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【巨大聖戦編】第7章「誰がための選定」
159話 虚無空間
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以前、僕がヴィータによって連れていかれた箱庭の端は、キャッセリアの街から遠く離れた山の高原だ。ここは以前と変わりなく寒い。高原の景色がどこまでも続いているのに、街から離れるにつれて嫌な気配が強まってくる。
ヴィータは「神隠し事件の犯人とわたしたちは同じ性質を持っている」と言っていた。僕の前を歩いている二人が神隠し事件であちこち動き回っていたのも、箱庭の端に近づいてまったく恐れていないのも、アストラルを持っているかそうでないかの差で変わってくるのだろう。
「大体この辺りですかね」
「ああ」
先行していたクロウとジュリオが、道の途中で立ち止まる。僕も足を止めた。
「じゃあ、ぼくは一足先に隠れ家を探してきます。クロウリー様、クリム様を連れて『クラウンシェルド』に来てください」
「おう。道中気をつけろよ」
ジュリオが箱庭の端がある方向へ向かっていった。まもなく、空中に不思議な波紋が浮かび上がり、彼はその中へと溶け込むように姿を消した。
残されたのは、僕とクロウだけだ。
「ところで、どうして別々に行くんだい?」
「アイツはミストリューダの隠れ家を知っている。先に向かって情報を集めてから、どう動くか考えるんだとさ」
宮殿を襲撃した者たちは、カトラスさんとアリアが直々に追っている。僕たちは、あくまでそちらとは別の方面から隠れ家を調べるわけだが、向こうの状況を詳しく調べられるのはジュリオくらいだろう。
「クラウンシェルド、っていうのは?」
「とある人間の箱庭の名前だ。クリム、オレの手掴め」
クロウが僕に手を差し出したので、こちらも片手を差し出すとすぐに手首を掴まれた。さっきジュリオが言っていたように、目を閉じる。
腕を引かれ、浮かび上がる波紋へと触れた。ヴィータと一緒に箱庭に行ったときのことを思い出す。そこから僕は意識を失い、また目が覚めたら箱庭にいるのだろう────
だが、今回はいくら波紋の中に入っても、意識を保つことができていた。頭が箱庭の端を通っても、それは変わらない。
「あれ────ここ、は?」
気づけば、よく知っていた景色ではなくなっていた。眼前に広がるすべてが、無限に広がる黒と無数の小さな光で埋め尽くされている。
まるで、星空に投げ出されたようだ。曖昧な浮遊感の中、思わず周囲を見渡してしまうくらい、美しい景色が目に焼き付けられる。
「ん? クリム、ここがわかるのか?」
クロウが僕の隣で浮いている。僕の手首を掴んだまま、唖然とした様子だった。
「まさかオマエ、知らないうちにアストラルに適合したのか!? いつ!?」
「し、知らないよ! 星幽術なんて使えないんだけど!?」
「そんなことあるかー……? まあいい。勝手はわからないだろうし、手は離すなよ」
手首を掴まれて振り払えないとわかってるくせに。なんだか悔しい。
クロウが浮遊したまま、僕の手を引いて前に進む。温かくも冷たくもない、星空ばかりが広がる世界を泳いでいる。
「ここはどこ? キャッセリアじゃないの?」
「オレも詳しくは知らねぇ。箱庭と箱庭の間に満たされている空間、らしい。ある奴は『虚無空間』なんてたいそうな呼び名をつけていたがな」
一面に星空が広がっているのに、虚無と名付けられているなんて変だと思った。
ふと、後ろを振り返った途端、球状の物体が視界を覆い尽くした。球状の世界に、少し日が落ちた空と、僕たちがさっきまでいた高原の景色が見えた。
これが、僕たちの住むキャッセリアの姿なのだろう。
「僕たち、あんな丸い世界に住んでたの?」
「そう見えるだけだ。あのまん丸いのが箱庭って奴だが、中に住んでいる奴らには箱庭自体が丸いという認識はできねーらしい」
聞けば聞くほど、好奇心が湧いてくるのを感じる。キャッセリアに閉じこもっていたら知ることはなかった。
「じゃあ、ここから見える星は全部箱庭なのかな」
「そうじゃねぇか? オマエ、あの箱庭全部が危険にさらされたら、救い切れるか?」
肩越しに僕と目を合わせ、ニヤニヤと笑っている。そんな顔になれる場面ではないと思うのだが。
