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22. 契約終了
しおりを挟むアリナさんが納得してくれないかもしれないけど僕はこの方法しか選べないよ。
「アリナさん…今更ですがご挨拶をさせてもらっても良いですか?前はバタバタとしていて正式なご挨拶ができなかったので気になっていたんです」
僕は流行る鼓動を静めるために自分の胸に手をあてながら、ゆっくりアリナさんに近づいていった。
「え?ヴァンデ様がしたいなら…構いませんわ」
よし!第一関門突破!!
「ありがとうございます」
僕は緊張している顔の筋肉に力を入れて笑顔を作る。…ここからが大事なんだから、落ち着け僕!
「では、改めまして…。私の名前はヴァンデ…貴女と契約を結びたく今宵お邪魔させていただきました。お受けいただけるのなら、貴女の美しい手を私に差しのべて下さいませんか?」
あー!!自分で言ってても照れちゃうよ!!!
まさかヴァン様から聞かされていた昔話がこんなところで役に立つなんて思わなかったよ。散々、ヴァン様の武勇伝聞いてて耳にタコさんができるのでは?と思ってたけど…ご先祖様の話は聞いておくもんだよね~。
あっ、因みにこの台詞はヴァン様がブラッディーガール達に言っていた決め台詞らしいよ。
ヴァン様は必ず最初にブラッディーガール達の手の甲にキスをしてから契約を始めていたらしい。
それを思い出したんだよ!
アリナさんは僕の話を聞いて左手を僕の方に差し出しました。
第二関門突破!!
僕は緊張しながらもアリナさんの手に優しく触れて、僕の手のひらの上に置いた。両手で包み込むようにしてからアリナさんの顔を見た。
アリナさん…目をキラキラと言うか…ギラギラさせてる?ちょっと怖い感じが…いや、気のせいかな?
そしてアリナさんの手の甲に優しくキスを…本当ならするんだけど、僕は親指の付け根辺りの柔らかいお肉の所を噛んだ。
「え!」
アリナさんは驚いて声を出したけど、僕は止めなかった。
血をもらった契約の後は傷口にキスをして…ゆっくりとアリナさんの顔をもう一度見た。
たぶん、唾液に含まれている媚薬の効果なのかアリナさんの顔が少しうっとりとしているのがわかる。
これを狙ってたんだよね。
この効果ぎあれば怒られなくてもすむかも…と思って実行したんだ。良かったよ、考えた通りになってくれて。
問題はこの媚薬効果がキレた後だよ。
でも唇にキスはするとは言ってないし、効果はアリナさんの肌や髪を見ればすぐにわかるだろうし…大丈夫かな?
ふう~、これでやっと1人目の契約が終了したよ。
僕のブラッディーガール第一号誕生です!
ブラッディーボールはもう少し後にできるらしいから楽しみです。能力もどんな能力を授かるのかな…ワクワクします。
だけど問題がまた残ってるんだよね~。
「おい!契約が済んじまったじゃねーか!ジジイが邪魔をするからだろ!お前のせいだ!!」
『だからジジイじゃないって言っているだろう!それに他の一族の契約者と契約することはタブーだ!』
ヴァン様とキュラドさんのケンカ…今夜中に終わるかな?
僕だけ先に帰っても良いかな…良いよね?
挨拶だけして帰れば大丈夫だよね?
「お先に失礼しま~す」
僕はケンカをしている2人の横を頭を下げて挨拶をしながら通りすぎた。
「おい!こら!!待て!!!小僧!」
『こら!報告は?!』
ヴァン様とキュラドさんが揃って僕の方に向いて大声で叫んでいたみたいだけど…。
僕には何も聞こえませ~ん!
お疲れさまでした~!!!
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