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第十章

公認の仲⑧

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「片桐部長は、何を言っているんでしょう?」
「何だろうな?」

 轟課長はとぼけているけれど、絶対理由を知っていそうだ。そもそも彼らの存在を、すでに蒼空さんに伝えていたと思われる。

 彼らは、慌てた様子でラウンジから立ち去った。何もなかったように戻って来る蒼空さんは、状況を説明してくれる気はなさそうだ。

「もう大丈夫だ」
「ありがとうございます」

 小春は素直にお礼を言っている。

「小春、そろそろ私達も帰ろうか」
「そうだね」
「佐田さんのうちはどの辺? 送るよ」

 轟課長が小春を送ってくれるらしい。小春の気持ちを知っている私は、思わずニヤニヤしてしまう。

「どうした? ニヤニヤして」
「何でもない」

 蒼空さんに聞かれても、ここで説明するわけにはいかない。小春は頬を赤らめて嬉しそうにしている。これから何か進展したらいいなぁと、密かに小春の幸せを願った。

「明日は休みだし、ここに泊って行くか?」
「へ⁉」
「ひゅ~。軽くここに泊まるって言える蒼空が凄いわ」
「確かに……」
 
 轟課長と小春にニヤニヤ見送られて、冗談ではなく本当に前回の部屋へ連れて来られた。週末に都合よく空いているものなのだろうか。蒼空さんの正体を、まだ知らない私の頭の中は疑問ばかりだ。

 部屋へ入った途端に、前回同様唇を塞がれる。

「ンンッ」

 私の吐息が部屋に響いた。角度を変えて口づけが交わされる。

「凛花は、俺を嫉妬で狂わせるのか⁇」
「ええ⁉」
「あいつのことは昌磨に聞いていた」
 
 やはり、轟課長があの日のことを、蒼空さんに言っていたのだ。

「さっき話かけてたけど、知り合い?」
「知り合い? ではないけれど、まあ遠い知り合いなのか」
「どういうこと?」
「その話はまたいつか。今は凛花を堪能するのが先だ」

 一気に熱をもった視線に変わった。私を抱き上げてベッドルームへ一直線に向かう。何度来ても豪華な部屋だ。でも今日は、食事にも行ったし、いつも以上に汗をかいたので、先にシャワーを浴びたい。

「先にシャワーを浴びたい……」
「じゃあ一緒に」
「え⁉」


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