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第4話
初めての共同作業 12
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ナタリアのパーティの後続として俺とアルバートは馬を走らせて街道に向かう。
猛スピードの馬で駆けるナタリアたちと違って俺達はゆっくり走ることを心掛けた。
「ローニャ、ゆっくり行こう。村まで走らせた後だから、馬を酷使したくない。
だが、これは逆にナタリアたちの反感を買わなくて済みそうだ。」
「・・・ですわね。
あまり先を急ぐとそれこそナタリアの獲物を取ろうとしていると思われかねないですもの。」
俺達は顔を見合わせてクスッと笑いあうと、あえてゆっくりと馬を走らせるのだった。
そうして俺達が龍虫がよく出現するという街道に到着した時、ナタリアたちは既に地面を叩いて振動を起こし、龍虫を誘っていた。
「ナタリア。無計画に刺激してはダメだ。
すぐに襲われないように岩場に近いところで誘い出せ。」
敵から身を護る場所がない平坦な場所で地面を叩いていたナタリアたちを見かねて思わず俺が助言すると、ナタリアの女たちが目をむいて怒ってきた。
「お黙りっ!! お姉様には考えがあるのよっ!」
「そうよっ!! ワームが動き出したら地面が盛り上がる。私たちはその時に土魔法で岩場を作って身を守るのよっ!!」
・・・う。良い作戦だ。
「彼女たちも無策と言うわけではないらしい。ローニャ、ここはお手並み拝見といこう。
君の土魔法で私たちの足下に岩場を作れるかい?」
「できるけど、一日で使える魔法の使用回数が減ってしまいますよ?」
「かまわない。どのみち必要な処置だ。」
「わかりました。アルバート様。」
俺はアルバートの指示に従って、下から龍虫に丸呑みされないための防御処置として地面に岩場を作る。
地面に手を当てて土精霊の加護を願った。
「おお、頑強なる巌の戦士、我が友ベヒーモスよ。
光と敵対する悪より我が身を守る楯をお与えください。
私は光の忠実な従者。古来の契約に従って御身の加護をお与えください。
岩の足場をお与えください・・・」
俺の詠唱が終わるとすぐに地鳴りと共に俺とアルバートの辺り一帯が岩場となった。
それはあまりにも巨大な岩場だったので、それを見たナタリアたちが声を上げて驚いた。
「ああっ! お、お姉様見てっ!! ローニャがあんなに巨大な岩場をっ!!」
「なんて土魔法なのっ!? あれなら私達も隠れられますっ!」
「ロ、ローニャ・・・あんた、一体何者なのさっ!!」
彼女たちとともにアルバートも呆れたように
「なんとね・・・。話には聞いていたが、呆れたな。
まさにLV.5の精霊魔法だ。」とせりあがった岩場の頂点で私に向かって呟いた。
しかし、これがいけなかった。
私の土魔法が起こした地響きは龍虫を刺激したのだ。
ゴゴゴゴ・・・と、周囲に振動させながら、地面を掘り起こして龍虫がナタリアたちのすぐ目の前に顔を見せたのだった。
「な、なんだよ・・・これ。」
地面から突き出た龍虫の頭部は2階建ての家の屋根よりも遥かに高い位置にあった。
それを見てアルバートが反射的に叫んだ。
「こちらに逃げろっ!! ナタリアっ!
それは同族食いだっ!!」
猛スピードの馬で駆けるナタリアたちと違って俺達はゆっくり走ることを心掛けた。
「ローニャ、ゆっくり行こう。村まで走らせた後だから、馬を酷使したくない。
だが、これは逆にナタリアたちの反感を買わなくて済みそうだ。」
「・・・ですわね。
あまり先を急ぐとそれこそナタリアの獲物を取ろうとしていると思われかねないですもの。」
俺達は顔を見合わせてクスッと笑いあうと、あえてゆっくりと馬を走らせるのだった。
そうして俺達が龍虫がよく出現するという街道に到着した時、ナタリアたちは既に地面を叩いて振動を起こし、龍虫を誘っていた。
「ナタリア。無計画に刺激してはダメだ。
すぐに襲われないように岩場に近いところで誘い出せ。」
敵から身を護る場所がない平坦な場所で地面を叩いていたナタリアたちを見かねて思わず俺が助言すると、ナタリアの女たちが目をむいて怒ってきた。
「お黙りっ!! お姉様には考えがあるのよっ!」
「そうよっ!! ワームが動き出したら地面が盛り上がる。私たちはその時に土魔法で岩場を作って身を守るのよっ!!」
・・・う。良い作戦だ。
「彼女たちも無策と言うわけではないらしい。ローニャ、ここはお手並み拝見といこう。
君の土魔法で私たちの足下に岩場を作れるかい?」
「できるけど、一日で使える魔法の使用回数が減ってしまいますよ?」
「かまわない。どのみち必要な処置だ。」
「わかりました。アルバート様。」
俺はアルバートの指示に従って、下から龍虫に丸呑みされないための防御処置として地面に岩場を作る。
地面に手を当てて土精霊の加護を願った。
「おお、頑強なる巌の戦士、我が友ベヒーモスよ。
光と敵対する悪より我が身を守る楯をお与えください。
私は光の忠実な従者。古来の契約に従って御身の加護をお与えください。
岩の足場をお与えください・・・」
俺の詠唱が終わるとすぐに地鳴りと共に俺とアルバートの辺り一帯が岩場となった。
それはあまりにも巨大な岩場だったので、それを見たナタリアたちが声を上げて驚いた。
「ああっ! お、お姉様見てっ!! ローニャがあんなに巨大な岩場をっ!!」
「なんて土魔法なのっ!? あれなら私達も隠れられますっ!」
「ロ、ローニャ・・・あんた、一体何者なのさっ!!」
彼女たちとともにアルバートも呆れたように
「なんとね・・・。話には聞いていたが、呆れたな。
まさにLV.5の精霊魔法だ。」とせりあがった岩場の頂点で私に向かって呟いた。
しかし、これがいけなかった。
私の土魔法が起こした地響きは龍虫を刺激したのだ。
ゴゴゴゴ・・・と、周囲に振動させながら、地面を掘り起こして龍虫がナタリアたちのすぐ目の前に顔を見せたのだった。
「な、なんだよ・・・これ。」
地面から突き出た龍虫の頭部は2階建ての家の屋根よりも遥かに高い位置にあった。
それを見てアルバートが反射的に叫んだ。
「こちらに逃げろっ!! ナタリアっ!
それは同族食いだっ!!」
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