頭上に向かって手を伸ばす。どの星にも、僕の手は届かない。この空間では、僕たちの存在はあまりにもちっぽけすぎる。
「っ、クリム!」
急に腕を強く引かれ、大きな腕で身体を抱え込まれる。翼が激しくはためく音とともに、風が僕を押し潰そうと吹き荒れた。自然に生まれた風じゃない、クロウが僕を抱えて物凄いスピードで虚無空間を進み始めたのだ。
星はあまりにも遠くて、動いているように見えない。視線だけを横に向けると、空間を漂う真っ黒な異形が目に留まった。
「あれは……!」
「言うの忘れてた。ここには魔物がウジャウジャいるんだよ!」
そんな重要なことを忘れないでよ、と文句を言いたかったが無理だった。
異形の怪物は赤い目を僕たちに向け、一直線にこちらへと飛んでくる。クロウも相当速く飛んでいるはずなのに、怪物の方も歪に濡れた触手を伸ばしながら迫ってくる。
「虚無空間でろくに戦えると思うなよ。魔物に見つかったら、箱庭に逃げ込むのが勝ちだ!」
焦燥感に駆られているのか、僕を抱える力が強まった。ずっと抱え込まれていたら苦しくなりそうだった。
怪物から触手が飛んでくるたび、クロウが身を翻したり、急上昇や急降下を行ったりする。急激な運動が繰り返され、酔いそうになってきた。
「────ううっ!?」
「クロウ!?」
魔物が追ってくる別の方向から、奇妙な形の黒い刃が飛んできた。クロウの翼を掠めた刃の正体は、また別の魔物からの攻撃だった。僕たちを殺そうとする魔物の数が増えてきているのだ。
攻撃は一度に留まらず、何度も刃を飛ばしたり、触手を伸ばしてきたりと多種多様な手段で僕たちを攻めてくる。
刃で斬り裂かれた漆黒の羽根や溢れ出た血が、奈落のような空に沈んでいく。底がどこなのかもわからないこの場所で、やられるのはまずい。
やがて、僕は一つの球体に近づいていることに気づく。
「待って……あれって、箱庭だよね!?」
「ああ、あれだ!」
さっきのキャッセリアと同じく、空と地面が球体の中で広がっているのが見える。あれが人間の箱庭だろう。あの中に飛んでいけば、魔物の追跡から逃れられるかもしれない。
クロウと僕は、目の前の球体に向かって突き進んだ。視界が大きな世界で満たされてすぐに、球体に身体が激突する。
箱庭の表面に波紋が広がり、景色が変わる。キャッセリアにいたときのように、夕暮れが訪れようとしている。眼下には森が広がっており、遠くの方には海が見えた。
「はぁ……あっぶねぇ……」
クロウの翼の動きが鈍り始めて、森にほぼ落ちる速度で飛んでいく。枝葉を折る勢いで森に突っ込んだが、激突はせずに済んだ。地面に降り立ってすぐに、僕を下ろしてくれる。
「だ、大丈夫?」
「オレの心配なんかすんなよ。テメェはテメェのことだけ考えろ」
背中と四肢の一部が、斬り裂かれた傷でボロボロになっていた。出血はすでに止まっているが、翼もひどく傷ついている。
僕はずっとクロウに庇われていたようなものなので、あまり傷つかずに済んだ。僕が受けるはずだった痛みも、全部彼が引き受けたのだ。
「〈光よ、我が友の傷を癒せ〉」
「……オマエ」
手のひらに光の魔力を集め、傷ついた身体を光で包み込む。ボロボロになった翼も、血が滲み出ていた傷も、すべてが再生していく。
クロウは信じられないと言いたげに僕を見ていた。互いに憎み合っているくせに、助けずにいられないのはどちらも同じみたいだ。
「勘違いしないで。これからみんなを助けるのに、足手まといになってほしくないだけだから」
何も言わずにじろじろ見てきたので、ぷいと目を逸らす。それから、仕方なさそうに笑われた。
「ははっ、やっぱりわかりやすいな。どうせ、アリアならこうするって思ったんだろ」
「そ、それは違う! アリアは関係ない!」
「ほんとかぁ?」
慌てて言い返したが、僕の真意が伝わっているかなんてわからなかった。
憎いはずなのに、嫌いになり切れない。そんなどうしようもない感情を抱いてしまう理由が、やっとわかった。
これでも仲間だったことに変わりはなく、自分が好きだったひとが気にかけていた男でもあるから────きっと、それが理由だったんだ。
「というか、別に回復魔法はいらなかったぞ。ヴィータの腕を食った後だったし、ある程度は自己再生できる」
「……あ、だから出血が止まってたんだ」
「何のためにオマエじゃなくてアイツの身体を食べたと思ってんだよ。ったく、変なところで抜けてるよな」
