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番外編 短編集
書籍化記念SS テオフィルの一日
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朝。テオフィルは目を覚ました。
あくびをしているとすぐに侍女たちがやってきて、朝の挨拶をする。
「おはよお、みんな!」
テオフィルは朗らかにお返事した。
寝台から出ると、お着換えが始まる。侍女が着せ替えてくれるので、テオフィルは腕を上げて待つのだ。
テオフィルが持っている服は袖口にフリルがたっぷりついているものがほとんどで、とっても立派だと気に入っている。着ると、まるでグウェナエルのふさふさの毛並みのようだ。
着替えが終わったら、今度は毛づくろいだ。侍女たちはテオフィルにブラシをかけたり、毛艶のよくなる液体を塗り込んだりする。
それらがすっかり終わると、鏡に映るテオフィルはすっかりグウェナエルそっくりの男前になっている。侍女たちは可愛いと褒めるばかりで誰も男前だとは言ってくれないけれども、とにかくテオフィルは男前だと信じている。
身支度が終われば、テオフィルは食堂まで元気に駆ける。
「グウェン、アンリ! おはよお!」
「おはよう、テオフィル」
「おはよう。今日も元気だな」
大きな声で挨拶すると、グウェナエルとアンリが笑顔で挨拶を返してくれるのだ。この瞬間が、テオフィルにとっては楽しみだ。
「きょうのあさごはんは、なーに?」
「ふふ、なんだろうね」
おしゃべりしていると、朝ごはんが出てくる。
皿に載せられたパンの中に見慣れないものがあり、テオフィルは手に取った。
「これ、なあに?」
三日月の形をした不思議なパンだった。
「王城の料理人が発明した新しいパンだそうだ。ブルレック大臣がレシピを贈ってくれたのだ」
グウェナエルが説明した。
「ブルレックおじさん!」
お城で会ったおじさんの顔が、ぽわんぽわんと浮かんできた。怖い顔をしているけれど、とても優しいおじさんだった。
「オレも食べるのは初めてだ。食べてみようではないか」
「うん!」
テオフィルは三日月のパンを半分咥え、むしゃりと噛みちぎった。
「わああ!」
新しい食感に、尻尾がふさふさ揺れた。
外側はパリパリしていて、中はすごく柔らかくて、口の中で溶けて消えていくようだ。
「これ、これ、おいしいねえ!」
「そうだね」
アンリも三日月のパンを食べて笑顔になっている。アンリにも尻尾があれば、自分と同じくらい尻尾が揺れていただろうとテオフィルは思った。
家族みんなでの朝食が終わったら、勉強の時間だ。テオフィルは急いで自室に戻った。
「テオフィルさま、ごきげんようございます」
「おはよーございます!」
教師のモーリス先生に、元気に挨拶した。
将来、領主になる予定のテオフィルよりも地位の高い人間は、城には家族しかいない。けれども先生には敬意を払わなければならないと、アンリに習った。だからモーリス先生には、いつも礼儀正しく挨拶している。
「では、まずは計算から学びましょう」
「はーい!」
計算の勉強が始まった。
とても大きな数の足し算をマスターしたテオフィルは、今は引き算を教えてもらっている。これが難しいのだ。気をつけていないと、うっかり足し算をして、答えを間違えてしまう。
他にも物語を読んだり、マナーについて学んだりした。
「テオフィルさま、よく集中してがんばりましたね。午前の授業はこれでおしまいです」
「あー、ちゅかれたぁ」
全然走ったり跳ねたりしていないのに、勉強はがんばると疲れるから不思議だ。
たくさんがんばってお勉強をしたあとは、待ちに待ったお昼ご飯の時間だ。さっきからお腹がくうくう鳴って、早くごはんを食べたくてしょうがなかった。
テオフィルが食堂に行くと、いるのはアンリだけだった。
「グウェンは?」
「お出かけだって」
「ざんねん」
たまにこういう日もある。グウェナエルは領主としてお仕事がいっぱいあって、お出かけが多い。必ずしも毎日一緒にお昼ご飯を食べられるわけではない。
お昼ご飯もとっても美味しかった。
お昼ご飯のあとは、音楽の勉強の時間だ。縦笛を吹いて、音階を必死に覚える。テオフィルが思うに、音楽の勉強が一番大変だ。
でも、テオフィルが間違えてもモーリス先生はぶったりしない。だから、テオフィルはのびのびと縦笛を吹けた。
音楽の授業も終わると、とうとう自由時間だ。最近はアンリもお仕事があるので、テオフィルはもっぱら一人で城の中を探検している。
一人でといっても、城には使用人がたくさんいるから、いつも誰かが見守っている。
前に使用人は何人いるのかと聞いたら、百人よりも多いのだと教えてもらった。
百よりも多い数!
