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快感半分※

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「畜生! 」
 たちまちルミナスが悪態をつく。
「あなた、あの本の内容を試してみないかってお誘いしてたじゃない」
「ここまで真似して良いと誰が言った! ……うっ! 」
 興奮して、縛ったリボンに肉が食い込んで、ルミナスは苦悶の息を吐く。
「散々、酷いことした仕返しです」
「君だって悦んでいただろ」
「それじゃあ、これから私があなたを悦ばせてあげるわ」
「だから、小説通りの台詞を吐くな! 」
「熟読し過ぎ」
「お互い様だ! 」
 イザベラはルミナスの腹部に跨ると、自分の割れ目に彼の陰茎を導き、いきなり突き破った。
「あっ! 」
「この馬鹿! 」
 突然の抉りは快感半分、痛み半分として互いに分かち合う。
 前触れのない侵入者をイザベラの体は拒むことなく、むしろ受け入れ、粘膜が絡みついて離さない。腰を動かすたびに擦れる刺激に、イザベラは夢中になる。
「あっ……ああ! 」
「イザベラ。じっとしていてくれ」
「無理よ」
「じっとしてろったら」
「無理……無理なの……」
「せめて、リボンを外せ」
 イザベラは惚けた顔で、ルミナスの根本の戒めを解いた。
 途端に膨張する。
「あっ! 」
 イザベラの内部がたちまち熱い液体で満たされた。
「くそ! 」
 不本意な結果にルミナスは舌打ちして本気で悔しがっている。
「ついでに手枷も解け」
 余程お怒りなのか、言葉遣いが乱暴だ。
 イザベラは、惚けたままルミナスを縛っていたタオルを解く。強く縛りつけたのか、手首に赤い跡が残ってしまった。
 イザベラの中に滞るルミナスは、再び持ち直しており、内壁をじりじりと突いてきた。
「さあ、この後はどうするつもりだ? 」
 怒りは収まらないものの、イザベラに主導権を明渡したままにするつもりだ。
「え? 」
「まさか、このままで終わりじゃないだろ」
 小説なら、これでお終いだ。
 躊躇するイザベラを、ルミナスは睨んできた。
 いつもは飄々として腹が立つくらいに余裕綽々なくせに、たまに覗かせる獣じみた荒々しさ。獰猛な獣が牙を剥いている。
 ゾクゾクっと震えが走る。
「うっ! だから、不意打ちはやめろ」
 いきなりルミナスは苦痛に顔を歪めた。
「え? 」
「子宮の先に当たってる。二度目も早かったら、俺の矜持はズタズタだ」
 いつも畏まって「私」などと使っているのに。「俺」なんて荒々しい言葉、初めて聞いた。
 ルミナスの隠された部分がどんどん剥がれていっている。
「もっと見せて。色々なあなたを」
 イザベラは片足をルミナスの片足の下に差し入れ、繋がり方を変えて密着の度合いを高めた。内壁を擦る角度が変わり、新たな刺激に身震いする。
「イ、イザベラ。駄目だ。今、動かれたら」
「もっと見たいの」
「イザベラ! 」
 ルミナスの困惑お構いなしで、再びイザベラは上下に皮膚を擦り付ける。摩擦で触れ合った場所がヒリヒリしようが、構わない。汗の粒が飛び、シーツに幾つも染み込んでいく。ベッドのスプリングが壊れてしまいかねないくらいに、ぎしぎしと軋んだ。あんまり振動させ過ぎて、サイドテーブルの水差しが倒れ、絨毯が水浸しになる。
 それすら気づかず、イザベラは夢中で腰を振った。
 すぐさま熱い液体が子宮を満たしていく。
 内側の粘膜を絡ませていたルミナスの硬さが、萎んでいく。
 舌打ちがイザベラの耳を掠めた。
「……君からの責苦は耐えられない」
 続いたのは、弱々しい彼の声。
 ぐったりとルミナスの胸に頬を預けて、ハアハアとなかなか整わない息の最中、イザベラはしてやったりと唇を弧の字に描いた。
「私の意見を尊重してくださる? 」
「ああ。口八丁で君を丸め込んだりはしない。誓う」
「約束よ」
 薄くて凛々しい唇にキスを落とす。
 ルミナスが啄むようなキスを返す。
 しばらくふざけたようなキスが続いたが、やがて艶めかしい息遣いに変わり、イザベラの微かな喘ぎが混じり始めた。
 
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