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5章

64話 地獄②

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「秩序を正すためにも向かおう」

「どこにです?」

「大叫喚地獄に行くのだ」

「承知しました!!」

不動明王は三鈷剣さんこけん羂索けんさくを手に取り、大叫喚地獄に攻め込む
無限地獄から他の地獄に攻め込むのは数十年ぶりである

ーー大叫喚地獄ーー

「ひっ、ひー!?ふ、不動明王様ぁ!?」

無限地獄の不動明王が大叫喚地獄に姿を現すと、門番は怯える。不動明王は地獄界隈でも有名であり、敬語を使わなければいけない

「大叫喚主。出てきた方が身のためだぞ」

不動明王は冷静な声で大叫喚主を呼び出す
それに応じ、大叫喚主が自身の拠点から飛び出し、姿を現す

「困ったなー…不動明王が来ちゃうなんて。もうこれ以上壊したくないよ」

「…敬語を使わぬとは、愚かな者め」

大叫喚主は不動明王に怯えることなく、生意気な口調で話す
その態度を見た、不動明王は三鈷剣さんこけんを構える

「わぁお!これがあの三鈷剣かぁ…いいね」

剣を先に構えた不動明王よりも先に大叫喚主は攻撃を仕掛ける
スピードとジャンプ力が高い大叫喚主はそれを活かし、不動明王の背後に回る

「頂き……!?」

大叫喚主は不動明王の後頭部を殴ろうとすると、不動明王は後ろを即時に振り向き、目では見えない速度で羂索けんさくで大叫喚主を縛る

「くっ……邪魔なんだよ!お前は!いずれか僕がこの地獄を支配するつもりだったのに!」

大叫喚主は不動明王の羂索で巻かれ、動けなくなる

「やはりな…お前、大叫喚地獄で力を蓄え、大規模なテロを起こすつもりだっただろ」

「何故それを!?」

大叫喚主は地獄主に到達して、50年ほどになる。しかし、地獄主に到達してからというものの、全く戦争を仕掛ける気配が無く、数十年の間、地獄界隈で謎となっていた
しかし、不動明王はその謎を破り、大叫喚主の計画を知ることに成功した
大叫喚主は大量の爆弾を裏で作っており、それを等活地獄から大焦熱地獄にテロを起こし、傘下に入れ、無限地獄を征服するつもりだったのだ

「欲に溺れたな…俺が救ってやろう」

シャキンッ!!

不動明王は三鈷剣で大叫喚主を切る
しかし、殺すつもりで切った訳では無い
改心させるために気絶させたのだ。そして、気絶させた状態で数日間、羂索で壁に括り付けるのだ

「邪魔したな」

不動明王は大叫喚主を括り付けたら、直ぐに無限地獄に戻ろうとする

「お、お疲れ様でした!」

自身が最強だと思っていたボスが、瞬殺されたのだ。それを見た部下たちは震え、怯えた

ーー無限地獄ーー

「不動明王よ。大叫喚地獄を征服させたんだって?」

「罰を与えただけだ。征服なんてしてねぇよ」

「甘いな…俺なら傘下に入れるのに。まぁ、もう入れたんだが」

「…”閻魔大王”よ。いくらなんでもはや過ぎないか?」

閻魔大王は若者で、鋭い目付きをしたのが特徴だ。若者だが、潜り抜けた修羅場の数も多く、天性の才能で無限地獄最強に近付いたのだ
閻魔大王は不動明王が他の地獄に攻め込んだのを知り、血がうずうずし始め、等活地獄と黒縄地獄を一瞬にして傘下に入れた


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