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第二部 セルフィニエ辺境伯領編
第百四十九話 ランチタイム!
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森で一通り遊んだら、ランチタイムとなった。
大人たちも狩りを終えて合流する。どうやら大人たちの方は何羽か鳥を射ることができたようで、従者たちが獲物を抱えていた。お兄ちゃんも獲物とれたのかな?
従者らが比較的平らな地面を選んで布を敷き、陶器の皿やカトラリーなどを並べる。一方では獲ってきた獲物の処理を進めていく従者さんたちもいた。ランチの用意は手際よく勧められた。
ランチのメニューはサンドイッチのようだ。
オムレツと葉野菜、そして薄くスライスした肉が挟まれたバゲットサンドイッチが配られる。
「うえー、オムレツが挟まってる……」
ケイスくんがサンドイッチを手にしてうんざりしたように呟いた。
嗜めるように辺境伯が片眉を上げるが、ケイスくんは気付く様子がない。
「オムレツ、嫌いなんですか?」
当然僕はそう尋ねる。
「だって毎日出て来るからもう飽き飽きしてるんです……」
ケイスくんは唇を尖らせてぶつくさと言った。
言われてみれば辺境伯の城では朝ごはんも昼ご飯も毎回のようにオムレツが出て来る。
具も何も入ってないプレーンオムレツであるばかりか、あまり味もしない。それではケイスくんがうんざりしてしまうのも仕方ない。
多分味付けに塩ぐらいは使っているのだろうが、それ以外には何もしてないのではないだろうか。
もしかすれば僕が美味しいオムレツを開発すれば大儲けできるかもしれない!
……オムレツって何で味付けするの? ケチャップ? 醤油? ソース?
どれもこれもこの世界に存在するのかも分からないし、存在しないのだとしたらそれらをどうやって作ればいいか分からない。
駄目だ、料理無双するには僕には知識が足りなかった……。心の中ががくりと項垂れる。
「仕方がないだろうケイス、我が城では卵黄が唸るほど有り余っているのだからね」
ごほんと咳払いした辺境伯が言う。
「卵黄が余っている……?」
卵黄が余っているとはどういうことだろう?
ただ卵が余っているのではなく、卵黄だけが余ってるの?
「……もしやワインのコラージュですか?」
それまで静かに話を聞いていたお兄ちゃんが謎の単語を口にする。
ワインのコラージュ???
一見卵黄とは無関係の言葉にポカンとしてしまう。ケイスくんも同じ顔をしていた。チェルソくんは気にせず美味しそうにサンドイッチを頬張っている。
「おお、流石アッシュフィールド殿よくご存じで。そうです、我が城ではワインの清澄に卵白を使用しておりまして」
辺境伯がお兄ちゃんの問いに感心したように頷く。
「次期当主であらせられるケイス様はもちろんご存知でしょうが、殿下の為にコラージュについてご説明いたしましょう」
お兄ちゃんは明らかにケイスくんのポカンとした顔を見た上で得意げに言った。
あれ、お兄ちゃんまだケイスくんと張り合ってるの?
「卵白に含まれる成分がワインの澱と結び付き易く、卵白を入れることでワイン樽の中で澱を纏いながら樽の底に沈んでいくのです。数ヶ月後にワインの上澄みだけを取り出すことで卵白と澱を取り除くことができるという訳です。これをコラージュと呼びます」
へえー。
ケイスくんは説明を聞いてもポカンとした顔のままだった。元現代日本人の僕も同じくポカンとした顔のままだった。
「はっはっは、アッシュフィールド殿は物知りですな。そういう訳でワインの清澄に卵白を使うので、城では卵黄が余り放題という訳なのですよ」
やっと事の次第が掴めた。
要はワイン造りに卵白を使う必要があるから、その影響で卵黄が余ってしまっているという話か。
「俺、卵よりも甘いものが食べたいです」
ケイスくんが拗ねたように言う。
「なら余った卵黄でケーキを作ってもらえるといいですね」
卵料理で甘い物と聞いて僕はケーキを連想した。
ところが。
「ケーキ……?」
「ケーキとはなんでしょうか、殿下?」
異世界人の皆はピンとこない顔をしたのだった。
あれ……もしかしてこの世界、ケーキもないの?
