上 下
15 / 20

黒沼の亡霊

しおりを挟む
とある大企業の社長室。社長は怯えていた。

社長「専務に続いて副社長まで…次はいよいよ…私が殺される番…!?」

警部「安心してください社長。あなたは、我々がしっかり警護しますから」

連続殺人事件。次に、狙われる可能性が高い社長の身辺には警察、そして探偵がついていた。

社長「これは亡霊だ…」

探偵「亡霊…?」

社長「これは、!!!」

警部「黒沼…?それは一体、誰です!?」

社長「3年前、我々のした事のせいで…黒沼君は!!」

探偵「3年前!?」

警部「何があったんです!?」

社長「亡霊に殺される~~!!!!」

社長は恐怖のあまり、半狂乱となっている。

警部「落ち着いてください社長。その話、詳しく聞かせてください」

社長「我々が、黒沼君を死に追いやってしまったんだ…あれのせいで!!」

探偵「あれ?」

警部「あれって、何です?」

社長「亡霊があああああ!!!!」

警部「いや、だからぁ…」

探偵「亡霊なんて、いませんよ」

頭を抱えてうずくまる社長に、探偵が鋭く言った。

探偵「不可解な事件の裏には、必ずトリックがあり、それは生きた人間の手によって、行われているのです。

古今東西、報告されている様々な心霊現象も全て、プラズマで説明がつきます。人魂も、ラップ現象も、ポルターガイストも、全てはプラズマです。

もう、霊と言えばプラズマすぎて、プラズマクラスター空気清浄機で除霊ができるという説が、あるとかないとか」

社長「許してくれ~~~~~~!!!!!」

警部「探偵くん。この人、聞いてないよ」

らちが開かないので、警部は部下に水を持ってくるように指示をした。そして、床に額を擦りつけて喚いている社長を抱き起し、ソファに座らせる。

社長「まさか、あんな事になるなんて~~!!!!」

探偵「だから、どんな事です?」

社長「黒沼君の亡霊なんだあああ!!!!」

警部「はいはいはい」

部下が水を持ってくる。
警部は、それを社長に差し出して言った。

警部「さあ、この水を飲んで一旦落ち着いて…」

社長は、渡された水を一気に口に流し込む。

社長「ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…」

そうして警部は、社長が落ち着くのを待った。
探偵も、その様子を黙って見守っている。

社長「プハー……」

黒沼とは一体、何者なのか?

3年前起こったという、あれとはどれなのか?

そこに、この事件を解く鍵がある。

社長「ハァ…ハァ…ハァ……」

探偵と警部が固唾を飲んで見守る中、やがて社長は息を整え、再び口を開いた。

社長「亡霊だあああああああ!!!!!!」

警部「だーめだこりゃ」

【終】
しおりを挟む

処理中です...