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眠り姫
幽霊になりました
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気がついたらそこにいました。という85日目。
どこにといえば。
「……透けてるな」
「そのぅ。冷静ですね」
「本当は、肩をつかんで揺さぶってやりたいくらいなんだが、つかめないだろ」
「はい。大変申しわけございません」
森の中のホラーな家の中でした。
事の起こりは小さなことだったような気がします。
74日目の厨房でのやらかし(意図的)のあと、部屋に軟禁されました。本来は行くはずだった魔動車の研究所は後日の訪問となりました。
居直ってケーキ食べながらのんびりと過ごしましたよ。
ヒューイさんはケーキを食べた後もしばらくいましたが、お弟子さんに持ってかれました。弟子に比喩的でなく米俵のように担がれていきましたので帰宅というより強制連行の趣がありました。
最終的に室内にはあたしとリリーさん、ローゼの三人が残りました。もちろん部屋の外は見てませんけど、シュリーとティルスがいるでしょうね。
それにしてもカリナさんは未だ帰ってきません。
どこかにドナドナされちゃった? 人の心配している場合でもないのですけど気になります。
そんな現在、暇です。読みたい本もありますけど、読書も飽きました。
ローゼを師匠に基礎的な鍛錬を教えてもらっていたりしましたが、腹筋がつらかったです。ええ、ちょっとおなかとか気になるじゃないですか……。誰も見ないならごまかせるでしょうけど、よりにもよって……。
思い出しかけたいろいろを封印しました。あの件は未だにリリーさんには知られていないようです。知られたら結構本気の説教されそうな気がします。逆の立場だったらそうしますもの。理性的にはまずいことくらい理解してるんですけど、色々制御不能です。
まあ、ちょっとは満たされた気もしますのでこれで帰るまでを乗り切る所存です。
さて、そうして夕方くらいに手紙が届きました。それも二通。一方はリリーさん宛て。もう一つはゼータさんからのようです。
大変分厚い手紙にリリーさんは首をかしげていましたが、まあ、マニアだしと処理したようです。
「変なこと言ってきたら断っていいわよ」
リリーさんはそう言ってきますけど、中身を確認する気はないようです。それも変な気がしたんですけど、魔道具に関しては読んでもわからないわと苦笑していました。まあ、ゼータさんがよけいなことをしないという信頼があるのでしょうけど。
中身は前にあったときに話したことの中での疑問点をまとめたものでした。それも四人分。その時点で微妙な顔にはなったのですが、一枚ぺらっと入っていた紙が問題でした。
過労で寝込む前日のことはリリーさんには黙っているそうですよ。寝込まれるようなことを止めなかったからと出入り禁止になるどころじゃないと意見の一致を見たそうです。
読んですぐに隠滅するようにと書かれていたのでポケットに突っ込んでおきました。あとで隠滅します。
あたしの挙動不審はローゼが見ていたようですが、特に何も言われませんでした。素知らぬ顔をしていたので護衛としては正しいでしょう。巻き込まれたくありませんという意思表示のような気がしているのですけど。
リリーさんは別の手紙のほうが気にかかっているようであたしのほうへ意識が向いてません。読み終えても、ものすごく浮かない顔ですがなにかまずいことでもあったんでしょうか?
「ディレイは明後日王都を出るらしいんだけど、聞いてる?」
「いいえ。なにも」
数日中にはと本人からは聞いてましたけどね。少々のごまかしは許してもらいたいところです。いろいろぼろが出ます。
リリーさんは眉をきゅっと寄せて考え込んでいるようですね。エリックがリリーさんに連絡しないというのは考えられません。
伝達のどこかで途切れたということでしょう。どういった思惑の結果かが問題になりそうです。
「一回くらいはちゃんと話したいわよね?」
しかし、リリーさんが気にしていたのはそこではなかったようです。
そりゃあ、できるならいろいろ補給したい気持ちはありますが、もうちょっとで帰れますよね?
「ここから引き伸ばしされる可能性もあるし、最悪を言えば冬中ここにいることになるかも」
「……え?」
そ、想定外ですっ!
