黒猫館 〜愛欲の狂宴〜

翔田美琴

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第十三夜 地獄の窯にて

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 鮎川直美様から愛欲の奴隷の印の黒い首輪を着けられた俺は、ここが到達点ではなく入口という事は、そんなに考えてなかった。
 しかし、その地獄の窯から脱出するにも俺達の監獄は扉は鉄製の扉で基本的に閉じ込められている。
 出入り口はその鉄製の扉のみ、そこから上に登る階段も一箇所のみ──徹底的に単純に作って脱走経路を無くす方向で地下室を作ったのだなって感じた──。
 今が昼間なのか、それとも夜なのか、ここでは区別はつかない。だが気温で何となく今は昼間か夜中くらいは判別は付きそうだ。
 ボロボロの長袖シャツに、麻布のズボンに、足にはボロボロでも靴下を支給されている俺達は、風呂や食事は一日に一度。
 風呂というかシャワーだが、直美や雪菜もそんな不清潔な男達とは愛を交わしたくはないだろう。それだけは保証はされていた。
 彼らの中にはどうにかここから脱出出来ないかを模索している男達も当然いる。
 一方で、その後の暮らしを考えて、むしろこのまま、愛欲の拷問を仕事にして陽の光が差さないここで過ごしていくか──と考える男達も当然いる。
 どちらが正解かは、その人の考え方次第。
 今の俺は──とりあえずはまずは、ここに適応する事にした──。
 焦ってもしかたない時もある。
 辛抱強く待つ事も人生を決める時には必要である。
 こんな場所でそれを学ぶとは考えてなかったが、こんな経験もなかなか出来ない。
 自身が成長するなら、逆境をバネにするくらいの気合いは必要だろうと思う。
 今は焦るべきではない──牙を鋭く研ぐ時間なのだ──。

 ここには直美様と雪菜様が不規則で現れる。そしてその日の気分で、男達を複数人呼ぶ時がある時と、一人だけを呼び出す時がある。
 ほぼ皆が変わる代わるに呼ばれて、監獄に戻ってくる時は精力を搾り取られてフラフラになって戻ってくる。
 選ばれた『人間』達だけあり、この監獄に入れられている男達は鋼鉄みたいな精神力を持っている。
 他の外の世界では、昨日も、今日も、毎日の如く、誰かが生贄になってしまっている。
 その映像シーンを目撃しないだけでも幸運かもしれない。そこでは血が舞っているというのだから──。

 そんな時に──雪菜様が鉄の鍵を開けて監獄に入ってきた──。
 そして悠然と男達を見定めると俺に眼を向けて告げた。

「今夜は松下さん、あなたと過ごしたいわ。亜美。やりなさい」

 連れて行かれる時は、鉄の手枷を着けられる。
 それは鎖で繋がれていて、ジャラジャラと鎖が絡まる音が響く。
 そうして、俺を性の玩具にするべく、とある部屋へ連れて行かれるのであった。
 周りを観ながら地下室の世界を鎖に繋がれながら垣間見る。外の世界は全裸で、放置されつつ、鞭などで玩弄されているように見える。
 空気の匂いは人間の血の匂いが微かに漂っているようだ──それと排泄物の臭い匂いも。
 せめて、排泄する所くらいは用意しろよ──臭くてしかたない。
 黒猫館の地下の世界は広くて深い闇の世界だ──。堕ちて数日の俺にはまだ全容は把握しきれていない。
 そして、今夜、俺が案内されてしまった部屋は──珍しくベッドがある部屋だった。
 ベッドの造り自体は金色の装飾のベッドだった。シーツは真っ赤な布で、大きな枕もまるで血の赤のような色だった。
 雪菜様は得意気に自慢する。

「このベッドね、特別に作らせたの。表の世界では戦争中にこんな物を使うとはしたないなんて云われるけど、ここはことわりが崩壊した世界。だから変に気後れする事もなく使えるわ」

 そのベッドに俺は乱暴にドンッと放り投げられる。鉄の手枷をしたまま、クイーンサイズのベッドに寝かされた。
 そして服を剥ぎ取られる。
 雪菜様の今宵の服装は黒いドレス。
 レースがふんだんに使われた特注品だろうか。
 すると俺に乗りかかる雪菜様は手枷の鎖を外して、別の手枷に直ぐ様、手首を填められる。
 両腕を上に挙げられて、抵抗が出来ない。
 雪菜様の歪んだ性癖が牙を剥いた──。

「一度、あなたをこうして見たかった。逞しい身体をこうして自由に弄んで見たかったの……! ハアッ……ハアッ……素敵……感じる? 松下さん」

 雪菜様はレースの黒いドレスを自ら剥ぐと、全裸で伸し掛かり、下半身の花びらを俺の身体を撫でる。
 そこで感じる花の芯の擦る感覚に歓喜の叫声を上げる。
 俺の身体に雪菜様の愛の蜜がネットリ絡まる。いやらしい音が聴こえて──俺に打ち込まれた媚薬が疼き始めた。
 だんだんと下半身が興奮を覚えて、鎌首をもたげる。
 雪菜様はそのモノを花びらで触れて、自ら擦り感じている──。
 そして端でその行為を観るように命じられていた亜美に言った。
 
「亜美? 観ている? あなたも自分で自慰オナニーをしなさい? きちんと私に見えるようにね」
「はい──」

 メイド服を遠慮しがちに脱ぎ捨てると、大股開きに花びらを開くと煉瓦の床に寝転び、指で自慰オナニーを始めた。

「アン! アン! 雪菜様ぁ! 松下さぁん! 私をいじめてぇ……! 快楽をください……! あハァ…アウッ……嫌ぁ」
「良い光景ね──ハアッ…アウッ……どう? 気持ちいいでしょう? あなたを求める女がいながらする──愛欲は?」
「うアッ…アウッ……早く、突っ込んでください」
「ダメよ──あなたのコレ、最高だもの──」
「アウッ! アウッ! 雪菜様ぁ! 雪菜様ぁ!」

 亜美さんが激しく花びらを自らの指でかき混ぜている──。それを放置して雪菜様は俺の分身で遊んで、玩弄を始めた──!

「ああ──入れたい……! 入れたい! あなたをめちゃくちゃにして、愛欲を搾りたい!」
「あうっ──っ!」

 無理矢理、俺を花びらに入れると乱暴に腰を揺さぶり始めた──!
 どうにか眼を開けると全裸で快楽を貪る雪菜様の顔が涎で塗れている。
 手を観ると革の鞭が握られていた。それを首に回してきた──!
 
「ぐあっ……! ああっ……! く、苦しい……!」
「ああ……最高、あなたのコレがもっと勃って滾っている──!」

 革の鞭で首を絞めながら、雪菜様はさらなる快楽を搾り取らんと、腰を揺さぶる。
 俺は叫び声を上げながら、上がりたくもない絶頂に昇り詰めて──愛欲の生贄にされる──。
 狂った性の饗宴は何時間も続き──俺はまた監獄に閉じ込められる。
 世界がグルグル回って、意識が既にヤバい。
 俺は監獄でとうとう意識を手放して、暗闇へ──落ちていった──。
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