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第十七章
未来へ③
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「凛花、凛花」
「ん~」
呼ばれている気がして寝ぼけた返事が漏れる。身体は眠りを欲しているのだ。
「凛花」
もう一度呼ばれた瞬間に、唇には柔らかい感触がする。
「へ⁉」
驚いて一気に目が覚めた。そこには、すでにスーツに着替えた蒼空さんの姿がある。
「今何時?」
「まだ余裕があるから慌てなくていい。それよりも、せっかく着替えたのに、凛花を見たらまた脱ぎたくなる」
「え、ええ!!」
昨夜、蒼空さんと愛し合い果てたあと、そのまま眠ってしまった私は全裸だ。そばにあった布団を被り身体を隠す。
「今日は一緒に出社したいから、早めに起こした。少し仕事をしているから、準備が出来たら一緒に朝食を食べよう」
「うん」
プロポーズが夢じゃなかったと主張するように、左手の薬指には指輪が輝いている。
そして、今日は蒼空さんがあと三ヶ月でクラウドフラップを退職すると社内に告げる日だ。まだ、私が今後どうするべきかは話し合えてはいない。向き合わなければならない現実が迫っている。
私もシャワーを浴びて、出社する用意をする。毎回思うけれど、部屋だけではなくバスルームやトイレまで、全てが豪華でオシャレだ。こんなに贅沢をさせてもらって、私は何か返せているのだろうか。左手に輝く指輪は、普通の会社員では買えない高価な代物だ。考えすぎてしまうと不安ばかりが膨らむので、一旦マイナスの思考回路は遮断してバスルームを後にする。
「お待たせしました」
「ああ、ちょうど朝食が届いたところだ」
「わ~」
ルームサービスで運ばれて来た朝食は、ワンプレートになっていて程よい量だ。しかも、昨夜のフルーツケーキまで忘れずに運ばれて来た。もちろんプロポーズの言葉の書かれたプレートも乗ったままで、改めて見ても嬉しさが込み上げる。これからも蒼空さんと共に歩む人生の始まりの言葉だ。
「食べよう」
「うん」
「「いただきます」」
昨夜、満腹になるまで豪華なフレンチを食べたはずが、焼きたてのパンの香ばしい匂いに、一気に空腹を感じる。
「ん~」
呼ばれている気がして寝ぼけた返事が漏れる。身体は眠りを欲しているのだ。
「凛花」
もう一度呼ばれた瞬間に、唇には柔らかい感触がする。
「へ⁉」
驚いて一気に目が覚めた。そこには、すでにスーツに着替えた蒼空さんの姿がある。
「今何時?」
「まだ余裕があるから慌てなくていい。それよりも、せっかく着替えたのに、凛花を見たらまた脱ぎたくなる」
「え、ええ!!」
昨夜、蒼空さんと愛し合い果てたあと、そのまま眠ってしまった私は全裸だ。そばにあった布団を被り身体を隠す。
「今日は一緒に出社したいから、早めに起こした。少し仕事をしているから、準備が出来たら一緒に朝食を食べよう」
「うん」
プロポーズが夢じゃなかったと主張するように、左手の薬指には指輪が輝いている。
そして、今日は蒼空さんがあと三ヶ月でクラウドフラップを退職すると社内に告げる日だ。まだ、私が今後どうするべきかは話し合えてはいない。向き合わなければならない現実が迫っている。
私もシャワーを浴びて、出社する用意をする。毎回思うけれど、部屋だけではなくバスルームやトイレまで、全てが豪華でオシャレだ。こんなに贅沢をさせてもらって、私は何か返せているのだろうか。左手に輝く指輪は、普通の会社員では買えない高価な代物だ。考えすぎてしまうと不安ばかりが膨らむので、一旦マイナスの思考回路は遮断してバスルームを後にする。
「お待たせしました」
「ああ、ちょうど朝食が届いたところだ」
「わ~」
ルームサービスで運ばれて来た朝食は、ワンプレートになっていて程よい量だ。しかも、昨夜のフルーツケーキまで忘れずに運ばれて来た。もちろんプロポーズの言葉の書かれたプレートも乗ったままで、改めて見ても嬉しさが込み上げる。これからも蒼空さんと共に歩む人生の始まりの言葉だ。
「食べよう」
「うん」
「「いただきます」」
昨夜、満腹になるまで豪華なフレンチを食べたはずが、焼きたてのパンの香ばしい匂いに、一気に空腹を感じる。
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