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第二部 セルフィニエ辺境伯領編
第百五十話 ケーキとは菓子パンのことということにする
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みんなが「ケーキって何?」って顔で僕を見ている。
これは確実にこの世界にはケーキが存在しない……!
僕だってケーキの主な材料くらい知っている。
でも洋菓子は確か材料をしっかり計量することが肝心な料理のはずだ。
流石にケーキの材料の正確な分量まで覚えてない。
僕がここで適当にケーキの作り方を教えても失敗作が出来るだけなのではないだろうか。
そして「この嘘つき!」って断罪されるんだ……ひええ。どうしよう。
「はわわ……」
あわあわと周囲を見回す。
不用意に口に出してしまったケーキのことをどう誤魔化そう……!
「?」
サンドイッチを頬張っているチェルソくんが目に入る。
サンドイッチ……パン……そうだ、パンだ!
この世界には白パンと黒パンの区別はあるけど、菓子パンっぽいものは見たことない。
きっとこの世界のパンは卵を使ってないんじゃないだろうか。
既に製法が確立されているパンに卵を入れるくらいなら何とかなるはず!
「えっとね、ケーキっていうのはね、甘いパンのことです!」
そういうことで僕は咄嗟に嘘を言った。
嘘というか、この世界ではケーキとは菓子パンのことを指すことにしちゃうのだ。
「普通のパンを作る時に卵黄と牛乳、そしてお砂糖をたっぷり入れるんです」
そうすればきっと原始的な菓子パン……そう、ブリオッシュに近いものが出来上がるはずだ。
「ほう、それは確かに美味しそうだ」
辺境伯が興味深げに頷く。
「ええ、良かったら料理人に作らせてみて下さい」
ブリオッシュだって繊細な計量が必要なのかもしれないが、見たことも聞いたこともないケーキを一から作るよりは菓子パンを作る方がまだ何とかなるはずだ。後は城の料理人の頑張り次第だ。
「なるほど、甘いパンですか……よし、私が作りましょう」
そう宣言したのはお兄ちゃんだった。
……え、なんでお兄ちゃんが!?
「おと……殿下の考えた物をオレが作るのは当然のことですから」
今、弟って言いかけたよね?
まさかお兄ちゃんがそこまで僕のことを溺愛してたなんて。
まあ「弟の考えた物を自分が作るのは当然」とまで言われたらちょっと悪い気はしないけど。
えへへ、嬉しいな。
「じゃあ俺も作ります……っ!」
何故だかケイスくんまで名乗りを上げた。
まさかケイスくんはケイスくんでお兄ちゃんと張り合っているのだろうか。
こうしてお兄ちゃんとケイスくんのブリオッシュ作り対決が開催されることとなってしまったのだった。何故にだ。
これは確実にこの世界にはケーキが存在しない……!
僕だってケーキの主な材料くらい知っている。
でも洋菓子は確か材料をしっかり計量することが肝心な料理のはずだ。
流石にケーキの材料の正確な分量まで覚えてない。
僕がここで適当にケーキの作り方を教えても失敗作が出来るだけなのではないだろうか。
そして「この嘘つき!」って断罪されるんだ……ひええ。どうしよう。
「はわわ……」
あわあわと周囲を見回す。
不用意に口に出してしまったケーキのことをどう誤魔化そう……!
「?」
サンドイッチを頬張っているチェルソくんが目に入る。
サンドイッチ……パン……そうだ、パンだ!
この世界には白パンと黒パンの区別はあるけど、菓子パンっぽいものは見たことない。
きっとこの世界のパンは卵を使ってないんじゃないだろうか。
既に製法が確立されているパンに卵を入れるくらいなら何とかなるはず!
「えっとね、ケーキっていうのはね、甘いパンのことです!」
そういうことで僕は咄嗟に嘘を言った。
嘘というか、この世界ではケーキとは菓子パンのことを指すことにしちゃうのだ。
「普通のパンを作る時に卵黄と牛乳、そしてお砂糖をたっぷり入れるんです」
そうすればきっと原始的な菓子パン……そう、ブリオッシュに近いものが出来上がるはずだ。
「ほう、それは確かに美味しそうだ」
辺境伯が興味深げに頷く。
「ええ、良かったら料理人に作らせてみて下さい」
ブリオッシュだって繊細な計量が必要なのかもしれないが、見たことも聞いたこともないケーキを一から作るよりは菓子パンを作る方がまだ何とかなるはずだ。後は城の料理人の頑張り次第だ。
「なるほど、甘いパンですか……よし、私が作りましょう」
そう宣言したのはお兄ちゃんだった。
……え、なんでお兄ちゃんが!?
「おと……殿下の考えた物をオレが作るのは当然のことですから」
今、弟って言いかけたよね?
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まあ「弟の考えた物を自分が作るのは当然」とまで言われたらちょっと悪い気はしないけど。
えへへ、嬉しいな。
「じゃあ俺も作ります……っ!」
何故だかケイスくんまで名乗りを上げた。
まさかケイスくんはケイスくんでお兄ちゃんと張り合っているのだろうか。
こうしてお兄ちゃんとケイスくんのブリオッシュ作り対決が開催されることとなってしまったのだった。何故にだ。
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