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9.5 セノーデン伯爵家の夜
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その夜。料理は失敗してしまったものの、老執事の言う通りセノーデン伯爵一家に別の刺激を与えることに成功したエトランゼは「きっと、これで不穏な考えは諦めてくれたわよね」と安堵感で早々と眠りについた。もちろんアーノルドと寝室は別なので、ひとりでゆったりと薔薇の香りに包まれて……。
その頃、セノーデン伯爵一家がエトランゼに気付かれぬようにこっそり集まっているとも知らずに。
***
「さて、みんなの意見は?」
セノーデン伯爵が家族の顔を見渡し、にこりと笑顔を見せる。だがその笑顔はいつものふざけた笑みではなく、毒を含んでいる笑みだった。
「今日のエトランゼ様の反応ですと、あまり過激なのはお心を痛めてしまいそうですわ」
「かといって、このまま王子を好き勝手させるわけにはいかないだろう。ヒロインも何をしでかすか……」
「まさか、ヒロインが転生者だったなんて驚きだわ。でも、だからこそさらに注意が必要ね」
「やっぱりバレないようにこっそりと陥れましょう。わたくしとしては、真綿で首を絞めるようにジワジワとしたいところですけれど……」
「そうだな。では手始めにどこから攻めるか……」
するとアーシャが「わたくしにやらせてくださいな」と手を挙げる。
「何か妙案があるのかい?」
「うふ。だってあの王子が求めてるのは都合よく切り捨てられて自分の手駒になる優秀な令嬢ですのよ?まずは手っ取り早くエトランゼ様への興味を削ぎましょう。お母様、ご協力くださるかしら?」
「まぁ、何をする気?わくわくしちゃう~っ」
娘の腹黒い笑みに心底楽しそうなその母親。それを見て察した兄は「なるほど。もっと早くそうすれば良かった」と納得し、父は「色んなパターンを想定して、色んな物を準備してあるぞ!」とやる気満々だった。
「もしもエトランゼ様のお気持ちがわたくしたちの思っていたものと違っていたら余計に悲しませる可能性がありましたので控えていたのですが、大丈夫そうですので実行しますわ!」
こうしてアーシャは伯爵夫人の手を借り、コスプレ衣装とコスプレメイク道具。それにこの世界ではまだ流通していないウィッグを手に入れた。
「さぁ、害虫駆除を始めましょうか」
セノーデン伯爵家の夜はまだまだ続く……。
その頃、セノーデン伯爵一家がエトランゼに気付かれぬようにこっそり集まっているとも知らずに。
***
「さて、みんなの意見は?」
セノーデン伯爵が家族の顔を見渡し、にこりと笑顔を見せる。だがその笑顔はいつものふざけた笑みではなく、毒を含んでいる笑みだった。
「今日のエトランゼ様の反応ですと、あまり過激なのはお心を痛めてしまいそうですわ」
「かといって、このまま王子を好き勝手させるわけにはいかないだろう。ヒロインも何をしでかすか……」
「まさか、ヒロインが転生者だったなんて驚きだわ。でも、だからこそさらに注意が必要ね」
「やっぱりバレないようにこっそりと陥れましょう。わたくしとしては、真綿で首を絞めるようにジワジワとしたいところですけれど……」
「そうだな。では手始めにどこから攻めるか……」
するとアーシャが「わたくしにやらせてくださいな」と手を挙げる。
「何か妙案があるのかい?」
「うふ。だってあの王子が求めてるのは都合よく切り捨てられて自分の手駒になる優秀な令嬢ですのよ?まずは手っ取り早くエトランゼ様への興味を削ぎましょう。お母様、ご協力くださるかしら?」
「まぁ、何をする気?わくわくしちゃう~っ」
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こうしてアーシャは伯爵夫人の手を借り、コスプレ衣装とコスプレメイク道具。それにこの世界ではまだ流通していないウィッグを手に入れた。
「さぁ、害虫駆除を始めましょうか」
セノーデン伯爵家の夜はまだまだ続く……。
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