だ、だって、冬中引きこもって楽しく遊んで暮らそうと思ってたんですよっ! せっかくなので存分に甘えて少々の甘酸っぱい何かを、いえ、もっとあれななにかを期待してたんですっ!!
そんな楽しい冬休みを台無しにされるなんて。今、穏当にすまそうとしている努力を無視するなんて。
許せるわけないですよね?
ものすごく我慢して、ストレスたまっても困り顔でスルーしてたんですよ。
ご褒美目当てでっ!
「……漏れてる。漏れてるわよ」
「はっ、い、いやですね……。ふふふ」
「すました顔して案外えげつないこと考えていそうね……」
「うふふふ」
なにせ私、新婚なので。ふわふわ甘々な生活くらいしたいです。しかも相手が推しとか。卒倒しそうですけど。別な意味での生存が危ぶまれます。うちの旦那様、ほら素敵すぎるから。
リリーさんはなにかを察知したのかドン引きですね……。
「本当にディレイに関することだけおかしくなるわね」
「それはあきらめてください」
白い目で見られました。しかも二人分。こう言ってはなんですが、配偶者相手におかしくなるのは同じであると思うのですけど?
解せぬと思いながらも一応黙っておきます。不毛な争いを生みそうです。
「公式に会わせるのは難しいからどうしようかしら」
「リリーさんに別れの挨拶とかはダメなんですか?」
「私だけで別室でやってこいってところね。まあ、ひとまず、明日には屋敷に戻りましょう。
で、屋敷内には決まった使用人以外は進入禁止、特に男性は無理となると……」
「女性になっていただくわけにもいきませんからね」
まったく面倒ですよね。
それを聞いてリリーさんはにっこりと笑ったのが大変不吉です。ちょっと出てくるわとお一人で出かけました。ローゼと二人きりになったので、ちょうどよいとユウリのどこが良いのか問い詰める楽しい時間を満喫しました。
後日聞いた話によれば、エリックに女装は可能かという話を魔導士で集まって議論したとか。暇なんですか。背丈の問題で不可となったらしいですけどね。
……ちょっとだけあたしも入りたかったなぁなんて思ったんですけど。けだるい色気のある美人さんになるような気がしますよ。
どこにといえば。
「……透けてるな」
「そのぅ。冷静ですね」
「本当は、肩をつかんで揺さぶってやりたいくらいなんだが、つかめないだろ」
「はい。大変申しわけございません」
森の中のホラーな家の中でした。
事の起こりは小さなことだったような気がします。
74日目の厨房でのやらかし(意図的)のあと、部屋に軟禁されました。本来は行くはずだった魔動車の研究所は後日の訪問となりました。
居直ってケーキ食べながらのんびりと過ごしましたよ。
ヒューイさんはケーキを食べた後もしばらくいましたが、お弟子さんに持ってかれました。弟子に比喩的でなく米俵のように担がれていきましたので帰宅というより強制連行の趣がありました。
最終的に室内にはあたしとリリーさん、ローゼの三人が残りました。もちろん部屋の外は見てませんけど、シュリーとティルスがいるでしょうね。
それにしてもカリナさんは未だ帰ってきません。
どこかにドナドナされちゃった? 人の心配している場合でもないのですけど気になります。
そんな現在、暇です。読みたい本もありますけど、読書も飽きました。
ローゼを師匠に基礎的な鍛錬を教えてもらっていたりしましたが、腹筋がつらかったです。ええ、ちょっとおなかとか気になるじゃないですか……。誰も見ないならごまかせるでしょうけど、よりにもよって……。
思い出しかけたいろいろを封印しました。あの件は未だにリリーさんには知られていないようです。知られたら結構本気の説教されそうな気がします。逆の立場だったらそうしますもの。理性的にはまずいことくらい理解してるんですけど、色々制御不能です。
まあ、ちょっとは満たされた気もしますのでこれで帰るまでを乗り切る所存です。
さて、そうして夕方くらいに手紙が届きました。それも二通。一方はリリーさん宛て。もう一つはゼータさんからのようです。
大変分厚い手紙にリリーさんは首をかしげていましたが、まあ、マニアだしと処理したようです。
「変なこと言ってきたら断っていいわよ」
リリーさんはそう言ってきますけど、中身を確認する気はないようです。それも変な気がしたんですけど、魔道具に関しては読んでもわからないわと苦笑していました。まあ、ゼータさんがよけいなことをしないという信頼があるのでしょうけど。
中身は前にあったときに話したことの中での疑問点をまとめたものでした。それも四人分。その時点で微妙な顔にはなったのですが、一枚ぺらっと入っていた紙が問題でした。
過労で寝込む前日のことはリリーさんには黙っているそうですよ。寝込まれるようなことを止めなかったからと出入り禁止になるどころじゃないと意見の一致を見たそうです。
読んですぐに隠滅するようにと書かれていたのでポケットに突っ込んでおきました。あとで隠滅します。
あたしの挙動不審はローゼが見ていたようですが、特に何も言われませんでした。素知らぬ顔をしていたので護衛としては正しいでしょう。巻き込まれたくありませんという意思表示のような気がしているのですけど。
リリーさんは別の手紙のほうが気にかかっているようであたしのほうへ意識が向いてません。読み終えても、ものすごく浮かない顔ですがなにかまずいことでもあったんでしょうか?