二度も死んだクロウは、まだ生きていた頃では考えられないくらい特殊な状態だった。他人の一部を平気で食べることができるのも、以前よりも強い再生能力を得られたのも、彼が何度も死んだ果てに手に入れた力なのだろう。
そうまでして、彼は生き返った……やっぱり、僕には理由がよくわからない。
ヴィータは「神隠し事件の犯人とわたしたちは同じ性質を持っている」と言っていた。僕の前を歩いている二人が神隠し事件であちこち動き回っていたのも、箱庭の端に近づいてまったく恐れていないのも、アストラルを持っているかそうでないかの差で変わってくるのだろう。
「大体この辺りですかね」
「ああ」
先行していたクロウとジュリオが、道の途中で立ち止まる。僕も足を止めた。
「じゃあ、ぼくは一足先に隠れ家を探してきます。クロウリー様、クリム様を連れて『クラウンシェルド』に来てください」
「おう。道中気をつけろよ」
ジュリオが箱庭の端がある方向へ向かっていった。まもなく、空中に不思議な波紋が浮かび上がり、彼はその中へと溶け込むように姿を消した。
残されたのは、僕とクロウだけだ。
「ところで、どうして別々に行くんだい?」
「アイツはミストリューダの隠れ家を知っている。先に向かって情報を集めてから、どう動くか考えるんだとさ」
宮殿を襲撃した者たちは、カトラスさんとアリアが直々に追っている。僕たちは、あくまでそちらとは別の方面から隠れ家を調べるわけだが、向こうの状況を詳しく調べられるのはジュリオくらいだろう。
「クラウンシェルド、っていうのは?」
「とある人間の箱庭の名前だ。クリム、オレの手掴め」
クロウが僕に手を差し出したので、こちらも片手を差し出すとすぐに手首を掴まれた。さっきジュリオが言っていたように、目を閉じる。
腕を引かれ、浮かび上がる波紋へと触れた。ヴィータと一緒に箱庭に行ったときのことを思い出す。そこから僕は意識を失い、また目が覚めたら箱庭にいるのだろう────
だが、今回はいくら波紋の中に入っても、意識を保つことができていた。頭が箱庭の端を通っても、それは変わらない。
「あれ────ここ、は?」
気づけば、よく知っていた景色ではなくなっていた。眼前に広がるすべてが、無限に広がる黒と無数の小さな光で埋め尽くされている。
まるで、星空に投げ出されたようだ。曖昧な浮遊感の中、思わず周囲を見渡してしまうくらい、美しい景色が目に焼き付けられる。
「ん? クリム、ここがわかるのか?」
クロウが僕の隣で浮いている。僕の手首を掴んだまま、唖然とした様子だった。
「まさかオマエ、知らないうちにアストラルに適合したのか!? いつ!?」
「し、知らないよ! 星幽術なんて使えないんだけど!?」
「そんなことあるかー……? まあいい。勝手はわからないだろうし、手は離すなよ」
手首を掴まれて振り払えないとわかってるくせに。なんだか悔しい。
クロウが浮遊したまま、僕の手を引いて前に進む。温かくも冷たくもない、星空ばかりが広がる世界を泳いでいる。
「ここはどこ? キャッセリアじゃないの?」
「オレも詳しくは知らねぇ。箱庭と箱庭の間に満たされている空間、らしい。ある奴は『虚無空間』なんてたいそうな呼び名をつけていたがな」
一面に星空が広がっているのに、虚無と名付けられているなんて変だと思った。
ふと、後ろを振り返った途端、球状の物体が視界を覆い尽くした。球状の世界に、少し日が落ちた空と、僕たちがさっきまでいた高原の景色が見えた。
これが、僕たちの住むキャッセリアの姿なのだろう。
「僕たち、あんな丸い世界に住んでたの?」
「そう見えるだけだ。あのまん丸いのが箱庭って奴だが、中に住んでいる奴らには箱庭自体が丸いという認識はできねーらしい」
聞けば聞くほど、好奇心が湧いてくるのを感じる。キャッセリアに閉じこもっていたら知ることはなかった。
「じゃあ、ここから見える星は全部箱庭なのかな」
「そうじゃねぇか? オマエ、あの箱庭全部が危険にさらされたら、救い切れるか?」
肩越しに僕と目を合わせ、ニヤニヤと笑っている。そんな顔になれる場面ではないと思うのだが。
頭上に向かって手を伸ばす。どの星にも、僕の手は届かない。この空間では、僕たちの存在はあまりにもちっぽけすぎる。
「っ、クリム!」
急に腕を強く引かれ、大きな腕で身体を抱え込まれる。翼が激しくはためく音とともに、風が僕を押し潰そうと吹き荒れた。自然に生まれた風じゃない、クロウが僕を抱えて物凄いスピードで虚無空間を進み始めたのだ。
星はあまりにも遠くて、動いているように見えない。視線だけを横に向けると、空間を漂う真っ黒な異形が目に留まった。
「あれは……!」
「言うの忘れてた。ここには魔物がウジャウジャいるんだよ!」
そんな重要なことを忘れないでよ、と文句を言いたかったが無理だった。
異形の怪物は赤い目を僕たちに向け、一直線にこちらへと飛んでくる。クロウも相当速く飛んでいるはずなのに、怪物の方も歪に濡れた触手を伸ばしながら迫ってくる。
「虚無空間でろくに戦えると思うなよ。魔物に見つかったら、箱庭に逃げ込むのが勝ちだ!」
焦燥感に駆られているのか、僕を抱える力が強まった。ずっと抱え込まれていたら苦しくなりそうだった。
怪物から触手が飛んでくるたび、クロウが身を翻したり、急上昇や急降下を行ったりする。急激な運動が繰り返され、酔いそうになってきた。
「────ううっ!?」
「クロウ!?」
魔物が追ってくる別の方向から、奇妙な形の黒い刃が飛んできた。クロウの翼を掠めた刃の正体は、また別の魔物からの攻撃だった。僕たちを殺そうとする魔物の数が増えてきているのだ。
攻撃は一度に留まらず、何度も刃を飛ばしたり、触手を伸ばしてきたりと多種多様な手段で僕たちを攻めてくる。
刃で斬り裂かれた漆黒の羽根や溢れ出た血が、奈落のような空に沈んでいく。底がどこなのかもわからないこの場所で、やられるのはまずい。
やがて、僕は一つの球体に近づいていることに気づく。
「待って……あれって、箱庭だよね!?」
「ああ、あれだ!」
さっきのキャッセリアと同じく、空と地面が球体の中で広がっているのが見える。あれが人間の箱庭だろう。あの中に飛んでいけば、魔物の追跡から逃れられるかもしれない。
クロウと僕は、目の前の球体に向かって突き進んだ。視界が大きな世界で満たされてすぐに、球体に身体が激突する。
箱庭の表面に波紋が広がり、景色が変わる。キャッセリアにいたときのように、夕暮れが訪れようとしている。眼下には森が広がっており、遠くの方には海が見えた。
「はぁ……あっぶねぇ……」
クロウの翼の動きが鈍り始めて、森にほぼ落ちる速度で飛んでいく。枝葉を折る勢いで森に突っ込んだが、激突はせずに済んだ。地面に降り立ってすぐに、僕を下ろしてくれる。
「だ、大丈夫?」
「オレの心配なんかすんなよ。テメェはテメェのことだけ考えろ」
背中と四肢の一部が、斬り裂かれた傷でボロボロになっていた。出血はすでに止まっているが、翼もひどく傷ついている。
僕はずっとクロウに庇われていたようなものなので、あまり傷つかずに済んだ。僕が受けるはずだった痛みも、全部彼が引き受けたのだ。
「〈光よ、我が友の傷を癒せ〉」
「……オマエ」
手のひらに光の魔力を集め、傷ついた身体を光で包み込む。ボロボロになった翼も、血が滲み出ていた傷も、すべてが再生していく。
クロウは信じられないと言いたげに僕を見ていた。互いに憎み合っているくせに、助けずにいられないのはどちらも同じみたいだ。
「勘違いしないで。これからみんなを助けるのに、足手まといになってほしくないだけだから」
何も言わずにじろじろ見てきたので、ぷいと目を逸らす。それから、仕方なさそうに笑われた。
「ははっ、やっぱりわかりやすいな。どうせ、アリアならこうするって思ったんだろ」
「そ、それは違う! アリアは関係ない!」
「ほんとかぁ?」
慌てて言い返したが、僕の真意が伝わっているかなんてわからなかった。
憎いはずなのに、嫌いになり切れない。そんなどうしようもない感情を抱いてしまう理由が、やっとわかった。
これでも仲間だったことに変わりはなく、自分が好きだったひとが気にかけていた男でもあるから────きっと、それが理由だったんだ。
「というか、別に回復魔法はいらなかったぞ。ヴィータの腕を食った後だったし、ある程度は自己再生できる」
「……あ、だから出血が止まってたんだ」
「何のためにオマエじゃなくてアイツの身体を食べたと思ってんだよ。ったく、変なところで抜けてるよな」
二度も死んだクロウは、まだ生きていた頃では考えられないくらい特殊な状態だった。他人の一部を平気で食べることができるのも、以前よりも強い再生能力を得られたのも、彼が何度も死んだ果てに手に入れた力なのだろう。
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