大人たちも狩りを終えて合流する。どうやら大人たちの方は何羽か鳥を射ることができたようで、従者たちが獲物を抱えていた。お兄ちゃんも獲物とれたのかな?
従者らが比較的平らな地面を選んで布を敷き、陶器の皿やカトラリーなどを並べる。一方では獲ってきた獲物の処理を進めていく従者さんたちもいた。ランチの用意は手際よく勧められた。
ランチのメニューはサンドイッチのようだ。
オムレツと葉野菜、そして薄くスライスした肉が挟まれたバゲットサンドイッチが配られる。
「うえー、オムレツが挟まってる……」
ケイスくんがサンドイッチを手にしてうんざりしたように呟いた。
嗜めるように辺境伯が片眉を上げるが、ケイスくんは気付く様子がない。
「オムレツ、嫌いなんですか?」
当然僕はそう尋ねる。
「だって毎日出て来るからもう飽き飽きしてるんです……」
ケイスくんは唇を尖らせてぶつくさと言った。
言われてみれば辺境伯の城では朝ごはんも昼ご飯も毎回のようにオムレツが出て来る。
具も何も入ってないプレーンオムレツであるばかりか、あまり味もしない。それではケイスくんがうんざりしてしまうのも仕方ない。
多分味付けに塩ぐらいは使っているのだろうが、それ以外には何もしてないのではないだろうか。
もしかすれば僕が美味しいオムレツを開発すれば大儲けできるかもしれない!
……オムレツって何で味付けするの? ケチャップ? 醤油? ソース?
どれもこれもこの世界に存在するのかも分からないし、存在しないのだとしたらそれらをどうやって作ればいいか分からない。
駄目だ、料理無双するには僕には知識が足りなかった……。心の中ががくりと項垂れる。
「仕方がないだろうケイス、我が城では卵黄が唸るほど有り余っているのだからね」
ごほんと咳払いした辺境伯が言う。
「卵黄が余っている……?」
卵黄が余っているとはどういうことだろう?
ただ卵が余っているのではなく、卵黄だけが余ってるの?
「……もしやワインのコラージュですか?」
それまで静かに話を聞いていたお兄ちゃんが謎の単語を口にする。
ワインのコラージュ???
一見卵黄とは無関係の言葉にポカンとしてしまう。ケイスくんも同じ顔をしていた。チェルソくんは気にせず美味しそうにサンドイッチを頬張っている。
「おお、流石アッシュフィールド殿よくご存じで。そうです、我が城ではワインの清澄に卵白を使用しておりまして」
辺境伯がお兄ちゃんの問いに感心したように頷く。
「次期当主であらせられるケイス様はもちろんご存知でしょうが、殿下の為にコラージュについてご説明いたしましょう」
お兄ちゃんは明らかにケイスくんのポカンとした顔を見た上で得意げに言った。
あれ、お兄ちゃんまだケイスくんと張り合ってるの?
「卵白に含まれる成分がワインの澱と結び付き易く、卵白を入れることでワイン樽の中で澱を纏いながら樽の底に沈んでいくのです。数ヶ月後にワインの上澄みだけを取り出すことで卵白と澱を取り除くことができるという訳です。これをコラージュと呼びます」
へえー。
ケイスくんは説明を聞いてもポカンとした顔のままだった。元現代日本人の僕も同じくポカンとした顔のままだった。
「はっはっは、アッシュフィールド殿は物知りですな。そういう訳でワインの清澄に卵白を使うので、城では卵黄が余り放題という訳なのですよ」
やっと事の次第が掴めた。
要はワイン造りに卵白を使う必要があるから、その影響で卵黄が余ってしまっているという話か。
「俺、卵よりも甘いものが食べたいです」
ケイスくんが拗ねたように言う。
「なら余った卵黄でケーキを作ってもらえるといいですね」
卵料理で甘い物と聞いて僕はケーキを連想した。
ところが。
「ケーキ……?」
「ケーキとはなんでしょうか、殿下?」
異世界人の皆はピンとこない顔をしたのだった。
あれ……もしかしてこの世界、ケーキもないの?
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