《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

111.結婚式に飛び入りゲストは、必要ですか?お客様に、招待状を送った心当たりは、ございません。

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次は、オレだ。

今日のオレとクロードは、公爵家の紋章を背中と、胸元と、腕に刺繍した正装だ。

純白の生地にセルリアンブルーの刺繍。

恋人達の広場の草の上に立つオレ達は、目立つ。

ぬけるような青空と、草の色とのコントラスト。

人々の記憶に残るように。

そよ風は、マントと髪をふわりふわりと揺らす。

オレは、オレとクロードの人生のために、この国の国王陛下と争う。

クロードは、公爵。
オレは、公爵の伴侶。

オレ達は、反旗を翻すからには、勝たなくてはならない。

負けて、傷つくのは、オレ達夫婦だけではない。

オレ達の決断は、公爵家と、公爵領、オレとクロードに関わる全部を巻き込む。

オレは、敵にとっては、標的になる。

味方にとっては?

クロードの希望。
クロードの民の光。

もう一声ほしい。

クロードが安心できて、クロードの民が、クロードとオレの民だと思えるように。

だから。

オレは、オレのしてきたことを糧に、オレがこれからすることを間違いで終わらせない。

オレは、話す前に、周りを見回した。

うん?

見たことがあるけれど、見たくない顔がある。

呼んでいないぞ?

公爵家の敷居はまたがせない、と言ったのに、しれっと混ざっているやつがいる。

出禁なのは、公爵家の屋敷だけじゃないんだよ!

オイ!

そこの兄妹!

医者と医者の妹!

いけしゃあしゃあと、公爵領に入ってくるな!

公爵領は、公道じゃない!

そう言えば。

医者の妹は、神子様の侍女になったと言っていたな、医者が。

今さらだけど、神子様に、侍女は、必要だったのか?

神子様は、一人で、公爵領に来たぞ?

お忍び、だから、と納得していたオレ。

よく考えろ、オレ。
貴人のお忍びだぞ。
一人旅、アリか?

お忍びします、と言っても、一人で王城を出してもらえないよなー。

神子様が、お忍びだと言って、王城を出てきたなら、同伴者がいたはず。

神子様、同伴者は、どいたした?

本当に、今さらだけど。

神子様が、飄々と生活しているから、頭からすっぽりぬけていたなー。


神子様、王城からの同伴者をまいてきたのか?


公爵領に来てからの様子しか、オレは、知らないけれど。

神子様は、自分一人で、生活出来ている。

女性に限らず、使用人がいなくても、神子様は、公爵領で、快適にお過ごしだ。

基本的に、神子様は、自分のことは自分で出来る。

使用人アリの生活をしていた人だって、失念していた。


神子様の同伴者は、今、どこにいる?

神子様の同伴者は、どこのどなた?


王都で、神子様と会った時、神子様には、男性の使用人と護衛がいた。

オレが誘拐されたときも、神子様は、使用人と護衛を連れていた。

肩書きは、色々あれど、神子様の周りで、神子様のために働く女性は見たことがない。

神子様の侍女って、名誉職なのか?

医者の妹のための?

うーん。


神子様は、背中を向けているから、妹の視線に気づかない。

『元々、神子は、人目を集めるものだから、見られるのは当たり前。』
と神子様は話していたから、視線を集めても、気にしないようにしているのかな。

医者の妹は、食い入るように、神子様の背中を見ている。

医者は、神子様を見ている妹を見ている。

この兄妹、どーしてくれよー。
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