輝冠摂理の神生譚~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指します~

G.なぎさ

文字の大きさ
11 / 42

3話ー➃ 黒幕がヤバすぎる!?

しおりを挟む




 僕達は天上神界の最高神 十神柱アファルティア様の眼前にいた。


「アファルティア様。お久しぶりにございます。この度は」

「もう少し崩してもいいですよ?私とあなた達との仲ですから。」

「ありがとうございます。少し口調を崩します。」

「あ……あぅぁ」


 この女神は僕ら兄妹を神界に導き、昇神させてくれた恩神だ。
そのおかげで、僕たち兄妹は今日も生きていられるのだ。本当に頭が上がらない。

ちなみに妹は隣でガチガチに固まり、口をパクパクさせている。
しばらくは役に立たないだろう。


「今回私が来た経緯を説明しますね?神界側もこの件は重く捉えています。本来であればギルドの役員が来る予定だったのですが、報告者があなた達という事もあり、急遽私がお話を伺いにまいりました。」

「なるほど。そうだったんですね。お忙しい中、ありがとうございます。」

「暇という訳ではないのですけれど……特別忙しいという訳でもなかったので気にしないで下さいね?」

「はい。」


 この状況でこちらから狂化の件を切り出すのは、無礼に当たるかもしれない。

アファルティア様がこうして気さくに話をしてくださっているのは、隣でガチガチに緊張している妹の和らげるためだろう。本当に慈愛に満ちた女神様だ。


「エリーさんの緊張も少しだけ解れたようですので……報告の件に入りましょう。」


 僕はキノコの件や狂化ベヒモスの仮説など、妹と共に考察した内容を基に報告を行った。

 憶測の部分は本来控えるべきだが、この人とは確固たる信頼関係がある。
また融通も利くため、あえてその点も含めて話すことにした。


「なるほど。私達十神柱の仮説とほとんど相違ありません。植物については私達も疑っておりましたが、まさかキノコですか……また現在、あの惑星の大気中の成分を計測しています。」

「げ……現地に行っていないのに、そこまで予測されたのですか!?」

「大気中。濃度。念頭に。ありません、でした。」


やはりエリーはガチガチだ。


「いえ。私は貢献してないですよ?こういう推理が得意な方がおりまして……その方が言い始めたんです!私でも犯人の方については、経験から検討はつきますけれど……」


 今、確かにアファルティア様は犯人に心当たりがあると言った。この方は悠久の時を生きてきた古い女神様だ。

 彼女は僕が生まれる遥か昔から、役職変わらず十神柱として活躍している。
その知識と経験は計り知れない。


「アファルティア様。何か……心当たりでもあるのですか?」

「ヴァラル。という名前をご存知ですか?」


 ヴァラル……伝承や童話に登場する絶対的巨悪。
その名を聞くだけで、神界の住人たちは凍りつくほどの存在だ。

 天上神界の全盛時代……先代の全神王様でさえその存在を滅ぼせなかった。
そんな史上最凶最悪の存在として知られている。

 彼の悪行は神界の歴史に深く刻まれ、恐怖と絶望の象徴として語り継がれている。
 ヴァラルの力は圧倒的で、彼の影響力は今もなお神界の隅々にまで及んでいる。

 その名が語られるとき、そこには必ず畏怖と戦慄が伴うのだ。


「ヴァラル?おにぃ誰?」

「いや、何で知らないんだよ?まぁいいよ。アファルティア様。今回の件はそのヴァラルが仕掛けた事なのですか?」

「天上神界の予想を上回ってきたので……私としてはヴァラルでは無いかと思います。」


 しかしもしそれが真実だと仮定するなら、状況は最悪かもしれない。


「しかし何故今になって……アファルティア様ヴァラルとは一体何者なのでしょうか?」


 僕は推察力や考察力には自信があるが、彼女のように長い歴史を知る存在から学ぶことが多い。

 彼女の発言を元に、少しずつ真実に近づけるよう思考を巡らせているが、まだ結論にはたどりつけない。

 書庫で手当たり次第に本を読み漁っているが、童話や昔話以外でヴァラルの存在を確認できる記述は見当たらない。

 上位の神々は長寿ゆえに、古い情報が埋もれてしまうことがあるのだろうか?
それとも、ヴァラルに関する情報が意図的に抹消されているのか?


「申し訳ありません。あなたの情報権限では、その質問にはお答えする事はできません。秘匿事項が絡んできますので……」

「分かりました。本日はありがとうございます。」


 秘匿事項が絡む。確かにアファルティア様はそう発言なされた。

 だが、これはヴァラルの存在自体が機密事項ではないという事だ。
その成り立ちや、歴史を語る際に関わる「何か」が機密だという意味に取れる。

 本来、そのようなニュアンスを使う必要はない。
アファルティア様がルールのギリギリまで融通をきかせてくれているのだろう。

 彼女の配慮に僕は感謝せずにはいられなかった。


「情報ありがとうございます。」

「あ……ありがとう。ござ、ます。」

「お気を付けて帰ってくださいね。」


 僕らは一礼し、必要な情報を頭の中で精査しなつつ部屋を退室した。
エリーは終始緊張してほとんど話せずにいた。

 廊下に出ると、彼女はやっと深呼吸をして少しだけ緊張を解いたようだった。


「おい、なんか話してくれよ……僕一人で報告することになったじゃないか!?」

「だって、憧れの人。恩人。超偉い人。緊張する。」

「にしたってなぁ……」


 エリーは淡々と答え、僕も軽く肩をすくめた。
そして、ギルドの出口に向かって歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

外れスキル【畑耕し】で辺境追放された俺、チート能力だったと判明し、スローライフを送っていたら、いつの間にか最強国家の食糧事情を掌握していた件

☆ほしい
ファンタジー
勇者パーティーで「役立たず」と蔑まれ、役立たずスキル【畑耕し】と共に辺境の地へ追放された農夫のアルス。 しかし、そのスキルは一度種をまけば無限に作物が収穫でき、しかも極上の品質になるという規格外のチート能力だった! 辺境でひっそりと自給自足のスローライフを始めたアルスだったが、彼の作る作物はあまりにも美味しく、栄養価も高いため、あっという間に噂が広まってしまう。 飢饉に苦しむ隣国、貴重な薬草を求める冒険者、そしてアルスを追放した勇者パーティーまでもが、彼の元を訪れるように。 「もう誰にも迷惑はかけない」と静かに暮らしたいアルスだったが、彼の作る作物は国家間のバランスをも揺るがし始め、いつしか世界情勢の中心に…!? 元・役立たず農夫の、無自覚な成り上がり譚、開幕!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...