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魔法花婿(ウィザード)
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「ハァハァ……。このヤロー、ようやく大人しくなってきやがった……」
意地でもブレザーを離さなかったボクは、ようやく力が弱ってきた金の玉を抑える事に成功する。抑えこんだ先は人気の無い体育館裏で、いつの間にかボクは校舎の外まで来てしまっていた。
「馬鹿者、さっきのは『金の玉』(ゴールデンボール)の通信機能だ。我の本体はここにいる」
「え……?」
突然、上空から金の玉の声がしたかと思うと、その声の主は空中から姿を現した。
「貴様は我が呼び寄せたのだよ。この我、ゲームマスター『操(みさお)』がな――――」
「なっ……!? 浮いているっ!? ゲームマスター? 操(みさお)だと……?」
その操(みさお)と名乗る人物は、黒いフードに黒いマスクと目隠しを被った全身黒ずくめの見るからに怪しい人物だった。マスクには変声機が付いているらしく、男か女かも分からない。こんなのが学校の敷地内にいるなんて不審者もいいとこである。しかも、信じがたい事に空中浮遊までしていたのである。
「貴様の男根を奪ってやったのもこの我だ。しかと崇め奉るがよい」
「お前がボクを女に変えたのか!? 一体どうやって!? 元に戻す方法は知ってるんだな!?」
にわかには信じられない事だったが、ボクは既に朝から女体化や空中浮遊などの超常現象を見せつけられている。となるとボクにとっては、この操(みさお)の言う事を信じる以外の方法が見つからなかった。
「左様、貴様のもう一つの『金の玉』(ゴールデンボール)はここにある。貴様の股間から我が奪い取ったものだ」
そう言って操(みさお)は右手の平を開けて、二つ目の金の玉をボクに見せつける。言われてみれば確かに、金の玉は二つ無いとおかしい。もっとも、そんな人の局部を下ネタギャグ的なアイテムに変換して取り出せるという、訳わからん能力があればの話だが……。どうやら女体化もそれが原因らしい。
「そっちの片割れと合わせれば、貴様の身体も元に戻るだろう。―――だが、コイツを返すには、ある条件がある」
「じ、条件だと……?」
「その条件とは――――、我の主催する『花婿大戦』にて、『最後まで勝ち残る』事だ。精霊魔法の力を使って戦う『魔法花婿(ウィザード)』となってな―――――」
「は? 魔法花婿(ウィザード)? は?」
あまりに訳分からんパワーワードが次々に出てきて、ボクは一瞬自分の耳を疑う。そんなボクを気にも止めずに、操(みさお)は説明を続ける。
「『花婿大戦』とはその名の通り、花婿同士が醜く奪い合い、潰し合う戦争の事だよ。そして、この大戦の優勝者のみが、二つ目の『金の玉』(ゴールデンボール)を返還される事が許される」
「何ぃいいいいィ!?」
およそ現実世界の発言とは思えない言動の数々に、ボクは開いた口が塞がらない。
「ルールは簡単だ。襲い来る他の6人の魔法花婿(ウィザード)たちから、今貴様が持っている一つの『金の玉』(ゴールデンボール)を割られないように守り抜く事。そして、相手の『金の玉』(ゴールデンボール)を奪い、それを壊してしまう事。7人の魔法花婿(ウィザード)のうち、男に戻れるのは最後に残った一人だけだ」
「ほ、他にもボクと同じような被害者が6人もいるだって!? しかも、殺し合えだなんて……」
「ククク、何も殺し合えとまでは言ってねぇよ……。ただ、敗北者には一生女の身体で暮らしてもらうがな……」
映画や漫画でよくあるバトルロイヤルもののセオリー通り、そこは殺し合いでは無いのだと知ってホッとするボク。
まぁ、そっちの罰は罰で元男としては辛いものがあるが……。
「男を取り戻したいのなら、勝ってみせろ。女が欲しいのなら、オス同士潰し合え。進化の歴史とは、そうやって紡がれてきたものだ――――。敗北者には、女を得る権利など永久に与えられない。人間だけが違う道理など何処にある―――――?」
「うっ……」
操(みさお)は急に顔を迫らせて語りだすから、その凄みにボクは少しおののいてしまう。ガチガチに隠された顔からはその表情は読み取れなかったが、声には明らかに大きな愉悦の色があった。
「さぁ、我に男を見せてみせろ少年! オスの本能をさらけ出せ! 精霊魔法の使い方は、貴様の精霊が勝手に教えてくれる。戦いはもう、とっくに始まっているんだよ――――――――」
