人間兵器

ツチノコのお口

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本編

第1話前半 戦争始まりの話

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 世界最小の国、カチュカン帝国。
 人工的にも、面積的にも、影響力的にも。ぶっちゃけ、大国の首都と同じ程度の権力しか持っていない、今にも潰れそうな弱小国家だ。
 そんな国が現在まで残っているわけ。それは、カチュカン帝国の地価の安さに目を付けた大企業がもたらした異常に高い技術量だ。
 当時のカチュカン帝国の地価の安さは異常だった。
「ホームレスはカチュカンへ行け」
そんなことわざもあった程。
 そして、強い魔力がこもった銃になると1つを作るためには金がかかった。そこで、別でかかる値段をなるべく下げるために、地価の低いカチュカンヘ大企業が集ったのだ。
 そんなわけで、敵国に攻められても、銃に込めた技術を利用し、他の国からの攻防戦に勝っているのだ。
 ただ、技術の質が高い分、銃一つ一つの値段が高額であり、常に財政難であるため自ら戦争を挑むことはなかった。

     今日までは

 2022年、世界中では歴代最大規模の経済崩壊によった財政難が問題視されていた。
 各地では、金銭を求めた紛争も起こり出し、世界の崩壊の危険性も危惧されるほどであった。
 しかし、例外としてカチュカン帝国のみは、世界から孤立していたためにむしろ歴代最大規模の経済成長が起こっていた。そのために、移民も増えて財政も豊かになった。

 カチュカン帝国の第3代皇帝、キトランス・カーターはこの国家の元首として、何度も屈辱を味わってきた。
「金さえあれば、今にでも戦争をしてやるのに、、、」
 カーターの口癖だった。予算の少なさに、これが現実になるとは誰も思っていなかったが...。それが現実となって訪れた。
 カーターは、戦争を仕掛ける国を選ぶことにした。国民から恨まれず、世界からの印象も良好。なおかつ、領土が増える国など都合よく現れない。そんな条件が当てはまる国はただ一つ。

 ブリエシタン奴隷国。国民は奴隷と貴族で構成され、奴隷は一日に約20時間以上の労働を義務付けられ、働いて得たお金は税として、9割が貴族のもとへ消えていく。安心して暮らす保証もなければ、国から逃げようとすると即刻牢屋へ行く。
 牢屋では、睡眠と食事の禁止をし、一日24時間労働、休憩をすれば一本ずつ指の爪を剥いでいく。
 そんな国が人気なわけがない。なんなら、即刻貴族全員を死刑に処すべきだという考えもある。カチュカンが戦争を仕掛けるならもってこいの国だ。

 カチュカンの宣戦布告は、世界中で噂となった。
「あのカチュカンが戦争?笑わせんなw」
という人達が多かったものの、相手がブリエシタンであったため、大声で批判するものは少なかった。
 
 いよいよ戦争が始まる。まずカチュカンがやるべきことは、人間兵器の準備だった。
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