魔王娘と異世界アパートの管理人さん

kkk

文字の大きさ
19 / 22

第19話 裏切り

しおりを挟む
 「何をいっているのですか?」

 アンリがそう言うとエーダを一眼見てから、首を振って周囲を確認した。
 そしてニヤリと笑って右斜め前に向かって手のひらを広げた。

 「出てこい!」

グッと前に出した手のひらを思い切り引いた瞬間、その空間がくにゃりと曲がり、その場所から無数の手をはやした魔物とボロボロの羽をはやした魔物が飛び出してきた。

 「ぐぎゃっ!?」
 「ぶぶっ!?」
 「な!?お前達が何故、そこにいる?」

 突然現れた二体の魔物を見たエーダは驚いた。
 
 「ぐぎゃぎゃぎゃ、まさかバレちまうとはなぁ」
 「ぶぶぶぶぶ」
 「お前達、何をしているんだ!?お前達には別の街の調査を」
 「ぐぎゃぎゃぎゃ、そんな事、俺様達がするわけねーだろ!俺様達の目的はお前ら二人の抹殺なんだからなぁ!」
 「な、に?」

 エーダでさえ、どうやら予想だにしていなかったらしく、驚いたような声を上げていた。

 「傍観して共倒れを待っていたんだがなぁ。やっぱ魔王の娘様はお強い事でぇ!」
 「貴様!」
 
 裏切りを知ったエーダはすぐさま剣を持ち、二人に向かって走り出した。
 
 「ぎゃぎゃぎゃ、無駄だぜ!カヌやっちまいな!」
 「ぶぶぶぶぶ!」

 ボロボロの羽を生やした魔物がエーダと無数の手を生やした魔物の間に入り込み、羽を更に高速で動かし始めた。

 「何だ?ッ!?ぐ、ぐがぁぁぁぁ!!」
 「なんだ?」

 エーダは突然、地面に膝をついて苦しそうに叫び出した。そしてその叫び声が消える瞬間、立ち上がりくるりと踵を返してアンリに向かって走り出した。

 「ぐっ、あああ!」
 「エーダ?」
 「ぎゃぎゃぎゃ、残念だったな!この騎士様は今日から俺様達のもんだ!さぁて行けや!リベンジだ!」
 「がぁぁぁぁ!」

 大地を蹴り抉りながら、突然暴走したかのようなエーダはそのままアンリに向かって剣を振るった。

 「ぐっ、羽の奴の仕業か」
 「ぎゃぎゃぎゃ!察しがいいなぁ!その通りだぜ!カヌは羽の音で洗脳させる事が出来るんだよ!」

 エーダの剣をギリギリで回避しながらアンリは二人の魔物を狙おうと魔力弾を放とうとするも、射線上にエーダが入り込んで身動きが取れない状態に陥ってしまっていた。

 「チッ、目を覚まさぬかエーダよ!」
 「ぐっ、ッあ、アンリさ、ま・・・」
 「あ?まだ完全には洗脳されてねーな。カヌ!もっと強くしてやれ!」
 「ぶぶぶぶ。ぶぶぶ、ぶぶぶぶぶ!」
 「く、あぁぁぁぁ!!」

 羽が更に強くならされた事によってエーダは更に苦しみもがき始め、自らの体から膨大な魔力を発生させた。その魔力は黒い渦となり、晴天だった空を暗雲に変える程だった。

 「ぎゃ、ぎゃぎゃ、驚いたなここまですげぇ、魔力持ってるとはな・・・」
 
 更にエーダは魔力を剣に纏わせていき、空を突き抜ける程、巨大な黒い剣を作り出した。

 「不味いな」

 エーダの持つ技の中でも最強の技である刀身を自身の魔力で纏わせ巨大な大剣を作り放つ魔剣技、覇王斬。あれほどの魔力を受け切れる力は今のアンリには無かった。

 「ぎゃぎゃぎゃ!!終わりだな!!!」
 「やらせない!!!」
 「ぎゃッ!?何だテメェは!?」
 
 今にも奥義が放たれようとしていた時だった。二体の魔物の背後から管理人がカヌの背中目掛けて飛びかかり羽を掴んだ。

 「何だテメェは!!?」
 「アンリさん今です!」
 「おぉ、管理人やはりお前は流石だな!!!」

 あの男はこう言う時に憎い活躍をしてくる。全く・・・本当に愛おしい奴だ。
 
 「さぁてエーダよ。今助けるぞ!」

 直線距離で約二十五メートル。今にも魔剣が放たれようとしていた。逃げる選択肢はない。
 ならば、やる事は一つだ。

 「行くぞ!」

 そう言ってアンリさんは黒い騎士に向かって走り出した。その行動に俺と二体の魔物は目を丸くして驚いた。
 
 「大胆すぎますよ、アンリさん」

 こんな状況だと言うのに思わず笑ってしまった。
 大胆不敵にして知略縦横を絵に描いたアンリさんの行動は自分には絶対真似できない。
 そしてアンリさんは俺ですら思いもよらなかった魔法を使った。

 「煙よ舞い・清浄なる力よ・汚れし存在を浄化せよ!」
 「・・・ん??それってまさか!?」
 「 Gを殺す魔法ゴキジェッツ!!」

 アンリさんは手のひらから白い球を作り出し、黒い騎士に向かって放った。
 そう。アレはこの前、モニちゃんが俺達の部屋に現れたGを退治してくれた時に使った魔法だ。まさか、覚えてたんだあれ・・・。
 白い球は黒い騎士の顔の鎧に直撃して破裂した。

 「がぁぁぁ・・・ぐっ!?ぐあぁ!!?何だこれはッ!ゲホッガハッ!!!」

 洗脳が解けてエーダさんは意識を取り戻したのか、先程までの叫び声とはまた違った苦悶の声を上げて、咳き込みながらしゃがみ込んだ。
 仮面に入ってしまった煙を吸ったのだろう。その苦しさから逃れる為にエーダさんは仮面を剥ぎ取って素顔を晒した。

 「え?・・・アレ?人間の・・・女の子?」

 仮面を脱いだその素顔は、アンリさんにも負けずとも劣らない白い肌に、短く切り揃えた黒い髪に大きくパッチリとした目をした美少女だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...