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第7話
危険が一杯、オーク群生地っ!! 3
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「この髪型、気に入ったのかい?」
アルバートは俺の髪を優しく撫でながら尋ねる。
鍛え上げられた逞しい彼の大きな掌には安心感があって心地よい。
「はい。ナタリアがやってくれてるんです。
彼女、可愛い髪型を色々試してくれるんですけど、私はこれが気に入ってます。」
そこまで話したところで斥候が戻ってきた。斥候の所要時間は小半時と言ったところ。
流石に優秀な斥候は短時間で重要な情報を集めてくる。
「アルバート様。我々が三方から確認したところ、元からあった情報との差異は認められませんでした。
神殿を根城にしているのはオークです。それ以外の種族は確認できません。
見張りの数だけで30匹はいますし、神殿の規模から見ても総数は100を下りません。これほどの数を束ねている以上、頭目はオークキングでしょう。」
アルバートは尋ね返す。
「神殿の規模から考えてどれぐらいの数の敵が潜んでいる可能性がある?」
「そうですね・・・。恐らく別種族がいた場合を想定すると最大で200匹はいる可能性がありますね。」
「200か。厳しいな・・・。」
3人は続けて木の枝で地面に神殿周りの大まかな図面を書く。
「山の斜面を利用した神殿の前には半円を描いたように空堀が彫られていました。深くはありませんが、むやみに突撃を仕掛けたら退却が難しいものとなるでしょう。
それから神殿の奥の院は山の斜面を削ってできた地下神殿です。地質的に考えて、きっと中身はそう大きくはないでしょうが内部の道は狭く細いはずです。大軍は投入できませんし、後退も道の狭さが仇となってスムーズには行えないでしょう。」
「そうか。ご苦労。諸君らはこの場に待機。交代で見張ってくれ。
少しでも敵に動きがあれば、戻って来い。無理はするなよ?」
斥候の描いた地図を把握したアルバートは彼ら3人を残して基地に戻ることにした。
神殿と基地までは割と近距離だったので、彼らが逃走してきても直ぐに応援できるというわけ。
そしてアルバートは基地に戻った俺達に食事の準備を頼むと、基地本部のテントの中へ入っていった。きっと頭に叩き込んだ地形と神殿の周辺の地図をちゃんと作成して作戦を練るつもりなんだと思う。
そこは男の人の仕事。俺達は戦場の癒しとなるべく女の仕事をする。
「さてと・・・何を作ろうか?」
ナタリアは端切れの布で即席のエプロンを作ると食材の入った箱の山の前で腕組みしながら聞いてきた。
箱の中身は、石のように固いパン。塩。蜂蜜。ニンニク。胡椒。それに干し肉と油漬けの野菜。いずれ素焼きの壺に入れられている。
「はぁ・・・何を作ると言われましても、この食材じゃ肉のスープとパンしか作れませんね。」
レジーナの言う通りだった。せめて小麦粉があればもっと色々と作ってあげられるんだけど・・・。
「だね。贅沢言うともうちょっと香辛料が欲しかったね。味付けも単調になってしまうわ。」
辛口の味付けをするナタリアも香辛料の少なさを嘆いた。
これじゃアルバートに毎日、美味しいものを作ってあげられないわ。
アルバートは俺の髪を優しく撫でながら尋ねる。
鍛え上げられた逞しい彼の大きな掌には安心感があって心地よい。
「はい。ナタリアがやってくれてるんです。
彼女、可愛い髪型を色々試してくれるんですけど、私はこれが気に入ってます。」
そこまで話したところで斥候が戻ってきた。斥候の所要時間は小半時と言ったところ。
流石に優秀な斥候は短時間で重要な情報を集めてくる。
「アルバート様。我々が三方から確認したところ、元からあった情報との差異は認められませんでした。
神殿を根城にしているのはオークです。それ以外の種族は確認できません。
見張りの数だけで30匹はいますし、神殿の規模から見ても総数は100を下りません。これほどの数を束ねている以上、頭目はオークキングでしょう。」
アルバートは尋ね返す。
「神殿の規模から考えてどれぐらいの数の敵が潜んでいる可能性がある?」
「そうですね・・・。恐らく別種族がいた場合を想定すると最大で200匹はいる可能性がありますね。」
「200か。厳しいな・・・。」
3人は続けて木の枝で地面に神殿周りの大まかな図面を書く。
「山の斜面を利用した神殿の前には半円を描いたように空堀が彫られていました。深くはありませんが、むやみに突撃を仕掛けたら退却が難しいものとなるでしょう。
それから神殿の奥の院は山の斜面を削ってできた地下神殿です。地質的に考えて、きっと中身はそう大きくはないでしょうが内部の道は狭く細いはずです。大軍は投入できませんし、後退も道の狭さが仇となってスムーズには行えないでしょう。」
「そうか。ご苦労。諸君らはこの場に待機。交代で見張ってくれ。
少しでも敵に動きがあれば、戻って来い。無理はするなよ?」
斥候の描いた地図を把握したアルバートは彼ら3人を残して基地に戻ることにした。
神殿と基地までは割と近距離だったので、彼らが逃走してきても直ぐに応援できるというわけ。
そしてアルバートは基地に戻った俺達に食事の準備を頼むと、基地本部のテントの中へ入っていった。きっと頭に叩き込んだ地形と神殿の周辺の地図をちゃんと作成して作戦を練るつもりなんだと思う。
そこは男の人の仕事。俺達は戦場の癒しとなるべく女の仕事をする。
「さてと・・・何を作ろうか?」
ナタリアは端切れの布で即席のエプロンを作ると食材の入った箱の山の前で腕組みしながら聞いてきた。
箱の中身は、石のように固いパン。塩。蜂蜜。ニンニク。胡椒。それに干し肉と油漬けの野菜。いずれ素焼きの壺に入れられている。
「はぁ・・・何を作ると言われましても、この食材じゃ肉のスープとパンしか作れませんね。」
レジーナの言う通りだった。せめて小麦粉があればもっと色々と作ってあげられるんだけど・・・。
「だね。贅沢言うともうちょっと香辛料が欲しかったね。味付けも単調になってしまうわ。」
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これじゃアルバートに毎日、美味しいものを作ってあげられないわ。
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