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 すると、ラファエルがくすくすと笑う。

「僕のダンスのどこが気に入ったのかな?」

「えっ……?  どこって、その……」

 アナリスは、口籠もってしまう。

 正直に告白するなんてできないと思ったからだ。

「僕が魅力的に見えて、仕方がないとか?」

 ラファエルは、冗談めかした口調で言う。

(ええ……そうなんです)

 アナリスは心の中で答えたが、口には出せずに、目を反らした。

「ふふ……正直だね」

 ラファエルはそう言って微笑んだ。

「あ、あのっ……ラフィー様。実はお願いがあるんです」

 アナリスは、思いきって切り出した。

「何かな?」

 ラファエルは首を傾げた。

 アナリスの心臓が、どきどきと音を立てる。

──だが、勇気を出して言葉を絞り出す。

「いっしょにドレスを選んでいただけませんか?」

「もちろんだ」

 ラファエルはアナリスの手を取ると、女官長を呼び、衣裳部屋に案内させる。

 その部屋には色とりどりのパーティドレスが飾られていた。

「これはどうでしょう?」

 女官長はゆっくりとアナリスに近づくと、深い青を基調としたドレスを勧めた。

 アナリスは試着してみると、鏡に映った自分の姿に驚いた。

──それはまるで夜空に浮かぶ月のような美しさだった。

「とてもお綺麗です……」

 女官長は感嘆した様子で言った。

「素敵だね」

 ラファエルも満足げに頷いた。

「ええ……わたしもそう思います」

 アナリスは恥ずかしくなって俯いた。

「メイリーン嬢、髪に飾るリボンの色はどうする?」

 ラファエルがアナリスの顔を覗き込みながら尋ねる。

「わたしは……ラフィー様に選んでいただきたいです」

 アナリスは思い切って言った。

「わかった」

 ラファエルは頷くと、青を基調としたドレスに純白のリボンを選んでくれる。  

──そのドレスを着てみると、まるで自分がお姫様になったような気がした。

「メイリーン嬢、あらためて僕と踊っていただけませんか?」

 ラファエルは、手を差し出してきた。

 アナリスは胸が高鳴るのを感じながら、そっとその手を取る。

「喜んで……」

 アナリスは、顔を赤らめながら答えた。
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