時守家の秘密

景綱

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第四話「鏡に映る翡翠色の瞳」

鏡ヶ池とは

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 少しばかりの沈黙のあと、アキがぼそりと「鏡ヶ池」とだけ呟いた。
 鏡ヶ池⁉
 その言葉とともに、再び夢で見た光景が蘇る。確か鏡のような池だった。もしや、夢で見た池がそうなんじゃないだろうか。

「アキ、鏡ヶ池に行けばひび割れが直るのか」

 頷くアキ。

「で、場所はどこに」

 左右に首を振るアキに彰俊は項垂れた。知らないのか。

「おい、阿呆ども」

 バシン。
 ううぅっ。

 トキヒズミがまた隣の部屋へと飛んでいく。
 どうやら、今日のトキヒズミは厄日かもしれない。というか今日のアキはちょっと乱暴モードなのかもしれない。今のはアキコでなくアキだ。アキコとアキの心がもしかしてひとつになろうとしているのではないだろうか。気のせいかもしれないが。

「アキ、どうかしたのか」
「別に、なにも」

 トキヒズミの「いてててて」との声が耳をつく。
 命が大事というわりにトキヒズミには容赦ない。まあ、トキヒズミはあの程度では死ぬことはないだろうけど。
 そのとき外から可愛らしい声が聞こえてきた。

「沙紀ですけど、いますか?」と。
「あ、沙紀。沙紀、来た。沙紀、来た」

 笑みを浮かべて玄関に走り出すアキ。沙紀のことが余程好きなんだなアキは。
 沙紀の袖を引っ張るようにしてアキは部屋へと招き入れてきた。

「あ、お客さんだったんですか。もしかして依頼人?」

 小声で沙紀は話しかけてきた。彰俊は頷き紹介した。沙紀も霊感鋭く、幽霊も物の怪も見えてしまうから話が早い。鏡ヶ池の名前を出すと、すぐに沙紀が返答した。

「鏡ヶ池なんですけど。もしかしたら知っているかも」

 思わぬ発言に皆が一斉に沙紀へと目を向けた。場所さえわかればあとはアキの出番だ。
 善は急げだ、いますぐ行こう。

「アキ、扉開いてくれ。瞬間移動出来る扉を頼む」
「はい」の言葉と同時に目の前に扉が出現して軋みながら開き出す。
「こら、おいらを忘れるな。ボケちまったのか」

 トキヒズミはアキに睨まれて、「なんでもありません」と小さな声で謝っていた。そんなトキヒズミを彰俊は胸ポケットへしまい込み「おまえも大事な仲間だ。忘れるもんか」と慰めてやった。
 沙紀の話だと新潟に鏡ヶ池という池があるらしい。しかも、美女伝説なるものもあるとか。これは間違いなく関係しているはずだ。

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