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イザベラの逆襲※
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「イザベラ。君ほど素晴らしい妻はいない」
ルミナスは真正面から抱きしめてきた。
「あの母を納得させたのだから」
感動に打ち震えているのとは違う。
彼の手は怪しくイザベラの尻を撫で回していた。
母親が帰った早々、これだ。
「待って」
力強くイザベラは静止させる。
ここで雰囲気に呑まれたら、相手の思う壺だ。
「お義母様が仰ったでしょう? 丸め込むのはいけないと」
「私は愛を語っているだけだよ」
「それが、丸め込むというのです」
怖い顔でイザベラは睨んだ。
ルミナスは大袈裟なくらいの演技で、絶望感を表に出す。芝居じみたように、首を横に振ると、大きく両手を広げて見せた。まるで、大衆に訴えかけるように。
「私は妻を抱くことも出来ないのか? 」
「一昨日、したばかりでしょ」
「もう待てない」
「辛抱が足りません」
「君を見ていたら、そんなもの風の前の塵同然だ」
「薄っぺらい理性なのね」
「本能に忠実だと言ってくれたまえ」
開き直った男には、何の言葉も通じない。
「わかったわ」
諦めの局地で、イザベラは深く溜め息をつく。
「私も流されてばかりは、いられませんから」
あまりこの手は使いたくなかったが、仕方ない。
「今夜は私の好きにさせてもらうわ」
「君の好きに? 」
ルミナスが素っ頓狂な声を上げる。
「ええ。私がリードする」
イザベラの目は本気だ。
「面白い。その話、乗った」
ルミナスは、新しい玩具を手に入れた子供のように、瞳を輝かせた。
「うっ……イザベラ……これは、拷問か? 」
「仕返しよ」
早速ルミナスは後悔しているようだ。
イザベラは行為の始まる前に、ルミナスの両手をタオルで縛り、動きを封じた。
ルミナスは新しい趣向に、むしろ悦んでさえいた。
形勢が変わったのは、イザベラがルミナスの陰茎に舌を這わせたときだ。
「このままじゃ……最悪の事態だ……」
「同じようなこと、あなただって私に仕掛けてきたでしょう」
「そうだが……」
見せびらかすように舌で表面をなぞれば、ルミナスはびくりと痙攣した。貞淑なイザベラがまさか恥ずかしげもなくこのようなことを仕出かすとは、考えにも及ばなかったらしい。以前も同じことはしたが、そのときは恥ずかしそうに俯いていた。
今はルミナスの表情の変化を漏らさないよう、凝視している。
イザベラはぬらぬらとら赤い舌で先端を舐ってから、咥え込んだ。視線はルミナスから離れない。
「もう……くそっ……」
「がらんがはりはいはよ」
「咥えながら喋るな! ああ! くそっ! 」
「まららめよ」
一旦口を離すと、小刻みに痙攣する膨れ上がったその先端の裂け目を指先で蓋してやる。
ルミナスは絶望的な声を上げ、両手で顔を覆う。
「ああ。君の中に入りたくて堪らないのに」
「今日は私の良いようにしてあげる」
「その台詞、新しく出版された小説そのままではないか」
「よくわかったわね」
「まさか。この後は」
「ええ。そうよ」
ニンマリ笑うと、イザベラは後ろ髪を纏めていたリボンをシュッと引き抜いた。たちまち、腰あたりまで黄金色の髪の毛が波打つ。体をくねらせれば、ルミナスの息を呑む気配。
イザベラは迷うことなくルミナスの根本に巻きつけると、少し硬めに縛ってやった。
ルミナスは真正面から抱きしめてきた。
「あの母を納得させたのだから」
感動に打ち震えているのとは違う。
彼の手は怪しくイザベラの尻を撫で回していた。
母親が帰った早々、これだ。
「待って」
力強くイザベラは静止させる。
ここで雰囲気に呑まれたら、相手の思う壺だ。
「お義母様が仰ったでしょう? 丸め込むのはいけないと」
「私は愛を語っているだけだよ」
「それが、丸め込むというのです」
怖い顔でイザベラは睨んだ。
ルミナスは大袈裟なくらいの演技で、絶望感を表に出す。芝居じみたように、首を横に振ると、大きく両手を広げて見せた。まるで、大衆に訴えかけるように。
「私は妻を抱くことも出来ないのか? 」
「一昨日、したばかりでしょ」
「もう待てない」
「辛抱が足りません」
「君を見ていたら、そんなもの風の前の塵同然だ」
「薄っぺらい理性なのね」
「本能に忠実だと言ってくれたまえ」
開き直った男には、何の言葉も通じない。
「わかったわ」
諦めの局地で、イザベラは深く溜め息をつく。
「私も流されてばかりは、いられませんから」
あまりこの手は使いたくなかったが、仕方ない。
「今夜は私の好きにさせてもらうわ」
「君の好きに? 」
ルミナスが素っ頓狂な声を上げる。
「ええ。私がリードする」
イザベラの目は本気だ。
「面白い。その話、乗った」
ルミナスは、新しい玩具を手に入れた子供のように、瞳を輝かせた。
「うっ……イザベラ……これは、拷問か? 」
「仕返しよ」
早速ルミナスは後悔しているようだ。
イザベラは行為の始まる前に、ルミナスの両手をタオルで縛り、動きを封じた。
ルミナスは新しい趣向に、むしろ悦んでさえいた。
形勢が変わったのは、イザベラがルミナスの陰茎に舌を這わせたときだ。
「このままじゃ……最悪の事態だ……」
「同じようなこと、あなただって私に仕掛けてきたでしょう」
「そうだが……」
見せびらかすように舌で表面をなぞれば、ルミナスはびくりと痙攣した。貞淑なイザベラがまさか恥ずかしげもなくこのようなことを仕出かすとは、考えにも及ばなかったらしい。以前も同じことはしたが、そのときは恥ずかしそうに俯いていた。
今はルミナスの表情の変化を漏らさないよう、凝視している。
イザベラはぬらぬらとら赤い舌で先端を舐ってから、咥え込んだ。視線はルミナスから離れない。
「もう……くそっ……」
「がらんがはりはいはよ」
「咥えながら喋るな! ああ! くそっ! 」
「まららめよ」
一旦口を離すと、小刻みに痙攣する膨れ上がったその先端の裂け目を指先で蓋してやる。
ルミナスは絶望的な声を上げ、両手で顔を覆う。
「ああ。君の中に入りたくて堪らないのに」
「今日は私の良いようにしてあげる」
「その台詞、新しく出版された小説そのままではないか」
「よくわかったわね」
「まさか。この後は」
「ええ。そうよ」
ニンマリ笑うと、イザベラは後ろ髪を纏めていたリボンをシュッと引き抜いた。たちまち、腰あたりまで黄金色の髪の毛が波打つ。体をくねらせれば、ルミナスの息を呑む気配。
イザベラは迷うことなくルミナスの根本に巻きつけると、少し硬めに縛ってやった。
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