あばずれローニャ

黒神譚

文字の大きさ
53 / 150
第4話

初めての共同作業 11

しおりを挟む
3日の移動を終えて龍虫ワームが出るという村にたどり着いた時、俺の乙女としてのプライドはズタズタに引き裂かれていた。
夜は拘束してから失神させられるという地獄のような状態なのだ。こんな屈辱的なことがあるだろうか?
しかも・・・ちょっと縛られるのが楽しみになっちゃったし・・・。
ううっ、俺、どうなっちゃうんだろう?

そんな俺の気も知らずアルバートは村の住人に気安く話しかけて俺達の事情を説明した。
村人は「ああ、そのお話なら1日前に到着されたナタリア様より伺っております」と言って、俺達を尊重の所に案内してくれた。

「1日前に到着してる?」

「ああ、ナタリア嬢に先を越されたらしいな。
 きっと馬に無理をさせて移動時間を多くしたんだろう。無茶をする。」

アルバートと俺はナタリアの勝負への執着に呆れながら、村長宅へと向かった。
そして案内された村長宅でナタリアたちと再会した。
村人が村長の家人に俺達が来たことを伝えた時、村長と一緒に出迎えに来たのだ。

「遅かったな、アバズレと色男。アタイ達は1日前に到着したよ。」

自慢げにそういうナタリアに俺は「知っている」とだけ答えた。
だが、アルバートは「しかし、龍虫はまだ倒してはいないようだね」なんて煽った。
・・・やっぱり、意外と喧嘩好きな性格してるのよね。

案の定、その一言で怒ったナタリアが目をむいて「・・・なんだってぇっ!?」と声を上げたので村長が慌てて俺達に挨拶した。

「こ、これは神官騎士様。冒険者様。遠いところをわざわざ来ていただきましてありがとうございます。
 わ、龍虫退治は勝負と聞いておりますが、ひとまず両者同士は一つ穏便に願います。」

村長にこう言われてしまってはナタリアもそれ以上は何も言えない。
そうして村長が俺達に龍虫が出没する場所を説明することも止めることができなかった。
村長の話によると最近、村人が畑仕事を恐れ近づかないので、もっぱら街道に出現するのだとか。しかし襲われ生き残った者も逃げるのに必死で龍虫の特徴などは何も覚えてはいなかったそうだ。つまり、情報が少ない。
そして、その情報の少なさはナタリアたちにとって最悪の状態を招くのだった。

最悪の状況に陥ることを危惧したアルバートは一つの提案をした。

「ナタリア。共に街道に向かおう。その方がフェアに勝負ができる。」

「ああんッ!? うまいこと言ってアタイ達の獲物を横からかっさらおうなんて思ってないでしょうねっ!?」

ナタリアは猛反発したが、先制攻撃のチャンスはナタリアたちに譲るとアルバートが言ったことでどうにか衝突は収まった。

「アタイ達は今すぐ村を出る。あんたたちはどうするのさ?」

「無論、共に行く。」

俺が口を挟む隙も無くアルバートとナタリアだけで会話は成立してしまった。
そんな俺を見てナタリアは
「男の影に隠れて、情けなくないのかいっ!?」などと、なじってきたけど別にかまわない。
だって、こういうことは男の人に任せた方が楽だもん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...