とっても大きな数の足し算を勉強したテオフィルであっても、未知の数字だった。まだまだ勉強しなければならないことは、この世にたくさんあるようだ。
テオフィルは中庭を駆けまわり、匂いにつられて厨房に忍びこみ、「内緒だよ」と口止めされながらお菓子をもらった。楽しい時間だった。
厨房に忍びこんだときに料理人にお願いしておいたからだろうか、晩御飯にはテオフィルの大好きなハンバーグが出た。お皿いっぱいの大きなハンバーグだ。
「わああ……!」
尻尾の動きは留まるところを知らない。
見ると、グウェナエルの尻尾も揺れていた。グウェナエルもハンバーグが大好きなのだと、テオフィルは気がついた。
ぺろりとハンバーグを平らげると、お腹がぽんぽこりんになった。
美味しいものでおなかがいっぱいになって、なんだかとっても眠い。
アンリに手を引かれ、眠りそうになりながら浴場へ向かった。
うとうとしている間に温かいお湯に身体が包まれ、さらに心地がよくなって瞼がすっかり重い。
気がついたときには、テオフィルは寝台の中にいた。
寝台のテオフィルを、空みたいな色の綺麗な瞳が見下ろしていた。アンリのお目目だ。
「起きちゃった?」
「ん。おきちゃった」
窓からお月さまが見える。どうやらほんの少し寝ていただけで、まだ夜のようだ。
楽しい一日がもう終わってしまう。
なんだか寂しくなって、テオフィルは思わずアンリの手をぎゅっと掴んだ。
「アンリ、いかないで」
「どこにもいかないよ」
アンリはテオフィルの手を掴み返した。
すべすべした手が温かい。
「そうだ、お話を聞かせてあげよう」
「おはなし?」
「うん。白い猫と黒い犬と銀色の子犬のお話の続き」
羊皮紙を束ねて作られた、アンリの書いたお話を思い出した。
あのお話の続きがあるなんて。
寂しい気持ちはどこへやら、テオフィルはワクワクとしながら耳を傾けた。
「白い猫は、黒い犬と銀色の子犬と幸せに暮らしていました。そこへ……」
囁き声で語られる物語を聞いていると、安心した気持ちになって再び眠気がやってくる。
夢の中では、白い猫と黒い犬と銀色の子犬が躍っていた。
楽しい夢が終われば、また朝がやってくる。
楽しい一日の始まりだ。
_____________
皆さまの応援のおかげで、このたび、本作の書籍化が決まりました!
明日2025/4/7出荷です! 順次各書店さんに並び始めます。
予約はもう開始しています。電子書籍での販売も4/7から開始です。
書き下ろしがたくさんありますので、書籍版もよろしくお願いいたします。
たとえばこの短編に「ブルレックおじさん」という聞き覚えのない名前が出てきましたね……?
