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21. キスではダメ?
しおりを挟む部屋に入るとアリナさんはベッドで横になっていました。年頃の女性の寝室に入るなんて初めてなので、悪いことをしているみたいに思えてドキドキしちゃいます。
とりあえず、アリナさんを起こしてどこまで知っているのかとアリナさんの意思を確認しないとダメだよね。
僕は横になっているアリナさんの肩をつかみ身体を揺らして声をかけた。
「アリナさん…アリナさん…起きて下さい…」
何度も揺らして声をかけたけど目を覚ましそうにない。これって…キュラドさんがかけた催眠がとけてないからなのかな?
他人がかけた催眠を解く方法は…。
ヴァン様に教えてもらったことを思い出す。
…どうしよう。思い出した僕は自分の頬が熱を持ったことに気がつきました。
だって、方法は…女性の頬にキスをする…なんだ!
いや、お母様にご挨拶のキスをしてはいますが…意識のない若い女性にキスをするなんて…しかもイケメンじゃない、残念な末っ子と言われている僕だよ!
目が覚めたら訴えられないかな?
あ~、違う事が気になってきちゃったよ。
でも…今しないと明日も来ないといけなくなるんだよね。それに寝ている間なら本人は気がつかないよね…。そうだよ、僕が素早く離れれば大丈夫なはず。
「よし!」
僕は気合いをいれて、アリナさんの右の頬にキスをした。
すると淡い光が一瞬弾けた様になって、アリナさんがゆっくりと目蓋を開けた。
僕は急いでアリナさんから離れた。
アリナさんは回りを確認するようにキョロキョロとしていたが、やがて僕の姿を確認してベッドから起き上がった。
「貴方は昨夜の…ヴァンデ様…」
僕の事を覚えていてくれたみたい。
「はい。アリナさん身体は具合悪くないですか?」
「はい。あの…私は一体…」
もしかしてキュラドさんに関することは記憶に残っていない?何があったのか全く覚えていないみたいだ。キュラドさんの事を話すと不安に思うかもしれないから何も話さない方がたぶん良いよね。
「寝ていたところを起こしてしまい申し訳ありません。今夜はアリナさんが僕と契約をしてくださるのかを確かめに参りました」
寝ていたということにして強引に昨夜の話しにもっていったけど、大丈夫かな?
アリナさんは少し考えている様にも見えるんだよね。
「あの…私はおばあ様から聞いた話の情報しか無いのですが、質問をさせていただいてもよろしいですか?」
しっかりした女性みたいだね。
「どうぞ」
まあ、僕が逆でも聞くだろうけどね。僕がイケメンだったら何も聞かずに契約してくれたのかもしれないけど…。あっ、自分で思って気持ちがへこんじゃった。
「ヴァンデ様と契約するとは、キスをして契約を行うということですか?」
やっぱり、そこ気になりますよね。
「いえ、人によって少し違いますが僕は手で契約をさせていただきます」
「手…ですか?」
「はい」
「キスではないのですか?」
「はい」
「なぜ?キスではダメなのですか」
…ん?
もしかしてアリナさんは僕とキスをしたいのかな?
いや、まさか…ね。
違う…よね…?
「私の心は決まっております!いつも通りで構いませんわ」
最近の令嬢って皆こんなに積極的なのかな?
僕にグイグイ近づいて来ています。
そういえば兄に「女性に恥をかかせてはいけない」と教わった事を思い出しました。
どうにかアリナさんに恥をかかせないようにするには…。
そうだ!
僕に良い案が思い付きました。上手くいくと良いけど…。
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