16 / 28
8ー1 グレッグの彼女
しおりを挟む
一学期が終わろうという7月の中頃近くなっていた。
放課後にグレッグがいつものように魔法術の本を席に腰かけて読んでいると、背中からフローレインが、
「どんな本を読んでらっしゃるのかしら?」
と、尋ねてきた。
デスモント卿から言われた助言を、フローレインなりに熟考を重ねて、図書室に誰もいないのを見計らった上での判断だった。
(グレッグを忘れられない。今を愛するというなら
彼との思い出を作りたい。でも、異性にわたくしから話しかけるなんて、緊張する……)
フローレインの目は緩んでいるものの、唇の端はわずかに強ばっている。
フローレインは滅多に声をかけては来ないので、
グレッグは一瞬、驚いたように彼女を見あげた。
(急に近づいたから、当然ですわよね)
けれどもグレッグは、すぐいつもの優しい笑顔になり、
「『魔法薬の作り方』です」
と、小声でこたえた。
「魔法薬にご興味が?」
「ええ。良かったら、話でも」
グレッグが席を引いてくれたので、
「仕方ないですわね」
と、フローレインは隣に座った。
「ぼくは、たとえば、貧しくても簡単に野草を魔法で高価な商品に変えられる方法が見つけようと調べているんです。もし、できたら平民の彼女の暮らし向きは幾分良くなるはずだし。だから、もし、資料が見つかったら、渡してあげたいんです。でも、ぼくは魔法の血は弱いから、それほどの魔力は使えないし」
(そうだったのですね。でも、彼女って……誰なのかしら)
フローレインは、首を傾げた。すると、グレッグは前髪をいじりながら、
「ごめんなさい。つまらない話をしました。魔法を金銭目的にするのは、禁じられていますから」
と、薄く笑った。
「当たり前ですわね。そんなこと、馬鹿げたことですわね」
「だよね。馬鹿げたことです」
どこか、さみしげな顔色だった。
「ごめんなさい。違うのです。わたくし、かえって興味がわきましたわ」
「えっ、本当ですか?」
グレッグの顔に明かりがさした。
「良かったら、わたくし、スハルト先生の特別指導を受けていますから、助けになれそうですわよ。だいぶ、面倒ではありますが」
フローレインは笑顔で返すと、グレッグは膝に置いた彼女の手を取った。
「ありがとう。それは助かる。彼女がどんなに喜ぶか、目に浮かぶようです。あ、ごめんなさい」
(えっ……。いつも冷静なグレッグなのに)
慌てて、手を引っ込めるグレッグを、フローレインは少し瞳を丸くしながら見た。
「いえ、そんなこと、お安いご用ですわ。ところで、その、助けてあげたい彼女とは……その……どなたかしらね? 名前ぐらいは知っておきたいかしら」
フローレインは口ごもり、グレッグの顔色をうかがう。
「彼女の名前はアンティネットというんです。ぼくの幼なじみで、今でも好きなのです。今は、義理の父母には遠出は禁じられています。けれど、卒業する18歳になったら、すぐにでも迎えに行きたいのです」
(アンティネット……。好きな方が、もう、いたのね)
フローレインは、胸元にかすかな痛みを感じながら、
「アンティネット? 変わったお名前ですわね。それでは、また、放課後に、こちらにうかがいます」
と、グレッグに握られた手のひらの温みを抱えて、部屋を後にした。
***
3日後、フローレインは意を決して、デスモント卿に頼まれた資料を格子越しに渡してから、
「あの、ご相談があるのですが」
と、おそるおそるグレッグから引き受けた話を切り出した。
デスモント卿は、腕を組んで、フローレインの話を聞いた後、
「まず、スハルトには相談したのですか?」
と、尋ねた。
「実はまだ、きいていませんわ。いいえ、きけませんわ、そんなことは。非常識ですわ」
フローレインは、何度も首を振りながら、うつむいた。
魔法を商売の道具にしてはいけないのは、魔法を扱う者として、当然の話だったし、それを魔法省の上級役人に話すことなど、できない相談だ。
「ですが、ぼくなんかに聞いていいのですか? 怖くないのですか?」
「怖いですわ。でも、彼を助けてあげたいのです。人助けは、性に合いませんが」
「そんな危険を冒してまで。彼のことが好きですか?」
フローレインは、目を反らして、
「ち、違いますわ……あくまで友人として、ですわ。変な勘ぐりはおやめください」
(言えるわけありません。グレッグが本当に好きかどうかさえ。ただ気になるだけだし……)
「嘘はよくありませんよ。自分の気持ちに正直であるべきだ」
「嘘なんて……だから違いますと、言ったではありませんか」
「ぼくの目は誤魔化せないです。相談に乗るかは、君次第。ぼくの前では、本音を話してください。これまでのあなたの素適なところは誠実さでした。スハルトは、」
デスモント卿は、赤く燃え立つような瞳を、フローレインに向けている。
「彼は、ぼくに対して不敬にあたるような、お眼鏡にかなうような人物を助手にしたはずです。そうしなければ、ぼくはあなたを採用などしていません」
「ふん、そうでしたか。でも、わたくしは、ただ、スハルト先生が最近、飛行船の製造で、造船所の視察で忙しくなっただけだと思っていましたわ」
「……実は、助手に採用されたのは、君が初めてです。スハルトとぼくで選んだ」
「えっ……そうだったのですか。それはありがた迷惑というか。どうでも良いお話ですけれど」
(囚人と選んで決めたなんて。スハルト先生とデスモント卿はこれほど親密なのかしら)
フローレインの顔つきは、やや強ばる。