「ディレイは明後日王都を出るらしいんだけど、聞いてる?」
「いいえ。なにも」
数日中にはと本人からは聞いてましたけどね。少々のごまかしは許してもらいたいところです。いろいろぼろが出ます。
リリーさんは眉をきゅっと寄せて考え込んでいるようですね。エリックがリリーさんに連絡しないというのは考えられません。
伝達のどこかで途切れたということでしょう。どういった思惑の結果かが問題になりそうです。
「一回くらいはちゃんと話したいわよね?」
しかし、リリーさんが気にしていたのはそこではなかったようです。
そりゃあ、できるならいろいろ補給したい気持ちはありますが、もうちょっとで帰れますよね?
「ここから引き伸ばしされる可能性もあるし、最悪を言えば冬中ここにいることになるかも」
「……え?」
そ、想定外ですっ!
だ、だって、冬中引きこもって楽しく遊んで暮らそうと思ってたんですよっ! せっかくなので存分に甘えて少々の甘酸っぱい何かを、いえ、もっとあれななにかを期待してたんですっ!!
そんな楽しい冬休みを台無しにされるなんて。今、穏当にすまそうとしている努力を無視するなんて。
許せるわけないですよね?
ものすごく我慢して、ストレスたまっても困り顔でスルーしてたんですよ。
ご褒美目当てでっ!
「……漏れてる。漏れてるわよ」
「はっ、い、いやですね……。ふふふ」
「すました顔して案外えげつないこと考えていそうね……」
「うふふふ」
なにせ私、新婚なので。ふわふわ甘々な生活くらいしたいです。しかも相手が推しとか。卒倒しそうですけど。別な意味での生存が危ぶまれます。うちの旦那様、ほら素敵すぎるから。
リリーさんはなにかを察知したのかドン引きですね……。
「本当にディレイに関することだけおかしくなるわね」
「それはあきらめてください」
白い目で見られました。しかも二人分。こう言ってはなんですが、配偶者相手におかしくなるのは同じであると思うのですけど?
解せぬと思いながらも一応黙っておきます。不毛な争いを生みそうです。
「公式に会わせるのは難しいからどうしようかしら」
「リリーさんに別れの挨拶とかはダメなんですか?」
「私だけで別室でやってこいってところね。まあ、ひとまず、明日には屋敷に戻りましょう。
で、屋敷内には決まった使用人以外は進入禁止、特に男性は無理となると……」
「女性になっていただくわけにもいきませんからね」
まったく面倒ですよね。
それを聞いてリリーさんはにっこりと笑ったのが大変不吉です。ちょっと出てくるわとお一人で出かけました。ローゼと二人きりになったので、ちょうどよいとユウリのどこが良いのか問い詰める楽しい時間を満喫しました。
後日聞いた話によれば、エリックに女装は可能かという話を魔導士で集まって議論したとか。暇なんですか。背丈の問題で不可となったらしいですけどね。
……ちょっとだけあたしも入りたかったなぁなんて思ったんですけど。けだるい色気のある美人さんになるような気がしますよ。
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