正体を知りたい方は、ぜひ書籍版をお手に取っていただければと思います。
あくびをしているとすぐに侍女たちがやってきて、朝の挨拶をする。
「おはよお、みんな!」
テオフィルは朗らかにお返事した。
寝台から出ると、お着換えが始まる。侍女が着せ替えてくれるので、テオフィルは腕を上げて待つのだ。
テオフィルが持っている服は袖口にフリルがたっぷりついているものがほとんどで、とっても立派だと気に入っている。着ると、まるでグウェナエルのふさふさの毛並みのようだ。
着替えが終わったら、今度は毛づくろいだ。侍女たちはテオフィルにブラシをかけたり、毛艶のよくなる液体を塗り込んだりする。
それらがすっかり終わると、鏡に映るテオフィルはすっかりグウェナエルそっくりの男前になっている。侍女たちは可愛いと褒めるばかりで誰も男前だとは言ってくれないけれども、とにかくテオフィルは男前だと信じている。
身支度が終われば、テオフィルは食堂まで元気に駆ける。
「グウェン、アンリ! おはよお!」
「おはよう、テオフィル」
「おはよう。今日も元気だな」
大きな声で挨拶すると、グウェナエルとアンリが笑顔で挨拶を返してくれるのだ。この瞬間が、テオフィルにとっては楽しみだ。
「きょうのあさごはんは、なーに?」
「ふふ、なんだろうね」
おしゃべりしていると、朝ごはんが出てくる。
皿に載せられたパンの中に見慣れないものがあり、テオフィルは手に取った。
「これ、なあに?」
三日月の形をした不思議なパンだった。
「王城の料理人が発明した新しいパンだそうだ。ブルレック大臣がレシピを贈ってくれたのだ」
グウェナエルが説明した。
「ブルレックおじさん!」
お城で会ったおじさんの顔が、ぽわんぽわんと浮かんできた。怖い顔をしているけれど、とても優しいおじさんだった。
「オレも食べるのは初めてだ。食べてみようではないか」
「うん!」
テオフィルは三日月のパンを半分咥え、むしゃりと噛みちぎった。
「わああ!」
新しい食感に、尻尾がふさふさ揺れた。
外側はパリパリしていて、中はすごく柔らかくて、口の中で溶けて消えていくようだ。
「これ、これ、おいしいねえ!」
「そうだね」
アンリも三日月のパンを食べて笑顔になっている。アンリにも尻尾があれば、自分と同じくらい尻尾が揺れていただろうとテオフィルは思った。
家族みんなでの朝食が終わったら、勉強の時間だ。テオフィルは急いで自室に戻った。
「テオフィルさま、ごきげんようございます」
「おはよーございます!」
教師のモーリス先生に、元気に挨拶した。
将来、領主になる予定のテオフィルよりも地位の高い人間は、城には家族しかいない。けれども先生には敬意を払わなければならないと、アンリに習った。だからモーリス先生には、いつも礼儀正しく挨拶している。
「では、まずは計算から学びましょう」
「はーい!」
計算の勉強が始まった。
とても大きな数の足し算をマスターしたテオフィルは、今は引き算を教えてもらっている。これが難しいのだ。気をつけていないと、うっかり足し算をして、答えを間違えてしまう。
他にも物語を読んだり、マナーについて学んだりした。
「テオフィルさま、よく集中してがんばりましたね。午前の授業はこれでおしまいです」
「あー、ちゅかれたぁ」
全然走ったり跳ねたりしていないのに、勉強はがんばると疲れるから不思議だ。
たくさんがんばってお勉強をしたあとは、待ちに待ったお昼ご飯の時間だ。さっきからお腹がくうくう鳴って、早くごはんを食べたくてしょうがなかった。
テオフィルが食堂に行くと、いるのはアンリだけだった。
「グウェンは?」
「お出かけだって」
「ざんねん」
たまにこういう日もある。グウェナエルは領主としてお仕事がいっぱいあって、お出かけが多い。必ずしも毎日一緒にお昼ご飯を食べられるわけではない。
お昼ご飯もとっても美味しかった。
お昼ご飯のあとは、音楽の勉強の時間だ。縦笛を吹いて、音階を必死に覚える。テオフィルが思うに、音楽の勉強が一番大変だ。
でも、テオフィルが間違えてもモーリス先生はぶったりしない。だから、テオフィルはのびのびと縦笛を吹けた。
音楽の授業も終わると、とうとう自由時間だ。最近はアンリもお仕事があるので、テオフィルはもっぱら一人で城の中を探検している。
一人でといっても、城には使用人がたくさんいるから、いつも誰かが見守っている。
前に使用人は何人いるのかと聞いたら、百人よりも多いのだと教えてもらった。
