4 / 10
よし、交尾しよ♡(1)
しおりを挟む
エマがノエルの屋敷を再び訪れたのは、夜空に満月が浮かび上がり森のフクロウが静かに歓迎してくれる時間帯、相談を受けたその日の夜だった。
「エマ……あの……僕はうさぎをって言ったつもりだったんだけど…」
「うんっ、うさぎだよ?」
エマはぴょんっとその場で跳ねてから、くるりと一周してみせる。
蜂蜜色の長いふわふわとした髪には、黒いレースでできたうさ耳のカチューシャ。
華奢な身体を覆う衣装は、黒くて艶のある生地が肌にぴったりと張り付いて、上半身は胸元しか隠れいていない。それもむっちりとした谷間を見せつけるようにハート形にくり抜かれており、下半身は下着が隠れるぎりぎりの長さのスカートだ。平均より少し小さい身長を盛るための高いヒールに踊らされれば、お尻の付け根に飾られた長い尻尾のハート形の先端が跳ねるように揺れる。最後にマスカット色の瞳でウインクをすれば完璧。
「はいどーぞ♡ どこからでもかぶりついて♡」
「いやあの、か、かぶりつきません。僕は森のうさぎの血を……って大体どうしたのこの格好」
ノエルがそんなに脚とお腹を出していたら風邪引くよと、いそいそエマの腰にタオルを巻きつける。
「ちょっと前に街のヴァンパイアコンカフェでバイト始めたって言ったじゃん? お店の制服なんだよね~可愛くない? あ、この耳は来週やるバニーイベントでつけるやつ。ヴァンパイアバニー♡」
「待って、情報量が多い……そもそもその格好はヴァンパイアというよりサキュバスでは……?」
ノエルが頭を抱えてううんと唸る。どうやら混乱しているようだ。
「ヴァンパイアカフェっていうからてっきり白いシャツに黒いマントで露出なしだと思っていたけどまさかこんな……こんな……」
「まあまあ、細かいことはいーじゃん? 頸動脈からいかないの? 見ちゃうと怖いなら目瞑ってしてもいーよ?」
首筋を差し出すエマにノエルは手のひらを見せて制止する。
「人間の血は怖くて吸えないよ……それにエマは僕の大切な幼馴染だし」
「あたしはノエルが大好きだよ? 好きな人がヴァンパイアで、困ってるなら助けたいもん」
「ありがとう、エマは優しいね」
だめだ。なんか伝わってるけど伝わってない気がする。
「よし、ノエル交尾しよ♡」
「……え?」
「ノエルもあたしのこと好きでしょ? だからうさぎとヴァンパイアで交尾しよ♡」
「こ、こう、!? へ、あ、な、なな、なんで急に!?」
「急じゃないよ~昨日のノエルのお兄さんの話聞いて思ったんだよねーなんでベッド?って。カフェのお客さんが前に言ってたの思い出したの。ヴァンパイアが乙女をベッドで食べるのは血だけじゃなくて他の体液からも栄養を摂取するためなんだって。本当か分かんないけど、お試しすればよくない?♡」
エマが谷間のハートの部分を引っ張ってちらりと強調する。見えそうで見えない、案外そういうのが好きらしいノエルは真っ赤になって目をそらすもそろりとまた視線を戻す。
「だ、だめだよ、そういうの好きな人とじゃなきゃ……」
「好きだよ?」
「お、幼なじみとしての好きじゃなくて、恋人になりたいとか……そういう好きな人とすることだと思うんだ」
「うん? あたしはノエルとキスしたりエッチしたりしたいって思う好きだよ?」
エマが当然、と言わんばかりの表情で首をかしげてノエルにぎゅっと抱きついた。
さあ、このまま首筋にがぶっときてくれてもいいし、ロマンチックにキスしてくれてもいい。きっと、ノエルも全部はじめてだから優しく、ゆっくり進めていきたい。急に舌入れたり、がっつくようなことはしないからね……♡
にこっと微笑んだエマからノエルが気まずそうに目をそらす。
「……ご、ごめんエマ……僕、好きな女性がいて……」
「は? なにそれ聞いてないんだけど? てか聞こえなーい♡」
ぴょーんと跳ねたエマはそのままノエルを床に押し倒してキスをした。
「んっ!? むっ……え、ま……」
たぶん、ノエルのファーストキスだ。てか、そうじゃなきゃ許さない。
夢にまでみたノエルの唇は想像していたよりずっと冷たくて気持ちいい。その奥で固く縮こまった舌も少し裏側をくすぐっただけで逃げ場をなくしてされるがままになってくれる。
それに、やはり体力が落ちているのか、ノエルの腰にまたがって少し押さえつけただけでほとんど抵抗をやめてしまった。
「エマ……あの……僕はうさぎをって言ったつもりだったんだけど…」
「うんっ、うさぎだよ?」
エマはぴょんっとその場で跳ねてから、くるりと一周してみせる。
蜂蜜色の長いふわふわとした髪には、黒いレースでできたうさ耳のカチューシャ。
華奢な身体を覆う衣装は、黒くて艶のある生地が肌にぴったりと張り付いて、上半身は胸元しか隠れいていない。それもむっちりとした谷間を見せつけるようにハート形にくり抜かれており、下半身は下着が隠れるぎりぎりの長さのスカートだ。平均より少し小さい身長を盛るための高いヒールに踊らされれば、お尻の付け根に飾られた長い尻尾のハート形の先端が跳ねるように揺れる。最後にマスカット色の瞳でウインクをすれば完璧。
「はいどーぞ♡ どこからでもかぶりついて♡」
