46 / 66
(46)
しおりを挟む
「これは、アナリス!」
大広間に足を踏み入れた途端、ラファエルがタキシード姿で歩み寄ってきた。
「わざわざ、ダンスのレッスンに巻き込んで悪かったね」
ラファエルはそう言うと、恭しく一礼した。
「わああ……ラフィー様っ!」
(スパルタ教師は……ラフィーだったのね!)
アナリスは感激して胸が高鳴るのを感じた。
やはり実物の王太子殿下はとても素敵である。
見惚れていると、彼が手を差し出してきたので、思わずどきりとした。
──だが、その手を取ることができずに躊躇してしまう。
そんなアナリスの様子を見て取ったのか、ラファエルは安心させようとにっこりと微笑んだ。
「心配はいらない。さあ、こちらへ……」
ラファエルはアナリスの手を取ると、大広間の中央へと導いた。
そして、流れるような動作で腰に手を回すと踊り始める。
──優雅なワルツの調べに乗って踊るうちに、アナリスは次第に緊張が解けていくのを感じた。
(ああ……ラフィー様ってなんて素敵なんだろう?)
アナリスはうっとりとして、ラファエルの顔を見つめていた。
(このまま時間が止まればいいのに……)
ラファエルは彼女の手を取り、軽やかなステップでダンスを続ける。
時折、悪戯っぽく笑いかけると、アナリスも微笑み返した。
(ああ……わたし今、幸せな気分だわ)
アナリスは心の中で呟くと、うっとりとした表情でラファエルを見つめながら踊り続ける。
「きみが思っていた以上に踊れているよ」
ラファエルが耳元で囁いた。
「そ、それはラフィー様が上手にリードしてくださったからで……」
アナリスは照れ笑いを浮かべると、慌てて答えた。
「ありがとう……そう言ってくれると嬉しいよ」
(ああ……この時間がずっと続けばいいのに)
アナリスは心の中でそう思ったが、やがて曲が終わった。
二人は名残惜しそうに離れると、壁際に移動した。
「アナリスってダンスも得意なんだね」
ラファエルが、感心したように言った。
「そ、そんなことはないです……ラフィー様がお上手だから……」
アナリスは、顔から火が出そうになりながら言った。
大広間に足を踏み入れた途端、ラファエルがタキシード姿で歩み寄ってきた。
「わざわざ、ダンスのレッスンに巻き込んで悪かったね」
ラファエルはそう言うと、恭しく一礼した。
「わああ……ラフィー様っ!」
(スパルタ教師は……ラフィーだったのね!)
アナリスは感激して胸が高鳴るのを感じた。
やはり実物の王太子殿下はとても素敵である。
見惚れていると、彼が手を差し出してきたので、思わずどきりとした。
──だが、その手を取ることができずに躊躇してしまう。
そんなアナリスの様子を見て取ったのか、ラファエルは安心させようとにっこりと微笑んだ。
「心配はいらない。さあ、こちらへ……」
ラファエルはアナリスの手を取ると、大広間の中央へと導いた。
そして、流れるような動作で腰に手を回すと踊り始める。
──優雅なワルツの調べに乗って踊るうちに、アナリスは次第に緊張が解けていくのを感じた。
(ああ……ラフィー様ってなんて素敵なんだろう?)
アナリスはうっとりとして、ラファエルの顔を見つめていた。
(このまま時間が止まればいいのに……)
ラファエルは彼女の手を取り、軽やかなステップでダンスを続ける。
時折、悪戯っぽく笑いかけると、アナリスも微笑み返した。
(ああ……わたし今、幸せな気分だわ)
アナリスは心の中で呟くと、うっとりとした表情でラファエルを見つめながら踊り続ける。
「きみが思っていた以上に踊れているよ」
ラファエルが耳元で囁いた。
「そ、それはラフィー様が上手にリードしてくださったからで……」
アナリスは照れ笑いを浮かべると、慌てて答えた。
「ありがとう……そう言ってくれると嬉しいよ」
(ああ……この時間がずっと続けばいいのに)
アナリスは心の中でそう思ったが、やがて曲が終わった。
二人は名残惜しそうに離れると、壁際に移動した。
「アナリスってダンスも得意なんだね」
ラファエルが、感心したように言った。
「そ、そんなことはないです……ラフィー様がお上手だから……」
アナリスは、顔から火が出そうになりながら言った。
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
王太子エンドを迎えたはずのヒロインが今更私の婚約者を攻略しようとしているけどさせません
黒木メイ
恋愛
日本人だった頃の記憶があるクロエ。
でも、この世界が乙女ゲームに似た世界だとは知らなかった。
知ったのはヒロインらしき人物が落とした『攻略ノート』のおかげ。
学園も卒業して、ヒロインは王太子エンドを無事に迎えたはずなんだけど……何故か今になってヒロインが私の婚約者に近づいてきた。
いったい、何を考えているの?!
仕方ない。現実を見せてあげましょう。
と、いうわけでクロエは婚約者であるダニエルに告げた。
「しばらくの間、実家に帰らせていただきます」
突然告げられたクロエ至上主義なダニエルは顔面蒼白。
普段使わない頭を使ってクロエに戻ってきてもらう為に奮闘する。
※わりと見切り発車です。すみません。
※小説家になろう様にも掲載。(7/21異世界転生恋愛日間1位)
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
気がついたら自分は悪役令嬢だったのにヒロインざまぁしちゃいました
みゅー
恋愛
『転生したら推しに捨てられる婚約者でした、それでも推しの幸せを祈ります』のスピンオフです。
前世から好きだった乙女ゲームに転生したガーネットは、最推しの脇役キャラに猛アタックしていた。が、実はその最推しが隠しキャラだとヒロインから言われ、しかも自分が最推しに嫌われていて、いつの間にか悪役令嬢の立場にあることに気づく……そんなお話です。
同シリーズで『悪役令嬢はざまぁされるその役を放棄したい』もあります。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
失敗作の愛し方 〜上司の尻拭いでモテない皇太子の婚約者になりました〜
荒瀬ヤヒロ
恋愛
神だって時には失敗する。
とある世界の皇太子に間違って「絶対に女子にモテない魂」を入れてしまったと言い出した神は弟子の少女に命じた。
「このままでは皇太子がモテないせいで世界が滅びる!皇太子に近づいて「モテない魂」を回収してこい!」
「くたばれクソ上司」
ちょっと口の悪い少女リートは、ろくでなし上司のせいで苦しむ皇太子を救うため、その世界の伯爵令嬢となって近づくが……
「俺は皇太子だぞ?何故、地位や金目当ての女性すら寄ってこないんだ……?」
(うちのろくでなしが本当にごめん)
果たしてリートは有り得ないほどモテない皇太子を救うことができるのか?
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
悪役令嬢はヒロインの幼なじみと結ばれました
四つ葉菫
恋愛
「シャルロッテ・シュミット!! お前に婚約破棄を言い渡す!」
シャルロッテは婚約者である皇太子に婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には『ヒロイン』の姿が。
理由はシャルロッテがヒロインを何度も虐めたためだ。
覚えのない罪ではあるが、ここまでの道のりはゲームの筋書き通り。悪役は断罪される運命なのだろうと、諦めかけたその時――。
「ちょっと待ってくださいっ!!」
ヒロインの幼なじみであり、ゲームのサポートキャラであるカイル・ブレイズが現れた――。
ゆる〜い設定です。
なので、ゆる〜い目でご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる