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第二話 失恋に負けたくないあなたへ
泣いていいよ
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***
「それで、ここに来てくれたんだね」
「はい。来てすぐのことはあまり覚えてないんですけど……」
工事の騒音にも気づかないほど心ここにあらずだった咲良が、突然泣き出してしまったこと。なんだか数年前の自分を見ているようで居てもたってもいられなかった。私も彼女と同じような経験をしたことがある。おそらく、私たちぐらいの年齢の女の子の多くが経験しているだろう。にもかかわらず、そんな時いつもこう思う。「自分の気持ちは誰にも分からない」って。そりゃ、分かるわけない。自分も相手も違うのだから、100%分かってあげることなんて無理だ。無理だということが分かっているからこそ、友達や信頼できる人に辛さを打ち明けたところで虚しくなる。励ましてくれればくれるほど、「もう大丈夫」って明るく言わなくちゃいけなくなって、逆に心が病んでしまうものだ。
だけど、話を聞いてくれる人が、こう言ってくれたらって思う言葉が一つだけある。
それは。
「咲良ちゃんは、彼のことが本当に大好きだったんだね」
だから、辛かったんだね。
頑張ったけど報われなかったことが、誰にも理解してもらえないことが、虚しくて苦しかったんだね。
泣いていいと思う。今はいっぱい泣いていいと思う。
でも、気が済むまで泣いたら、今度は顔を上げよう。
え、「どうやって」って?
ふふ、それはね。
私に任せて。とっておきの、おすすめ治療法があるの。
「この本を、読んでみて欲しいの」
私は自分のカバンから、とある小説を取り出して彼女に渡した。タイミングよく持っていてよかった。ちょうど今朝、電車の中で読み終えたばかりだった。
「『さよならをするために』……」
咲良はその本のタイトルを、呟くように口にした。
「唯川恵さんの小説なんだけど——」
「これ、読みます」
私がこの本について説明するより先に、裏表紙のあらすじを読んだ彼女が何かを決心したようにそう言った。
「そう! よかった。今の咲良ちゃんに合ってると思って」
「はい。特にこのあらすじの文——『終わった恋にエンド・マークを打つために勇気をふるって、一歩踏みだした女の子たち』というのが気になります」
そう言う彼女の目が、先程までとは違って、好奇心から次第に輝いていくのを私は見た。
私も、初めて唯川先生の『さよならをするために』を手に取った時にはあらすじに惹かれたものだ。
短編集なのだが、あらすじの冒頭に『まるで、「さよなら」をするために恋をするような…ちょっとせつなくて、心に痛い五つのラブ・ストーリー』とある。
五つの恋が壊れてゆくありさまを描く恋愛小説集。
五つの物語のタイトルには全て「さよなら」という言葉が入っている。
ラブストーリーの中で、「別れ」だけに焦点を当てたお話に、どんな物語なのか、気になって仕方がなくなったのだ。
「うん、ぜひ読んでみて! また感想聞かせてね。ぜったい」
「それで、ここに来てくれたんだね」
「はい。来てすぐのことはあまり覚えてないんですけど……」
工事の騒音にも気づかないほど心ここにあらずだった咲良が、突然泣き出してしまったこと。なんだか数年前の自分を見ているようで居てもたってもいられなかった。私も彼女と同じような経験をしたことがある。おそらく、私たちぐらいの年齢の女の子の多くが経験しているだろう。にもかかわらず、そんな時いつもこう思う。「自分の気持ちは誰にも分からない」って。そりゃ、分かるわけない。自分も相手も違うのだから、100%分かってあげることなんて無理だ。無理だということが分かっているからこそ、友達や信頼できる人に辛さを打ち明けたところで虚しくなる。励ましてくれればくれるほど、「もう大丈夫」って明るく言わなくちゃいけなくなって、逆に心が病んでしまうものだ。
だけど、話を聞いてくれる人が、こう言ってくれたらって思う言葉が一つだけある。
それは。
「咲良ちゃんは、彼のことが本当に大好きだったんだね」
だから、辛かったんだね。
頑張ったけど報われなかったことが、誰にも理解してもらえないことが、虚しくて苦しかったんだね。
泣いていいと思う。今はいっぱい泣いていいと思う。
でも、気が済むまで泣いたら、今度は顔を上げよう。
え、「どうやって」って?
ふふ、それはね。
私に任せて。とっておきの、おすすめ治療法があるの。
「この本を、読んでみて欲しいの」
私は自分のカバンから、とある小説を取り出して彼女に渡した。タイミングよく持っていてよかった。ちょうど今朝、電車の中で読み終えたばかりだった。
「『さよならをするために』……」
咲良はその本のタイトルを、呟くように口にした。
「唯川恵さんの小説なんだけど——」
「これ、読みます」
私がこの本について説明するより先に、裏表紙のあらすじを読んだ彼女が何かを決心したようにそう言った。
「そう! よかった。今の咲良ちゃんに合ってると思って」
「はい。特にこのあらすじの文——『終わった恋にエンド・マークを打つために勇気をふるって、一歩踏みだした女の子たち』というのが気になります」
そう言う彼女の目が、先程までとは違って、好奇心から次第に輝いていくのを私は見た。
私も、初めて唯川先生の『さよならをするために』を手に取った時にはあらすじに惹かれたものだ。
短編集なのだが、あらすじの冒頭に『まるで、「さよなら」をするために恋をするような…ちょっとせつなくて、心に痛い五つのラブ・ストーリー』とある。
五つの恋が壊れてゆくありさまを描く恋愛小説集。
五つの物語のタイトルには全て「さよなら」という言葉が入っている。
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「うん、ぜひ読んでみて! また感想聞かせてね。ぜったい」
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