デスモント卿は、フローレインを見透かすように見ながら、
「それで、魔法の品で、よく売れる高値は何だと思いますか?」
「……治癒草でしょうね。止血に使いますわ。それに占い草や……」
「それは、魔法草を使わなくても、薬草や祈祷師、霊媒師で代行できます。高値では売れません。実は、これまで君が学んできた白魔法では解決はできない話なのです」
「では、一体、どんなものがあるのです……?」
「恋草です」
「……恋草? そんなもの」
フローレインは、眉をひそめた。
「そうですよ。あれは、確実に売れました。平民のわたしはお金で爵位を買い、この学園で学んだのです。そして、だれよりも強い魔力を手に入れました」
デスモント卿は、懐かしそうに窓の方を眺める。見つめた先の魔法の窓の向こうに、粗末な服を着た少年が、ゴサを敷いて草の束を売っている姿が映った。
「あの男の子は……?」
「あれは、昔のぼくです。貧しくて、小さな頃から露店で生活費を稼いでいました。飢えをしのぐため、ぼくは、闇魔法に手を出したわけです。その魔法術を、ぼくは教えても構わない。君が誠実さを見せてくれれば……」
「誠実さ……? くだらないですわ」
「これから君は、ぼくに個人的な話をしてほしい。特に君の好きな彼のことだ。彼の名前は何というのか。彼をどう思っているか、ぼくに君の世界教えてほしい。ぼくは、君の望むような世界に変えてあげられます」
(そんなことはできないわ。スハルト先生から、そんな話はしてはいけないと、口止めされて……)
しかし、心の声とは裏腹に出てきた言葉は、
「仕方ないですわね。グレッグ公爵子息ですわ。デスモント様には誠実にお答えしますわ……。本当に困った方ですわね」
と、頭を垂れていた。
放課後にグレッグがいつものように魔法術の本を席に腰かけて読んでいると、背中からフローレインが、
「どんな本を読んでらっしゃるのかしら?」
と、尋ねてきた。
デスモント卿から言われた助言を、フローレインなりに熟考を重ねて、図書室に誰もいないのを見計らった上での判断だった。
(グレッグを忘れられない。今を愛するというなら
彼との思い出を作りたい。でも、異性にわたくしから話しかけるなんて、緊張する……)
フローレインの目は緩んでいるものの、唇の端はわずかに強ばっている。
フローレインは滅多に声をかけては来ないので、
グレッグは一瞬、驚いたように彼女を見あげた。
(急に近づいたから、当然ですわよね)
けれどもグレッグは、すぐいつもの優しい笑顔になり、
「『魔法薬の作り方』です」
と、小声でこたえた。
「魔法薬にご興味が?」
「ええ。良かったら、話でも」
グレッグが席を引いてくれたので、
「仕方ないですわね」
と、フローレインは隣に座った。
「ぼくは、たとえば、貧しくても簡単に野草を魔法で高価な商品に変えられる方法が見つけようと調べているんです。もし、できたら平民の彼女の暮らし向きは幾分良くなるはずだし。だから、もし、資料が見つかったら、渡してあげたいんです。でも、ぼくは魔法の血は弱いから、それほどの魔力は使えないし」
(そうだったのですね。でも、彼女って……誰なのかしら)
フローレインは、首を傾げた。すると、グレッグは前髪をいじりながら、
「ごめんなさい。つまらない話をしました。魔法を金銭目的にするのは、禁じられていますから」
と、薄く笑った。
「当たり前ですわね。そんなこと、馬鹿げたことですわね」
「だよね。馬鹿げたことです」
どこか、さみしげな顔色だった。
「ごめんなさい。違うのです。わたくし、かえって興味がわきましたわ」
「えっ、本当ですか?」
グレッグの顔に明かりがさした。
「良かったら、わたくし、スハルト先生の特別指導を受けていますから、助けになれそうですわよ。だいぶ、面倒ではありますが」
フローレインは笑顔で返すと、グレッグは膝に置いた彼女の手を取った。
「ありがとう。それは助かる。彼女がどんなに喜ぶか、目に浮かぶようです。あ、ごめんなさい」
(えっ……。いつも冷静なグレッグなのに)
慌てて、手を引っ込めるグレッグを、フローレインは少し瞳を丸くしながら見た。
「いえ、そんなこと、お安いご用ですわ。ところで、その、助けてあげたい彼女とは……その……どなたかしらね? 名前ぐらいは知っておきたいかしら」
フローレインは口ごもり、グレッグの顔色をうかがう。
「彼女の名前はアンティネットというんです。ぼくの幼なじみで、今でも好きなのです。今は、義理の父母には遠出は禁じられています。けれど、卒業する18歳になったら、すぐにでも迎えに行きたいのです」
(アンティネット……。好きな方が、もう、いたのね)
フローレインは、胸元にかすかな痛みを感じながら、
「アンティネット? 変わったお名前ですわね。それでは、また、放課後に、こちらにうかがいます」
と、グレッグに握られた手のひらの温みを抱えて、部屋を後にした。
***
3日後、フローレインは意を決して、デスモント卿に頼まれた資料を格子越しに渡してから、
「あの、ご相談があるのですが」
と、おそるおそるグレッグから引き受けた話を切り出した。
デスモント卿は、腕を組んで、フローレインの話を聞いた後、
「まず、スハルトには相談したのですか?」
と、尋ねた。
「実はまだ、きいていませんわ。いいえ、きけませんわ、そんなことは。非常識ですわ」
フローレインは、何度も首を振りながら、うつむいた。
