元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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現代の常識学

忍び寄る気配

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「ゼア、例のものはどうなっている」

黒いフードの着いたローブに身を包んだ男が言う。

「申し訳ございません…まだ例のものは動いておりません…」

ボロボロで薄汚れた布切れを纏った金髪の長い髪の少女が地に頭をつけて謝罪する。

そこに白い仮面をつけた白い狐耳の長い髪の八尾の少女(?)が高圧的な口調で言う。

「ゼア、ソア様に与えられた命令に背く事は許さないわよ?貴方に出来ないは無いの。良いわね?」

少女がゼアの頭を右足で踏みつける。

「ネア様、申し訳ございません…例のものは中身が無く、動かせないのです…」

ネアと呼ばれた少女はゼアの頭から足を退けると思いっきりゼアの身体を蹴って怒声をあげる。

ゼアの肋が浮き出るほどに痩せた身体が吹っ飛び、叩きつけられた瞬間にその口から血が飛び出す。

「言い訳をするな!グズ!出来ないじゃなくてやれ!良いか?これ以上くだらない言い訳をするなら、お前もあいつらと同じようにするぞ!」

そう言って、ネアは種族を問わずに並べられた大小様々な全裸の虚ろな目をした少女たちと呪詛のような言葉を呻く様々な生物が不適切に繋ぎ合わされた肉塊を指さす。

「ヒッ…申し訳ございません!何卒!何卒お許しを!必ず、次までには動かします!どうかご慈悲を!」

ゼアが口から血を流して恐怖で震えそうな身体を固くして耐えながらも再び二人の目の前まで移動し、土下座をして悲痛な叫びを上げる。

「ネア、そこまでにしておけ。」

黒いフードの男…ソアが感情の無い声で言う。

「チッ…運が良かったわね。」

ネアが吐き捨てる様に言うとソアがゼアに見下した視線をぶつける。

「ゼア、あまりネアを怒らせる事はするな。次は無い。わかったら持ち場に戻れ。」

ソアがそう言って魔法でゼアの身体を軽く治療する。

「私のような使えない無能にご慈悲をくださり誠にありがとうございましたっ!」

ゼアは頭を下げながら退出する。

「ソア様は甘過ぎですわ…ああ言うのはもっと厳しくしないと行けませんわよ?」

ネアが言うとソアは聞くだけでも震え上がるような冷たい声で言う。

「道具は大事に扱え。壊れたら換えを用意するのが面倒だからな。」

「は~い」

ネアは不満そうに髪をイジりながら返事をする。

「しかし、例のものは空っぽとな…」

ソアが顎に左手を置いて考えるような素振りを見せる。

「そんな事ありえませんわ。仮に有り得たとしても現実的に考えて出来ませんし、魔力だけならまだわかりますが、魂も無いなんてあまりに有り得なさすぎます。どうせ、ゼアが失敗を隠そうとしているだけですわ!」

「そうだな。魔力譲渡で魔力が無い奴はいるが、魂もない奴は存在しないはずだ…だが、もしありえたとしたら…あの翡翠のエルフがやった可能性が高いだろうな。」

「いやいや、ソア様、それはさすがにあのチビ女では役不足じゃありません?いくらあちらには神がいるとは言えど、そう簡単にあのチビの言いなりになるでしょうか?」

「神がいる…か…」

ソアはニヤリと笑う。

「そうか…それなら、有り得るかもしれないな…」

ソアはネアの耳元に顔を近づける。

「ソ、ソア様?!」

顔を真っ赤にしながらネアは言う。

「ネア、アレの中身を探せ。お前なら、見つけられるだろう?」

「はい!もちろんですわ!5日…いえ、2日以内に見つけますわ!」

ネアは元気よく答える。

「それじゃ、頼んだぞ。」

ソアはそう言うと闇に解けるように消える。

「はぁ~…ソア様に頼み事をされちゃった~♡嬉し過ぎて死んじゃいそう…」

ネアはそのまま虚ろな目をした少女たちの口の中に肉塊から取り出した肉の欠片を入れる。

「命令よ。_______の魂を持つものを連れて来なさい!抵抗するなら、殺さぬ程度に叩き潰すことも許可する!」

虚ろな目をした少女たちが激しく痙攣する。

少しして痙攣が止まると少女たちの目に普通のヒトのような光が宿る。

そして、全てが一糸乱れぬ動きで「了解」のポーズを取るとそれぞれがそれらしい服装をして魔法で飛んだり転移したりして世界中に散らばり始める。

はその一部始終の全てを見た。

(このままでは不味いわね…)

私はその場を去ろうとした瞬間だった。

「あら?どこへ行くつもりなのかしら?」

背後の冷気から圧倒的な恐怖が声を出す。

私は咄嗟に振り向くと冷気がネアに話しかけていた…ように見えた。

「ルカには関係ないわ。」

冷気が病的な程に白い肌の女性に変化する。

背丈はかなり高く、光を反射して真っ白な輝きを放つ自身の脚まで覆い隠せるほどの長い髪、左に流した髪の下の瞳を見て、少なくとも右眼は深紅の瞳であることがわかる。

「あらあら、随分と嫌われてしまったものねぇ?」

ルカが一瞬こちらを見た気がした。

私は本能的に身の危険を感じて、静かにその場から離れる。

そして、外に出て森の中に逃げた私は小さく呟く…

「なんなのあの眼は…」

私は追手が来てない事を確認して王都を目指す。

私は隠密の魔法を使いながら、その場を後にする。

「ウフフ…バカねぇ…」

真っ白な少女が金髪のヒトの真上から見下した目で見ていた。
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