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第十二章

彼の正体⑥

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「お父様は大丈夫なの?」
「ああ。今まで働き過ぎていたから、この機会に色々と検査をしてもらうことになって、あと一週間位入院になると思う」
「大事に至らなくて良かった」
「ああ。社内で秘書といる時で良かったよ。一人だったら気づくのが遅れていただろうから」
 
 サラッと蒼空さんの口から秘書というワードが出たけれど、秘書をつけるほどの地位の人は限られてくる。

「蒼空さんは何者なの?」
「何者っていわれると会社員で凛花の彼氏」
「会社員は仮の姿?」
「クラウドフラップで働くのも本当の俺だけど、それは期間限定の姿だな」
「……」

 期間限定……。その言葉に妙に納得する。このマンションも、普段の服装も車も、ホテルの滞在も、何もかもが疑問だらけだったのだ。かなり早くから疑問に思っていたけれど、蒼空さんには違いないと聞かずにいた。でも、そうも言ってられない状況になっている。

「俺の実家は、片桐ホールディングスを経営している」
「片桐ホールディングス……。最近聞いたような……。あっ!!」
「先日のあいつらは支社の奴らだな」
「だから、蒼空さんのことを知っていたんだね」
「片桐のパーティーで見かけたことがあったようだ。俺が同じオフィスビル内の会社で働いているとは知らなくて驚いていたがな」
「今までのこと、色々と納得したよ。SAKURAに泊まれるのは、蒼空さんが片桐の御曹司だからだよね」
「御曹司はやめてくれ。今は普通に就職して働いている同僚だろう?」
「どうして片桐で働いていないの? っていうか、片桐の御曹司の彼女が私ではご家族が納得しないんじゃない? 許嫁とかいないの?」
「凛花の疑問も最もだ。一つずつ答えるよ。っていうか、この体勢だと続きがしたくなる」

 普通に会話していたけれど、まだ繋がったままで蒼空さんの存在が私の中で主張している。

「ぬ、抜いてクダサイ……」
「プッ」

 話に夢中になって忘れていたが、全裸で横たわり繋がったままいたなんて、冷静に考えると恥ずかしすぎる。私の言葉に素直に膣内なかからズルッと抜いてくれたのだが、ドロドロしていて気持ち悪い。



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