33 / 137
第五章
新たな始まり⑩
しおりを挟む
昨日スーパーで買ってきた食材で、サッと朝食を済ませて、お昼前には実家へ着くようにマンションを出た。
「ちょっと寄るところがあるから」
「どこに?」
「凛花のご両親は、和菓子は好きか?」
「え? うん」
「なら良かった」
蒼空さんが、コインパーキングに車を止めて、待っていてと言うので、車で待つ。数分で、何かを持って戻ってきた。
「それって『長谷屋』の和菓子!?」
「ああ」
「こんな短時間で、よく買えたね」
「予約してたんだ」
人気店の長谷屋さんは、連日大行列でなかなか買えない。昨日の今日で、普通に予約できるものなのだろうか。蒼空さんの謎が、私の中で更に深まる。
車で一時間ほどの距離の、私達の地元は、政令指定都市に指定されていて、都心ほどではないが活気がある街だ。
「凛花の実家は、どの辺だ?」
私の実家は、通っていた高校から、自転車で15分ほどの距離のところにある。私は自転車通学だったが、蒼空さんは電車で通学していたことを思い出した。
「蒼空さんは、電車だったね」
「ああ」
高校時代は知ることのなかった蒼空さんのことを、これからたくさん知っていきたいと思う。
いよいよ、実家が見えてきた。
「蒼空さん、あそこに見えてるマンションだよ」
「了解」
マンションの前にある、来客用の駐車場に止めてもらった。存在感のある高級車に、通る人がこちらをチラチラと見て行く。
「いよいよだな」
緊張した様子が、微塵もない蒼空さんは、さすがだと思う。私なら、蒼空さんのご両親に会うとなったら、こんなには落ち着いてはいられない。なぜか私の方が緊張してきた。実家に帰るのは三ヶ月振りくらいだろうか。
鍵は持っているが、一応エントランスでインターフォンを鳴らした。
「はい」
「お母さん、凛花」
「待ってたわ」
言葉と同時に、自動ドアが開いた。エレベーターに向かおうと、一歩踏み出すも、蒼空さんに手を取られる。
「へ!?」
「ん? ただ手をつなごうと思っただけだ」
「じゃ、じゃあ行きましょう」
蒼空さんに、翻弄されタジタジの私とは違い、平然としているのが悔しい。
エレベーターで7階に上がると、母が家の前に出て待っていた。
「あら? あなた片桐蒼空くん?」
母もしっかりと、蒼空さんのことを覚えていたようだ。
「ちょっと寄るところがあるから」
「どこに?」
「凛花のご両親は、和菓子は好きか?」
「え? うん」
「なら良かった」
蒼空さんが、コインパーキングに車を止めて、待っていてと言うので、車で待つ。数分で、何かを持って戻ってきた。
「それって『長谷屋』の和菓子!?」
「ああ」
「こんな短時間で、よく買えたね」
「予約してたんだ」
人気店の長谷屋さんは、連日大行列でなかなか買えない。昨日の今日で、普通に予約できるものなのだろうか。蒼空さんの謎が、私の中で更に深まる。
車で一時間ほどの距離の、私達の地元は、政令指定都市に指定されていて、都心ほどではないが活気がある街だ。
「凛花の実家は、どの辺だ?」
私の実家は、通っていた高校から、自転車で15分ほどの距離のところにある。私は自転車通学だったが、蒼空さんは電車で通学していたことを思い出した。
「蒼空さんは、電車だったね」
「ああ」
高校時代は知ることのなかった蒼空さんのことを、これからたくさん知っていきたいと思う。
いよいよ、実家が見えてきた。
「蒼空さん、あそこに見えてるマンションだよ」
「了解」
マンションの前にある、来客用の駐車場に止めてもらった。存在感のある高級車に、通る人がこちらをチラチラと見て行く。
「いよいよだな」
緊張した様子が、微塵もない蒼空さんは、さすがだと思う。私なら、蒼空さんのご両親に会うとなったら、こんなには落ち着いてはいられない。なぜか私の方が緊張してきた。実家に帰るのは三ヶ月振りくらいだろうか。
鍵は持っているが、一応エントランスでインターフォンを鳴らした。
「はい」
「お母さん、凛花」
「待ってたわ」
言葉と同時に、自動ドアが開いた。エレベーターに向かおうと、一歩踏み出すも、蒼空さんに手を取られる。
「へ!?」
「ん? ただ手をつなごうと思っただけだ」
「じゃ、じゃあ行きましょう」
蒼空さんに、翻弄されタジタジの私とは違い、平然としているのが悔しい。
エレベーターで7階に上がると、母が家の前に出て待っていた。
「あら? あなた片桐蒼空くん?」
母もしっかりと、蒼空さんのことを覚えていたようだ。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
389
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる