君は愛しのバニーちゃん

邪神 白猫

文字の大きさ
上 下
21 / 26

それは、愛の結晶

しおりを挟む



 俺はそっと鞄の中に手を入れると、そこに忍ばせていた小さな箱を掴んで美兎ちゃんの様子をうかがった。
 『カテキョ』の時間も無事に終わり、恒例である山田の散歩へと来ている俺達。公園のベンチに腰掛けている俺の視界に映るのは、無邪気に山田と戯れている美兎ちゃんの姿。

 俺はそんな光景を前に覚悟を決めると、ドキドキと高鳴る胸を抑えて立ち上がった。右手に収まる小さな箱をキュッと握りしめると、ゆっくりとした歩みで美兎ちゃんへと近付いてゆく。
 目の前に見える美兎ちゃんがおもむろに腰を下ろしたのを確認すると、俺はそんな美兎ちゃんの背後でピタリと足を止めた。


「……っみ、美兎ちゃん」


 そう声を掛ければ、山田のうんち片手に後ろを振り返った美兎ちゃん。山田の空気の読めなさ加減には若干イラッとするが、それすらも凌駕りょうがしてしまう程に可愛い“うんちwith美兎ちゃん”。
 
 
(グフゥッ♡    っ……なんて可愛いんだッッ♡♡♡♡)
 

 真っ赤なコートに白いモコモコのマフラーを巻いた美兎ちゃん。その破壊力は凄まじく、例えその手にあるのが”うんち”ではなく”生首”だったとしても、その神々しいまでの美しさは引けを取らない。
 そう──決して汚されることはないのだ。


「これ、少し遅くなっちゃったけど……クリスマスプレゼント。誕生日も近いからそれも兼ねて」


 そう言いながら手の中の小さな箱を差し出せば、驚きに瞳を大きく見開いた美兎ちゃん。


「えっ? プレゼント?」

「うん。気に入って貰えるといいんだけど」

「ありがとう、瑛斗先生!」


(ハグゥゥ……ッッ♡♡♡♡)


 あまりの可愛さに危うく昇天しかけながらも、満面の笑顔を咲かせる美兎ちゃんを見つめて顔面をとろけさせる。

 俺の手から小さな箱を受け取った美兎ちゃんは、ワクワクと瞳を輝かせると早速その蓋を開いた。そこから現れたのは、赤いガーネットの石が付いた小さなハート型のピアス。
 ガーネットは、1月生まれの美兎ちゃんの誕生石。石言葉は『一途な愛』。俺の気持ちそのままだ。


「……わぁ~っ! すっごく可愛い!」

「少し早いけど、高校生になったら美兎ちゃんピアス開けるって言ってたから」


 とても嬉しそうにキラキラと瞳を輝かせている美兎ちゃん。どうやら俺の『一途な愛』に感動しているようだ。

 現在、中学3年生である美兎ちゃん。当然ながら真面目な美兎ちゃんがピアスホールなど開けているわけもなく、残念ながら今すぐに”俺の愛”を身にまとうことはできない。
 だけど、もう少し大人になったその時には──その【貫通式】は是非とも俺に任せて欲しい。


(優しくするからね♡    グフフフフッ♡♡♡♡)


 抑えきれないアダルトな妄想に取り憑かれた俺は、鼻の下を伸ばすと不気味に微笑む。これもひとえに、美兎ちゃんへの『一途な愛』故なのだから仕方がない。
 この石が持つもう一つの意味である”繁栄”という言葉のように、俺は美兎ちゃんとの愛を育み繁栄させたいのだ。


「早くピアスしたいな~。やっぱり痛いのかなぁ?」



 ────!!!?



(な……っ、ななな、なんだって!!!? 早く貫通されたいだなんて!! うさぎちゃん……っ、君はなんてスケベなんだっっ♡♡♡♡)


 もはやアダルトな妄想が止まらない。乱れる呼吸とともにズキズキとうずき始めた俺の股間。


「っ……、大丈夫だよ(優しくするから♡)」

「瑛斗先生は痛くなかった?」

「うん、痛くなかったよ(貫通する側だし)」

「沢山開いてるもんね、瑛斗先生。ミトは1つずつでいいかなぁ……怖いもん」

「ハハッ。大丈夫大丈夫、怖くないよ(何度だって貫通してあげる♡)」


 容赦なく続く美兎ちゃんからのエッチな言葉責めに、俺の股間はもはや爆破寸前。どうやら天使のように愛らしい俺の美兎ちゃんは、とんでもなくドSな小悪魔ちゃんらしい。


「早く高校生になりたいなぁ~。瑛斗先生、本当にありがとうっ! ミト、受験頑張るねっ!」



 ────!!!? 



 俺に向けて、笑顔で頑張ると宣言した美兎ちゃん。
 それはつまり──俺との子作りを頑張るということ!?♡!?♡


(グハァァァアアーーッッ!♡♡!♡♡!♡♡!♡♡    ……っ、なんて積極的なスケベちゃんだッッ♡♡♡♡    今すぐ押し倒したい!!!!)


 俺としてはもう少しゆっくりと愛を育んでいきたかったが、頑張ると言われてしまった以上俺が頑張らないわけにはいかない。


「っ、うん♡(俺も子作り頑張る♡)」


 素敵な妄想に囚われ、爆破寸前の股間をモジモジとさせて身悶える俺。あとほんの少しでも刺激されようものなら、この場で今すぐ美兎ちゃんを押し倒してしまいそうだ。


「ちょ、……ちょっと俺、ベンチに戻るね」

「うんっ」


 そう美兎ちゃんに告げると、押し倒す前にベンチへと戻ってきた俺。美兎ちゃんからの誘惑を断るのは忍びないところだが、いきなり野外プレイとは流石にハードモードすぎる。
 一歩間違えなくとも危うく犯罪者になるところだった。


(全く……困った小悪魔ちゃんだぜ♡)


 フーッと大きく息を吐くと、山田と戯れている美兎ちゃんの姿を眺める。こんな俺だが、その石に込めた想いに嘘偽りなど一切ないのだ。
 美兎ちゃんへの想いは、間違いなく『一途な愛』。そしてこのアダルトな想いもまた、嘘偽りのない俺の想い。
 だって俺、男だし。


(……楽しみだね♡    うさぎちゃんっ♡ ♡♡♡)


 どうやらベンチで休憩するぐらいでは俺の妄想は収まらないらしい。
 溢れ出る想いにニヤリと不気味に微笑む。その顏は、もはや『ロリコン変態野郎』全開だ。


「グフッ♡    ……グフフフフッ♡♡♡♡」


 堪えきれなくなった笑い声が、ついに俺の口元から小さく溢れ出る。そんな俺の姿を見て、時折通りがかる親子連れが不審そうな目を向ける。
 このままではいつ通報されてもおかしくはない。そうは思うものの、膨らむ妄想と不気味な笑い声は止められそうもない。


(美兎ちゃん……。俺……っ、捕まったらごめん……)


 俺の純粋な想いとよこしまな想いを兼ね備えた、ガーネットという名の”愛の結晶”。
 それを身に付ける美兎ちゃんの姿を想像しながら、俺は1人、ベンチの上で不気味な笑い声を響かせながら悶絶するのだった。
 



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...