《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

110.結婚式が始まります。神子様が、神子様の面目躍如です。

結婚式は、人前式にプラス司祭、プラス神子様。

オレを公爵の伴侶として、お披露目すること。

神子様が、公爵夫妻を祝福し、公爵と公爵の伴侶のどちらとも親交が深いことを知らしめる場だ。

晴れ渡る青空の下。

会場は、恋人達の広場。

クロードの両親が消失した場所。

この場所を恐怖の現場として、後世に遺さない、とクロードは決めた。
英雄と神子様が揃っている今、目出度い場所に変えよう。
クロードの両親の消失の現場として記録は残す。
同時に、クロードとオレの新しい門出の場所に定めたのだ。

オレは、公爵と神子様に挟まれて、三人で立っている。

公爵夫妻の結婚式は、政治的パフォーマンスが百パーセント。

オレ達は、おごそかな式典ではなく、多くの人の目に焼きつく結婚式を追求した。

結婚式の基本は、踏襲しているが、アレンジ九十パーセント。

原型をとどめているのは、司祭が挨拶すること、と、司祭の衣装かなー。

公爵領の司祭が、オレ達三人の前に立つ。

「この目出度き佳き日。

クロード・ケレメイン公爵閣下、閣下の伴侶でございますヒサツグ・ミズト様。
ご両名のご成婚の儀を執り行います。
ご両名のご成婚を祝し、
公爵ご夫妻と懇意にされていらっしゃいます、当代の神子様が、立ち会い人を務められます。」

神子様は、オレの隣から、歩いていき、司祭の横に並ぶ。

「ぼくの古い友人と新しい友人が仲良く、未来への扉を開く瞬間に立ち会えるチャンスに恵まれたことをぼくは感謝しています。

ぼくの古い友人、クロード・ケレメイン。
ぼくの新しい友人、ヒサツグ・ミズト。

二人には、ぼくの友情と、お祝いの言葉を心を込めて贈ります。

『クロード・ケレメインとヒサツグ・ミズトの愛は激しくお互いを求めて、優しくお互いを包み込むものとなるでしょう。

二人の愛を邪魔する者は、馬に蹴られて崖から落ちます。』

ぼくの友人二人が仲を育むのを見守ってきた、公爵領の皆さん。

ぼくからのお願いです。

二人と一緒に、これからも公爵領で盛り上がりましょう。」

神子様の呼びかけに、歓声がわく。

オレとクロードは、歓声がおさまるまで待った。

クロードが話し始める、と察した領民は、水面に広がる波紋のように静かになっていった。

ああ、愛されているな。

オレのクロードには、この場所が似合う。

「クロード・ケレメインだ。神子様と力を合わせて、魔王を討伐し、私は英雄になった。

魔王による消失の被害は、公爵領の至るところに及んでいた。

私は、王都から出ることが叶わぬ日が続き、忸怩たる思いで過ごしていた。

私の伴侶、ヒサツグ・ミズトは、私に、希望を与え、私の民の光となった。

ヒサツグ・ミズトは、私の真実の愛を捧げるに相応しく、その献身と知恵で、私と私の民を支えてきた。

今日、正式に私の伴侶として披露することは、この上ない喜びだ。

私の唯一無二の伴侶、ヒサツグ・ミズトだ。」