[完結]ヤンデレ・メリバは好きですか?

紅月

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神と人の無情な決断

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「さて、このイベントでアイツは破滅するのが決定する」
「そしたらざまぁエンドね」

ゲームを知らなくてもざまぁエンドの事は知っている。
ユキは期待を込めてユリシリアを見詰めた。

「ああ。だが、ユキ、君にも決断をして貰わなければならない」

悪戯っ子の様な笑顔を見せるかと思っていたユリシリア。
だが、初めて見る冷たい硬質の輝きを放つ、ユリシリアの青紫の瞳をユキは正面から見た。

「君は屋上イベントを見たら、此処での全ての記憶を消して、現世で普通の人として生きるか、私に全てを支配され、私の為だけにこの場所で生きるか決めなさい」

非情な選択に、ユキは言葉を失った。

「無償の愛など期待しないで欲しいな。アリアは私の愛し子だから助けているが、君は違う」

きっぱりと言われ、無意識に自分もハナの様にユリシリアの慈悲に甘えていい、と思っていた事を理解した。
そして、自分はハナを守る為に生まれた存在だ。

「……そうでした。貴方はハナは大切だけど、って言ってましたね」

どうしてとも、酷いとも言わず、ユキは視線を自分の足下に落とし、息を吐いた。

「考える時間を下さい」

真っ白になった頭では結論が出ない。
少しでもいいから、落ち着いてこれからの事を考えたかった。

「今すぐ決断しなさい。君はどれだけ私の力を受けていたか、理解している筈だ」

ユリシリアの冷酷な言葉に、ユキは唇を噛んだ。

死んだハナのその後を知ることが出来たのも、ハナが幸せを掴もうとしているのを見れた事も、ユリシリアの力のおかげだ。

此処での記憶をなくし、ハナを失った悲しみしか残っていないが、菩提を弔いながら思い出を抱き締めていられるのは、現世でしか出来ない。

この世界に残ってもユリシリアに全てを支配されていたら、ハナを思う事も出来ないかもしれない。
そんな思いにユキは納得し、顔を上げた。

「私は現世に戻ります。今まで、過分な温情、ありがとうございます」

ユキが頭を下げると

「それが君の決断だね。理解した」

ユリシリアの青紫の瞳が冷たく光る。
ユリシリアにとって、ユキがどっちを決断しても意味はそれほど無いだろう。

ハナを守る為に生まれたユキにとって現世での、ハナとの思い出は生きる糧にも等しい。
ふぅ、と息を吐き下げていた頭を上げ、真っ直ぐユリシリアを見た。

白い髪、青紫の瞳をした背筋が寒くなる程の美貌の神。
二度と会えなくなるのが、少し寂しかった。

「屋上イベントの時、また呼ぶ」

感情の無い、冷たく聞こえるユリシリアの声にユキは頷き、現世に戻った。
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