操がそこまで言った時、操の身体が半透明になって透けていくのが見えた。それと同時に、操の周囲に謎の衝撃波が炸裂してボクは後方へ吹き飛ばされてしまう。
意地でもブレザーを離さなかったボクは、ようやく力が弱ってきた金の玉を抑える事に成功する。抑えこんだ先は人気の無い体育館裏で、いつの間にかボクは校舎の外まで来てしまっていた。
「馬鹿者、さっきのは『金の玉』(ゴールデンボール)の通信機能だ。我の本体はここにいる」
「え……?」
突然、上空から金の玉の声がしたかと思うと、その声の主は空中から姿を現した。
「貴様は我が呼び寄せたのだよ。この我、ゲームマスター『操(みさお)』がな――――」
「なっ……!? 浮いているっ!? ゲームマスター? 操(みさお)だと……?」
その操(みさお)と名乗る人物は、黒いフードに黒いマスクと目隠しを被った全身黒ずくめの見るからに怪しい人物だった。マスクには変声機が付いているらしく、男か女かも分からない。こんなのが学校の敷地内にいるなんて不審者もいいとこである。しかも、信じがたい事に空中浮遊までしていたのである。
「貴様の男根を奪ってやったのもこの我だ。しかと崇め奉るがよい」
「お前がボクを女に変えたのか!? 一体どうやって!? 元に戻す方法は知ってるんだな!?」
にわかには信じられない事だったが、ボクは既に朝から女体化や空中浮遊などの超常現象を見せつけられている。となるとボクにとっては、この操(みさお)の言う事を信じる以外の方法が見つからなかった。
「左様、貴様のもう一つの『金の玉』(ゴールデンボール)はここにある。貴様の股間から我が奪い取ったものだ」
そう言って操(みさお)は右手の平を開けて、二つ目の金の玉をボクに見せつける。言われてみれば確かに、金の玉は二つ無いとおかしい。もっとも、そんな人の局部を下ネタギャグ的なアイテムに変換して取り出せるという、訳わからん能力があればの話だが……。どうやら女体化もそれが原因らしい。
「そっちの片割れと合わせれば、貴様の身体も元に戻るだろう。―――だが、コイツを返すには、ある条件がある」
「じ、条件だと……?」
「その条件とは――――、我の主催する『花婿大戦』にて、『最後まで勝ち残る』事だ。精霊魔法の力を使って戦う『魔法花婿(ウィザード)』となってな―――――」
「は? 魔法花婿(ウィザード)? は?」
あまりに訳分からんパワーワードが次々に出てきて、ボクは一瞬自分の耳を疑う。そんなボクを気にも止めずに、操(みさお)は説明を続ける。
「『花婿大戦』とはその名の通り、花婿同士が醜く奪い合い、潰し合う戦争の事だよ。そして、この大戦の優勝者のみが、二つ目の『金の玉』(ゴールデンボール)を返還される事が許される」
「何ぃいいいいィ!?」
およそ現実世界の発言とは思えない言動の数々に、ボクは開いた口が塞がらない。
「ルールは簡単だ。襲い来る他の6人の魔法花婿(ウィザード)たちから、今貴様が持っている一つの『金の玉』(ゴールデンボール)を割られないように守り抜く事。そして、相手の『金の玉』(ゴールデンボール)を奪い、それを壊してしまう事。7人の魔法花婿(ウィザード)のうち、男に戻れるのは最後に残った一人だけだ」
「ほ、他にもボクと同じような被害者が6人もいるだって!? しかも、殺し合えだなんて……」
「ククク、何も殺し合えとまでは言ってねぇよ……。ただ、敗北者には一生女の身体で暮らしてもらうがな……」
映画や漫画でよくあるバトルロイヤルもののセオリー通り、そこは殺し合いでは無いのだと知ってホッとするボク。
まぁ、そっちの罰は罰で元男としては辛いものがあるが……。
「男を取り戻したいのなら、勝ってみせろ。女が欲しいのなら、オス同士潰し合え。進化の歴史とは、そうやって紡がれてきたものだ――――。敗北者には、女を得る権利など永久に与えられない。人間だけが違う道理など何処にある―――――?」
「うっ……」
操(みさお)は急に顔を迫らせて語りだすから、その凄みにボクは少しおののいてしまう。ガチガチに隠された顔からはその表情は読み取れなかったが、声には明らかに大きな愉悦の色があった。
「さぁ、我に男を見せてみせろ少年! オスの本能をさらけ出せ! 精霊魔法の使い方は、貴様の精霊が勝手に教えてくれる。戦いはもう、とっくに始まっているんだよ――――――――」
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