「いやあの、か、かぶりつきません。僕は森のうさぎの血を……って大体どうしたのこの格好」
ノエルがそんなに脚とお腹を出していたら風邪引くよと、いそいそエマの腰にタオルを巻きつける。
「ちょっと前に街のヴァンパイアコンカフェでバイト始めたって言ったじゃん? お店の制服なんだよね~可愛くない? あ、この耳は来週やるバニーイベントでつけるやつ。ヴァンパイアバニー♡」
「待って、情報量が多い……そもそもその格好はヴァンパイアというよりサキュバスでは……?」
ノエルが頭を抱えてううんと唸る。どうやら混乱しているようだ。
「ヴァンパイアカフェっていうからてっきり白いシャツに黒いマントで露出なしだと思っていたけどまさかこんな……こんな……」
「まあまあ、細かいことはいーじゃん? 頸動脈からいかないの? 見ちゃうと怖いなら目瞑ってしてもいーよ?」
首筋を差し出すエマにノエルは手のひらを見せて制止する。
「人間の血は怖くて吸えないよ……それにエマは僕の大切な幼馴染だし」
「あたしはノエルが大好きだよ? 好きな人がヴァンパイアで、困ってるなら助けたいもん」
「ありがとう、エマは優しいね」
だめだ。なんか伝わってるけど伝わってない気がする。
「よし、ノエル交尾しよ♡」
「……え?」
「ノエルもあたしのこと好きでしょ? だからうさぎとヴァンパイアで交尾しよ♡」
「こ、こう、!? へ、あ、な、なな、なんで急に!?」
「急じゃないよ~昨日のノエルのお兄さんの話聞いて思ったんだよねーなんでベッド?って。カフェのお客さんが前に言ってたの思い出したの。ヴァンパイアが乙女をベッドで食べるのは血だけじゃなくて他の体液からも栄養を摂取するためなんだって。本当か分かんないけど、お試しすればよくない?♡」
エマが谷間のハートの部分を引っ張ってちらりと強調する。見えそうで見えない、案外そういうのが好きらしいノエルは真っ赤になって目をそらすもそろりとまた視線を戻す。
「だ、だめだよ、そういうの好きな人とじゃなきゃ……」
「好きだよ?」
「お、幼なじみとしての好きじゃなくて、恋人になりたいとか……そういう好きな人とすることだと思うんだ」
「うん? あたしはノエルとキスしたりエッチしたりしたいって思う好きだよ?」
エマが当然、と言わんばかりの表情で首をかしげてノエルにぎゅっと抱きついた。
さあ、このまま首筋にがぶっときてくれてもいいし、ロマンチックにキスしてくれてもいい。きっと、ノエルも全部はじめてだから優しく、ゆっくり進めていきたい。急に舌入れたり、がっつくようなことはしないからね……♡
にこっと微笑んだエマからノエルが気まずそうに目をそらす。
「……ご、ごめんエマ……僕、好きな女性がいて……」
「は? なにそれ聞いてないんだけど? てか聞こえなーい♡」
ぴょーんと跳ねたエマはそのままノエルを床に押し倒してキスをした。
「んっ!? むっ……え、ま……」
たぶん、ノエルのファーストキスだ。てか、そうじゃなきゃ許さない。
夢にまでみたノエルの唇は想像していたよりずっと冷たくて気持ちいい。その奥で固く縮こまった舌も少し裏側をくすぐっただけで逃げ場をなくしてされるがままになってくれる。
それに、やはり体力が落ちているのか、ノエルの腰にまたがって少し押さえつけただけでほとんど抵抗をやめてしまった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫
梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。
それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。
飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!?
※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。
★他サイトからの転載てす★
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ダメな君のそばには私
蓮水千夜
恋愛
ダメ男より私と付き合えばいいじゃない!
友人はダメ男ばかり引き寄せるダメ男ホイホイだった!?
職場の同僚で友人の陽奈と一緒にカフェに来ていた雪乃は、恋愛経験ゼロなのに何故か恋愛相談を持ちかけられて──!?
片想いの相手と二人、深夜、狭い部屋。何も起きないはずはなく
おりの まるる
恋愛
ユディットは片想いしている室長が、再婚すると言う噂を聞いて、情緒不安定な日々を過ごしていた。
そんなある日、怖い噂話が尽きない古い教会を改装して使っている書庫で、仕事を終えるとすっかり夜になっていた。
夕方からの大雨で研究棟へ帰れなくなり、途方に暮れていた。
そんな彼女を室長が迎えに来てくれたのだが、トラブルに見舞われ、二人っきりで夜を過ごすことになる。
全4話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる