここまで来たらタイミングが良すぎたのか?
 すぐに、震源地はこの真下だということが判明した。大事なことを友樹が思い出したのはその時だった。
 日版の地震予報の技術力を。

 去年の話。
 これまで、数々の大地震を経験してきた日版。だからこそ、避難を確実にできるよう、地震の予測に全技術を利用した。
 そこで、ある事実が判明した。
「来年の夏。過去最大級の地震が発生する。震源地は大西洋中心付近」
 日版政府は、あえてこのことを逆手に取り、内戦を抑える方法を模索した。
 そこで、いい方法が思い浮かんだのだ。
 まず、日正サイドと、版段サイドの得意分野が両方必要となる事件を発生させる。
 そこに、この地震の予報を速報で流れてきたかのように思わせ、発表。
 そして、地震のことも考えながら、お互いとともに高め合い、事件を解決していただく。
 それが正しい方法かは一旦置いておこう。
 とにかく、この作戦にはある事件が必要だった。
 そこで、その事件として選ばれたのがわれら勝缶カチュカンとの戦争だった。というわけだった。

 そんなわけで、この地震にハマるのも全て計算の内で、ついでにブリスほしぃー的な感じだったのだ。
 やばい。船、沈没開始。
 救命ボート、破損。
 終わっ...た...?俺らの...戦い...
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