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絶望の檻
15 悪夢の扉 2
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看守は囚人を連れて通路の奥へと進む。突き当たりには扉があり、そこに向かっているようだ。
「こんな時間に釈放か? そんなわけ……いや、こっそりノルドグレーンに移送しちまう気なら有り得る話か」
リースベットは足音を立てないように後を追った。鉄格子が開いたままの牢がいくつかあり、それらに身を隠しながら近付くことができる。看守は持っていた鍵で扉を開け、囚人の背中を乱暴に押して部屋の中に入れた。扉の間からは強い光が漏れ、かすかだが男の声が聞こえる。
「ひょっとしてあれがエーベルゴードの……? 女に見えたが、まさかな」
リースベットはわざと鉄格子をククリナイフの柄で叩いて物音を立てた。看守がそれに気付き、腰の剣に手をかけて近寄ってくる。
「おい、うるさいぞ……」
看守が面倒くさそうに文句を言った牢の扉は開いており、中はもぬけの殻だ。不審に思った看守が鉄格子をくぐろうとすると、突然何かに胸ぐらをつかまれ、首に刃物が突きつけられた。天井の梁と鉄格子に手足をかけて身を隠していたリースベットが、上体だけ降りてきたのだ。
「悪かったなうるさくて。お前も騒ぐなよ?」
「あっ?!」
リースベットが逆さ吊りのまま恫喝する。看守が剣を抜こうとしたため、リースベットは体を捻りながら着地し、その勢いで看守を投げて背中を床に叩きつけた。
「おい答えろ……って、あら?」
石敷きの床で後頭部を強打したためか、看守は気絶してしまったようだ。リースベットは看守が腰につけていた鍵束を外し、オスカで服を切り裂いて剥ぎ取る。その布切れをを結んだ紐で腕を鉄格子に縛りつけ、猿ぐつわを噛ませた。
「しゃーねえ、自分で確かめるとするか」
リースベットが鉄格子をくぐると、通路の向こうにアウロラの後ろ姿が見えた。合流しようとしないところを見ると、どうやらまだ有力な情報は得られていないようだ。リースベットは鍵束を指先で回しながら、看守が女の囚人を押し込んだ扉へと向かった。
扉の奥からは、怯えた女のうめき声らしきものが聞こえてくる。鍵束には十本以上の鍵がついているが、そのうちどれが適合するかは察しがついた。鉄製の簡素な鍵の中に、ひとつだけつまみに装飾の施されたものが混じっていたからだ。
怒ったような男の声と女の悲鳴が聞こえる。リースベットは不思議と、柄にもなく背筋に悪寒を覚えた。鍵穴に差し込まれた鍵はなめらかに一周りし、扉が開く。
「こんな時間に釈放か? そんなわけ……いや、こっそりノルドグレーンに移送しちまう気なら有り得る話か」
リースベットは足音を立てないように後を追った。鉄格子が開いたままの牢がいくつかあり、それらに身を隠しながら近付くことができる。看守は持っていた鍵で扉を開け、囚人の背中を乱暴に押して部屋の中に入れた。扉の間からは強い光が漏れ、かすかだが男の声が聞こえる。
「ひょっとしてあれがエーベルゴードの……? 女に見えたが、まさかな」
リースベットはわざと鉄格子をククリナイフの柄で叩いて物音を立てた。看守がそれに気付き、腰の剣に手をかけて近寄ってくる。
「おい、うるさいぞ……」
看守が面倒くさそうに文句を言った牢の扉は開いており、中はもぬけの殻だ。不審に思った看守が鉄格子をくぐろうとすると、突然何かに胸ぐらをつかまれ、首に刃物が突きつけられた。天井の梁と鉄格子に手足をかけて身を隠していたリースベットが、上体だけ降りてきたのだ。
「悪かったなうるさくて。お前も騒ぐなよ?」
「あっ?!」
リースベットが逆さ吊りのまま恫喝する。看守が剣を抜こうとしたため、リースベットは体を捻りながら着地し、その勢いで看守を投げて背中を床に叩きつけた。
「おい答えろ……って、あら?」
石敷きの床で後頭部を強打したためか、看守は気絶してしまったようだ。リースベットは看守が腰につけていた鍵束を外し、オスカで服を切り裂いて剥ぎ取る。その布切れをを結んだ紐で腕を鉄格子に縛りつけ、猿ぐつわを噛ませた。
「しゃーねえ、自分で確かめるとするか」
リースベットが鉄格子をくぐると、通路の向こうにアウロラの後ろ姿が見えた。合流しようとしないところを見ると、どうやらまだ有力な情報は得られていないようだ。リースベットは鍵束を指先で回しながら、看守が女の囚人を押し込んだ扉へと向かった。
扉の奥からは、怯えた女のうめき声らしきものが聞こえてくる。鍵束には十本以上の鍵がついているが、そのうちどれが適合するかは察しがついた。鉄製の簡素な鍵の中に、ひとつだけつまみに装飾の施されたものが混じっていたからだ。
怒ったような男の声と女の悲鳴が聞こえる。リースベットは不思議と、柄にもなく背筋に悪寒を覚えた。鍵穴に差し込まれた鍵はなめらかに一周りし、扉が開く。
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