【完結】断罪されなかった悪役令嬢ですが、その後が大変です

紅月

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断罪されなかったと嘆くつもりは無い

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「悪役令嬢なのに断罪されなかった上、今の方が大変ってどう言うことかしら?」

部屋に戻ったマリアーナの呟きにフローラがにっこり笑った。

「お嬢様、断罪出来なかったヒロインですが、出来なくて良かった、と思う私はどうすれば良いのでしょうか?」

フローラの言葉にマリアーナは首を傾げ、クスッと笑った。

「そうね。では、今の幸せを大切にしましょうか。大変だけど、今の方がずっと幸せだもの」

住む家が変わってもあっちこっちに走り回ったり、胃が痛い思いもするけど充実した日々だし、初恋を拗らせた婚約者の愛は重いけど幸せだから、修道院での生活より今の生活の方がずっと自分らしい。

「お嬢様。そろそろジルコン公爵令息様がお見えになる頃です」

フローラの声掛けにハッとなり、マリアーナは玄関に向かった。



シナリオ通りにならないからと言って、生きているもの達が不幸なわけでは無い。
そもそも、人生にシナリオなんて無いのだから。

「マリ、今日も綺麗だね」
「ユリアス様、昨日も同じ事を仰っていましたが」
「昨日よりも綺麗だからね。早くお嫁においで」

変に拗らせ、感情を押さえ付けていた反動からのユリアスの上から目線の言動は無くなりマリアーナへの賛辞や甘過ぎる言葉が止まらない。

笑い合う恋人達の楽しげな空気が早めの春の気配に色を添えていく。
マリアーナが純白のドレスを身に纏うのも後少しだ。



マリアーナとユリアスの婚約が整って暫くしたある日。

「またマリを独り占めされたわ」

義姉になったアマリアがぷりぷり怒りながら王宮のアレクセイの執務室にいた。

「義妹が可愛くて仕方ないって言っても、マリアーナ嬢は……」

アレクセイが苦笑を浮かべながらアマリアを宥める。

「マリが我が家に居られるのはたった一年なのに」

来年にはジルコン家に嫁いでしまう。
やっと年齢に見合う笑顔を見せるマリアーナともっと姉妹らしい事がしたいのに、ユリアスの独占欲は呆れるほどだ。

「でも、そうやって妹のことを可愛がるアマリアも可愛いよ」

アレクセイの流し目に、アマリアが頬を赤くしてあたふたした。
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