魔法を商売の道具にしてはいけないのは、魔法を扱う者として、当然の話だったし、それを魔法省の上級役人に話すことなど、できない相談だ。
「ですが、ぼくなんかに聞いていいのですか? 怖くないのですか?」
「怖いですわ。でも、彼を助けてあげたいのです。人助けは、性に合いませんが」
「そんな危険を冒してまで。彼のことが好きですか?」
フローレインは、目を反らして、
「ち、違いますわ……あくまで友人として、ですわ。変な勘ぐりはおやめください」
(言えるわけありません。グレッグが本当に好きかどうかさえ。ただ気になるだけだし……)
「嘘はよくありませんよ。自分の気持ちに正直であるべきだ」
「嘘なんて……だから違いますと、言ったではありませんか」
「ぼくの目は誤魔化せないです。相談に乗るかは、君次第。ぼくの前では、本音を話してください。これまでのあなたの素適なところは誠実さでした。スハルトは、」
デスモント卿は、赤く燃え立つような瞳を、フローレインに向けている。
「彼は、ぼくに対して不敬にあたるような、お眼鏡にかなうような人物を助手にしたはずです。そうしなければ、ぼくはあなたを採用などしていません」
「ふん、そうでしたか。でも、わたくしは、ただ、スハルト先生が最近、飛行船の製造で、造船所の視察で忙しくなっただけだと思っていましたわ」
「……実は、助手に採用されたのは、君が初めてです。スハルトとぼくで選んだ」
「えっ……そうだったのですか。それはありがた迷惑というか。どうでも良いお話ですけれど」
(囚人と選んで決めたなんて。スハルト先生とデスモント卿はこれほど親密なのかしら)
フローレインの顔つきは、やや強ばる。
デスモント卿は、フローレインを見透かすように見ながら、
「それで、魔法の品で、よく売れる高値は何だと思いますか?」
「……治癒草でしょうね。止血に使いますわ。それに占い草や……」
「それは、魔法草を使わなくても、薬草や祈祷師、霊媒師で代行できます。高値では売れません。実は、これまで君が学んできた白魔法では解決はできない話なのです」
「では、一体、どんなものがあるのです……?」
「恋草です」
「……恋草? そんなもの」
フローレインは、眉をひそめた。
「そうですよ。あれは、確実に売れました。平民のわたしはお金で爵位を買い、この学園で学んだのです。そして、だれよりも強い魔力を手に入れました」
デスモント卿は、懐かしそうに窓の方を眺める。見つめた先の魔法の窓の向こうに、粗末な服を着た少年が、ゴサを敷いて草の束を売っている姿が映った。
「あの男の子は……?」
「あれは、昔のぼくです。貧しくて、小さな頃から露店で生活費を稼いでいました。飢えをしのぐため、ぼくは、闇魔法に手を出したわけです。その魔法術を、ぼくは教えても構わない。君が誠実さを見せてくれれば……」
「誠実さ……? くだらないですわ」
「これから君は、ぼくに個人的な話をしてほしい。特に君の好きな彼のことだ。彼の名前は何というのか。彼をどう思っているか、ぼくに君の世界教えてほしい。ぼくは、君の望むような世界に変えてあげられます」
(そんなことはできないわ。スハルト先生から、そんな話はしてはいけないと、口止めされて……)
しかし、心の声とは裏腹に出てきた言葉は、
「仕方ないですわね。グレッグ公爵子息ですわ。デスモント様には誠実にお答えしますわ……。本当に困った方ですわね」
と、頭を垂れていた。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
あなたはその人が好きなんですね。なら離婚しましょうか。
水垣するめ
恋愛
お互い望まぬ政略結婚だった。
主人公エミリアは貴族の義務として割り切っていた。
しかし、アルバート王にはすでに想いを寄せる女性がいた。
そしてアルバートはエミリアを虐げ始めた。
無実のエミリアを虐げることを、周りの貴族はどう捉えるかは考えずに。
気づいた時にはもう手遅れだった。
アルバートは王の座から退かざるを得なくなり──。
永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……
矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。
『もう君はいりません、アリスミ・カロック』
恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。
恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。
『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』
『えっ……』
任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。
私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。
それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。
――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。
※このお話の設定は架空のものです。
※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる