1 / 3
1話 婚約破棄をされて……
しおりを挟む
「ロイド様……もう一度、言っていただけませんか……!?」
「何度も言わせるなよ、こんなこと。俺だって辛いんだ」
ええと……現状を簡単に言うと、私ことシャロム・グラハム伯爵令嬢は、婚約破棄をされていた。相手はロイド様……ロイド・エンデヴァー公爵令息ね。私よりもはるかに爵位の高い人ではあるんだけれど、私の婚約者でもあるの。
私が昔から憧れていた人……二枚目だし、優しくて強くて……ロイド様と婚約できた時は本当に嬉しかった。でも、なんでこんな状況になっているんだっけ?
「俺はもっと遊んでいたいんだ。お前と所帯を持つと、裏の店にも行きにくくなる……残念ながら、俺のビッグマグナムは非常に元気でね」
「……」
ビッグマグナムって……貴族として品格を疑われる発言を臆面もなく言っているロイド様。私は正直信じられず、最初は冗談じゃないのかと思っていた。でも、実際はそう甘いものではなくて……。
「だから、お前との婚約は破棄だな。元々、簡単にヤラせてくれないし、不満でもあったんだよな」
「簡単にって……」
どんどんロイド様の印象が悪くなっていく……これが私の憧れていた男性なの? 私の目って相当に節穴だったんじゃ……。私は勝手に描いていたロイド様の雰囲気が悉く壊れていくのを感じていた。
「公爵家と伯爵家では家柄の差は明らかだ。あんまりごねないでくれよ?」
「……ええ……」
うあ……しかも、後から文句言うなって釘を刺されたし……これじゃあ、損害賠償の請求とかも難しいのかしら?
私はその場で立ちつくしていたけれど、ロイド様が寄り添ってくれることは一度もなかった……。
----------------------------------
その後は王都ペンデュラムの仮住まいへと帰った私は、非常に呆けていた。なんだろう……敗北感とはまた違う虚無と言えばいいのか……自分の男を見る目が全くなかったのを思い知らされたような。
仮住まい、いわゆる別宅に居る私だけれど、気を遣っているのか、メイドのみんなも心配そうにしてくれている。でも、私は何もする気にはなれなかった。
「あ、あの……シャロム様、よろしいでしょうか……?」
私の落ち込んだ雰囲気に、ビクビクしながらも話しかけてくるのは、幼馴染でもあるメイドのレイラだった。
「どうしたの、レイラ?」
「は、はい……実はリグリッツ・エンデヴァー様が訪れていらっしゃいます。如何いたしましょうか?」
「リグリッツ様……?」
私は思わず聞き直していた。リグリッツ様のお名前を確認するのは久しぶりになる……ロイド様の兄上になるのだから。沈んでいた私は、なぜか少し高揚した気分になっていた。
「何度も言わせるなよ、こんなこと。俺だって辛いんだ」
ええと……現状を簡単に言うと、私ことシャロム・グラハム伯爵令嬢は、婚約破棄をされていた。相手はロイド様……ロイド・エンデヴァー公爵令息ね。私よりもはるかに爵位の高い人ではあるんだけれど、私の婚約者でもあるの。
私が昔から憧れていた人……二枚目だし、優しくて強くて……ロイド様と婚約できた時は本当に嬉しかった。でも、なんでこんな状況になっているんだっけ?
「俺はもっと遊んでいたいんだ。お前と所帯を持つと、裏の店にも行きにくくなる……残念ながら、俺のビッグマグナムは非常に元気でね」
「……」
ビッグマグナムって……貴族として品格を疑われる発言を臆面もなく言っているロイド様。私は正直信じられず、最初は冗談じゃないのかと思っていた。でも、実際はそう甘いものではなくて……。
「だから、お前との婚約は破棄だな。元々、簡単にヤラせてくれないし、不満でもあったんだよな」
「簡単にって……」
どんどんロイド様の印象が悪くなっていく……これが私の憧れていた男性なの? 私の目って相当に節穴だったんじゃ……。私は勝手に描いていたロイド様の雰囲気が悉く壊れていくのを感じていた。
「公爵家と伯爵家では家柄の差は明らかだ。あんまりごねないでくれよ?」
「……ええ……」
うあ……しかも、後から文句言うなって釘を刺されたし……これじゃあ、損害賠償の請求とかも難しいのかしら?
私はその場で立ちつくしていたけれど、ロイド様が寄り添ってくれることは一度もなかった……。
----------------------------------
その後は王都ペンデュラムの仮住まいへと帰った私は、非常に呆けていた。なんだろう……敗北感とはまた違う虚無と言えばいいのか……自分の男を見る目が全くなかったのを思い知らされたような。
仮住まい、いわゆる別宅に居る私だけれど、気を遣っているのか、メイドのみんなも心配そうにしてくれている。でも、私は何もする気にはなれなかった。
「あ、あの……シャロム様、よろしいでしょうか……?」
私の落ち込んだ雰囲気に、ビクビクしながらも話しかけてくるのは、幼馴染でもあるメイドのレイラだった。
「どうしたの、レイラ?」
「は、はい……実はリグリッツ・エンデヴァー様が訪れていらっしゃいます。如何いたしましょうか?」
「リグリッツ様……?」
私は思わず聞き直していた。リグリッツ様のお名前を確認するのは久しぶりになる……ロイド様の兄上になるのだから。沈んでいた私は、なぜか少し高揚した気分になっていた。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します
hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。
キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。
その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。
※ざまあの回には★がついています。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【短編完結】記憶なしで婚約破棄、常識的にざまあです。だってそれまずいって
鏑木 うりこ
恋愛
お慕いしておりましたのにーーー
残った記憶は強烈な悲しみだけだったけれど、私が目を開けると婚約破棄の真っ最中?!
待って待って何にも分からない!目の前の人の顔も名前も、私の腕をつかみ上げている人のことも!
うわーーうわーーどうしたらいいんだ!
メンタルつよつよ女子がふわ~り、さっくりかる~い感じの婚約破棄でざまぁしてしまった。でもメンタルつよつよなので、ザクザク切り捨てて行きます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。


【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。
守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。
だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。
それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる