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第四章 元カレと再会!?
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慌ててテーブルにスマホを戻す。
心地良かった酔いが一気に冷めていく。
自分でも信じられないことに、私はショックを受けていた。
普段男性からアピールされることの少ない私が彼からの猛烈なアプローチにあい、最初は正直困惑していた。
絶対にからかわれていると思ったし、とんでもない男が現れたと身構えた。
けれど、彼と話したり一緒に過ごしたりする中でわずかながら気持ちに変化が生まれた。
なにより、身体の関係を結んだあと情が生まれてしまったのだ。
男遊びやワンナイトラブの経験がない私にとって彼と過ごした一夜はあまりにも刺激的で甘美なものだった。
あの日、彼はあまりにも優しく丁寧に私を抱いた。まるで愛しい人を抱くみたいに。
彼が私を本気で好きになってくれたのかもしれないと、一瞬でも勘違いするなんて……。
しばらくすると、伍代さんが戻ってきた。
「さっきスマホ鳴ってましたよ」
素っ気無く伝えると、彼はテーブルの上のスマホを手に取った。
画面をタップすると、私にちらりと目を向ける。
「……誰からか、見た?」
彼の視線がわずかに揺らぐ。
「いえ、見てません」
「そっか」
ホッとしたように言うと、彼はスマホをスーツのポケットにしまった。
あの反応からして、私にスマホを見られたら困るようだ。
ダメ……。
彼の言うことを100%信じて真に受けるのはもうやめよう。
社内の女性に羨望の眼差しを向けられる王子様のような存在の伍代さんが、悪女と呼ばれる私を好きになるはずはない。
思い上がっていた自分を戒める。
「そろそろ行きましょう。明日も仕事なので」
傍らに置いたバッグを手に手に取り、彼とともに個室を出る。
「ありがとうございました」
店員に頭を下げて見送られる。
会計はすでに彼が済ませた後だった。
トイレへ行くというのも支払いをするための口実だったのかもしれない。
全てにおいてスマートすぎる伍代さんは、私からお金を受け取ろうとはせず、タクシーを呼び乗り込んだ私に「これで帰って」と万札まで押し付けた。
「おやすみ」
そう言って微笑む伍代さんの顔を見ていられず、一刻も早くタクシーの扉が閉まることを祈った。
タクシーに自宅の場所を伝えると、窓越しに都会の夜景をぼんやりと眺めた。
たまに、無性に寂しくなり、しんみりしてしまうことがある。
北関東にある実家から都内の大学に入学するために上京して早十年。
大学を卒業後、就職して努力すれば恋も仕事も幸せも手に入ると信じていた。
大学卒業の年に父が亡くなり、一昨年母も父を追うように病に倒れてこの世を去った。
仲のいい夫婦だったし、天国でも二人で楽しく過ごしているに違いない。
でも、やっぱり寂しい。何かあったときに気軽に話を聞いてくれる人が今はもういない。
今の私をみて、天国の両親はどう思うんだろう。
仕事は大変なこともあるけど、楽しいしやりがいもある。
だけど、仕事だけでは絶対に埋まらない心の隙間がある。
心の一部分には常に穴が開いているみたいだ。私はずっとそれを必死で誤魔化して生きてきた。
「ハァ……」
おでこに手を当てて溜息を吐く。
俊介と別れたときも、こんな風に感傷に浸ることはなかったのに……。
ふと伍代さんの顔が頭に浮かぶ。
彼とは付き合っているわけでもないし、どこで誰と何をしていようが私には関係のないことだ。
頭では理解していても心が受け付けない。
私と付き合っているときにも浮気していた俊介のように、伍代さんも私を「好き」だと言っておきながら、他の女性にも同じセリフを囁いているのかもしれない。
そんな風に女々しい事を考えてしまう自分が嫌になる。
タクシーの独特の匂いにようやく鼻が慣れ始めた時、運転手が右にウインカーを出した。
カチッカチッカチッというウインカー音が車内に響く。
疲れが一気に押し寄せてきて、私はタクシーのシートにもたれかかり、ぎゅっと目をつぶった。
心地良かった酔いが一気に冷めていく。
自分でも信じられないことに、私はショックを受けていた。
普段男性からアピールされることの少ない私が彼からの猛烈なアプローチにあい、最初は正直困惑していた。
絶対にからかわれていると思ったし、とんでもない男が現れたと身構えた。
けれど、彼と話したり一緒に過ごしたりする中でわずかながら気持ちに変化が生まれた。
なにより、身体の関係を結んだあと情が生まれてしまったのだ。
男遊びやワンナイトラブの経験がない私にとって彼と過ごした一夜はあまりにも刺激的で甘美なものだった。
あの日、彼はあまりにも優しく丁寧に私を抱いた。まるで愛しい人を抱くみたいに。
彼が私を本気で好きになってくれたのかもしれないと、一瞬でも勘違いするなんて……。
しばらくすると、伍代さんが戻ってきた。
「さっきスマホ鳴ってましたよ」
素っ気無く伝えると、彼はテーブルの上のスマホを手に取った。
画面をタップすると、私にちらりと目を向ける。
「……誰からか、見た?」
彼の視線がわずかに揺らぐ。
「いえ、見てません」
「そっか」
ホッとしたように言うと、彼はスマホをスーツのポケットにしまった。
あの反応からして、私にスマホを見られたら困るようだ。
ダメ……。
彼の言うことを100%信じて真に受けるのはもうやめよう。
社内の女性に羨望の眼差しを向けられる王子様のような存在の伍代さんが、悪女と呼ばれる私を好きになるはずはない。
思い上がっていた自分を戒める。
「そろそろ行きましょう。明日も仕事なので」
傍らに置いたバッグを手に手に取り、彼とともに個室を出る。
「ありがとうございました」
店員に頭を下げて見送られる。
会計はすでに彼が済ませた後だった。
トイレへ行くというのも支払いをするための口実だったのかもしれない。
全てにおいてスマートすぎる伍代さんは、私からお金を受け取ろうとはせず、タクシーを呼び乗り込んだ私に「これで帰って」と万札まで押し付けた。
「おやすみ」
そう言って微笑む伍代さんの顔を見ていられず、一刻も早くタクシーの扉が閉まることを祈った。
タクシーに自宅の場所を伝えると、窓越しに都会の夜景をぼんやりと眺めた。
たまに、無性に寂しくなり、しんみりしてしまうことがある。
北関東にある実家から都内の大学に入学するために上京して早十年。
大学を卒業後、就職して努力すれば恋も仕事も幸せも手に入ると信じていた。
大学卒業の年に父が亡くなり、一昨年母も父を追うように病に倒れてこの世を去った。
仲のいい夫婦だったし、天国でも二人で楽しく過ごしているに違いない。
でも、やっぱり寂しい。何かあったときに気軽に話を聞いてくれる人が今はもういない。
今の私をみて、天国の両親はどう思うんだろう。
仕事は大変なこともあるけど、楽しいしやりがいもある。
だけど、仕事だけでは絶対に埋まらない心の隙間がある。
心の一部分には常に穴が開いているみたいだ。私はずっとそれを必死で誤魔化して生きてきた。
「ハァ……」
おでこに手を当てて溜息を吐く。
俊介と別れたときも、こんな風に感傷に浸ることはなかったのに……。
ふと伍代さんの顔が頭に浮かぶ。
彼とは付き合っているわけでもないし、どこで誰と何をしていようが私には関係のないことだ。
頭では理解していても心が受け付けない。
私と付き合っているときにも浮気していた俊介のように、伍代さんも私を「好き」だと言っておきながら、他の女性にも同じセリフを囁いているのかもしれない。
そんな風に女々しい事を考えてしまう自分が嫌になる。
タクシーの独特の匂いにようやく鼻が慣れ始めた時、運転手が右にウインカーを出した。
カチッカチッカチッというウインカー音が車内に響く。
疲れが一気に押し寄せてきて、私はタクシーのシートにもたれかかり、ぎゅっと目をつぶった。
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