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とっても大きな数の足し算を勉強したテオフィルであっても、未知の数字だった。まだまだ勉強しなければならないことは、この世にたくさんあるようだ。
テオフィルは中庭を駆けまわり、匂いにつられて厨房に忍びこみ、「内緒だよ」と口止めされながらお菓子をもらった。楽しい時間だった。
厨房に忍びこんだときに料理人にお願いしておいたからだろうか、晩御飯にはテオフィルの大好きなハンバーグが出た。お皿いっぱいの大きなハンバーグだ。
「わああ……!」
尻尾の動きは留まるところを知らない。
見ると、グウェナエルの尻尾も揺れていた。グウェナエルもハンバーグが大好きなのだと、テオフィルは気がついた。
ぺろりとハンバーグを平らげると、お腹がぽんぽこりんになった。
美味しいものでおなかがいっぱいになって、なんだかとっても眠い。
アンリに手を引かれ、眠りそうになりながら浴場へ向かった。
うとうとしている間に温かいお湯に身体が包まれ、さらに心地がよくなって瞼がすっかり重い。
気がついたときには、テオフィルは寝台の中にいた。
寝台のテオフィルを、空みたいな色の綺麗な瞳が見下ろしていた。アンリのお目目だ。
「起きちゃった?」
「ん。おきちゃった」
窓からお月さまが見える。どうやらほんの少し寝ていただけで、まだ夜のようだ。
楽しい一日がもう終わってしまう。
なんだか寂しくなって、テオフィルは思わずアンリの手をぎゅっと掴んだ。
「アンリ、いかないで」
「どこにもいかないよ」
アンリはテオフィルの手を掴み返した。
すべすべした手が温かい。
「そうだ、お話を聞かせてあげよう」
「おはなし?」
「うん。白い猫と黒い犬と銀色の子犬のお話の続き」
羊皮紙を束ねて作られた、アンリの書いたお話を思い出した。
あのお話の続きがあるなんて。
寂しい気持ちはどこへやら、テオフィルはワクワクとしながら耳を傾けた。
「白い猫は、黒い犬と銀色の子犬と幸せに暮らしていました。そこへ……」
囁き声で語られる物語を聞いていると、安心した気持ちになって再び眠気がやってくる。
夢の中では、白い猫と黒い犬と銀色の子犬が躍っていた。
楽しい夢が終われば、また朝がやってくる。
楽しい一日の始まりだ。
_____________
皆さまの応援のおかげで、このたび、本作の書籍化が決まりました!
明日2025/4/7出荷です! 順次各書店さんに並び始めます。
予約はもう開始しています。電子書籍での販売も4/7から開始です。
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四葩さま、書籍版を読んでいただけたなんて🥹 ありがとうございます!!
それぞれの書き下ろしを楽しんでいただけたようで、私もとっても幸せです!
雪祭りの雪像は、毎年恒例になったらグウェナエルが大喜びしそうですね😘 アンリは……恥ずかしいのが上回りそうですね😅
こうして感想までいただけて、本当に嬉しいです!
四葩さん、いつも感想ありがとうございます!
テオフィルとギンの短編も読んでいただき、感謝です!
テオフィルの可愛さを、全力でぶちこんでみました!
私自身も書いてて楽しかったです。
たっぷりもふもふ祭りでした。
作中では冬なので、テオフィルにハグされて、
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でも暖かさを意識している余裕はなかったかもしれませんねえ。
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あたふたするであろう未来が微笑ましいですね。
こちらこそ、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
四葩さん、いつも感想ありがとうございます!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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あと少しだけ、お付き合いください。
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