君は愛しのバニーちゃん

邪神 白猫

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それは、愛の結晶

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 俺はそっと鞄の中に手を入れると、そこに忍ばせていた小さな箱を掴んで美兎ちゃんの様子をうかがった。
 『カテキョ』の時間も無事に終わり、恒例である山田の散歩へと来ている俺達。公園のベンチに腰掛けている俺の視界に映るのは、無邪気に山田と戯れている美兎ちゃんの姿。

 俺はそんな光景を前に覚悟を決めると、ドキドキと高鳴る胸を抑えて立ち上がった。右手に収まる小さな箱をキュッと握りしめると、ゆっくりとした歩みで美兎ちゃんへと近付いてゆく。
 目の前に見える美兎ちゃんがおもむろに腰を下ろしたのを確認すると、俺はそんな美兎ちゃんの背後でピタリと足を止めた。


「……っみ、美兎ちゃん」


 そう声を掛ければ、山田のうんち片手に後ろを振り返った美兎ちゃん。山田の空気の読めなさ加減には若干イラッとするが、それすらも凌駕りょうがしてしまう程に可愛い“うんちwith美兎ちゃん”。
 
 
(グフゥッ♡    っ……なんて可愛いんだッッ♡♡♡♡)
 

 真っ赤なコートに白いモコモコのマフラーを巻いた美兎ちゃん。その破壊力は凄まじく、例えその手にあるのが”うんち”ではなく”生首”だったとしても、その神々しいまでの美しさは引けを取らない。
 そう──決して汚されることはないのだ。


「これ、少し遅くなっちゃったけど……クリスマスプレゼント。誕生日も近いからそれも兼ねて」


 そう言いながら手の中の小さな箱を差し出せば、驚きに瞳を大きく見開いた美兎ちゃん。


「えっ? プレゼント?」

「うん。気に入って貰えるといいんだけど」

「ありがとう、瑛斗先生!」


(ハグゥゥ……ッッ♡♡♡♡)


 あまりの可愛さに危うく昇天しかけながらも、満面の笑顔を咲かせる美兎ちゃんを見つめて顔面をとろけさせる。

 俺の手から小さな箱を受け取った美兎ちゃんは、ワクワクと瞳を輝かせると早速その蓋を開いた。そこから現れたのは、赤いガーネットの石が付いた小さなハート型のピアス。
 ガーネットは、1月生まれの美兎ちゃんの誕生石。石言葉は『一途な愛』。俺の気持ちそのままだ。


「……わぁ~っ! すっごく可愛い!」

「少し早いけど、高校生になったら美兎ちゃんピアス開けるって言ってたから」


 とても嬉しそうにキラキラと瞳を輝かせている美兎ちゃん。どうやら俺の『一途な愛』に感動しているようだ。

 現在、中学3年生である美兎ちゃん。当然ながら真面目な美兎ちゃんがピアスホールなど開けているわけもなく、残念ながら今すぐに”俺の愛”を身にまとうことはできない。
 だけど、もう少し大人になったその時には──その【貫通式】は是非とも俺に任せて欲しい。


(優しくするからね♡    グフフフフッ♡♡♡♡)


 抑えきれないアダルトな妄想に取り憑かれた俺は、鼻の下を伸ばすと不気味に微笑む。これもひとえに、美兎ちゃんへの『一途な愛』故なのだから仕方がない。
 この石が持つもう一つの意味である”繁栄”という言葉のように、俺は美兎ちゃんとの愛を育み繁栄させたいのだ。


「早くピアスしたいな~。やっぱり痛いのかなぁ?」



 ────!!!?



(な……っ、ななな、なんだって!!!? 早く貫通されたいだなんて!! うさぎちゃん……っ、君はなんてスケベなんだっっ♡♡♡♡)


 もはやアダルトな妄想が止まらない。乱れる呼吸とともにズキズキとうずき始めた俺の股間。


「っ……、大丈夫だよ(優しくするから♡)」

「瑛斗先生は痛くなかった?」

「うん、痛くなかったよ(貫通する側だし)」

「沢山開いてるもんね、瑛斗先生。ミトは1つずつでいいかなぁ……怖いもん」

「ハハッ。大丈夫大丈夫、怖くないよ(何度だって貫通してあげる♡)」


 容赦なく続く美兎ちゃんからのエッチな言葉責めに、俺の股間はもはや爆破寸前。どうやら天使のように愛らしい俺の美兎ちゃんは、とんでもなくドSな小悪魔ちゃんらしい。


「早く高校生になりたいなぁ~。瑛斗先生、本当にありがとうっ! ミト、受験頑張るねっ!」



 ────!!!? 



 俺に向けて、笑顔で頑張ると宣言した美兎ちゃん。
 それはつまり──俺との子作りを頑張るということ!?♡!?♡


(グハァァァアアーーッッ!♡♡!♡♡!♡♡!♡♡    ……っ、なんて積極的なスケベちゃんだッッ♡♡♡♡    今すぐ押し倒したい!!!!)


 俺としてはもう少しゆっくりと愛を育んでいきたかったが、頑張ると言われてしまった以上俺が頑張らないわけにはいかない。


「っ、うん♡(俺も子作り頑張る♡)」


 素敵な妄想に囚われ、爆破寸前の股間をモジモジとさせて身悶える俺。あとほんの少しでも刺激されようものなら、この場で今すぐ美兎ちゃんを押し倒してしまいそうだ。


「ちょ、……ちょっと俺、ベンチに戻るね」

「うんっ」


 そう美兎ちゃんに告げると、押し倒す前にベンチへと戻ってきた俺。美兎ちゃんからの誘惑を断るのは忍びないところだが、いきなり野外プレイとは流石にハードモードすぎる。
 一歩間違えなくとも危うく犯罪者になるところだった。


(全く……困った小悪魔ちゃんだぜ♡)


 フーッと大きく息を吐くと、山田と戯れている美兎ちゃんの姿を眺める。こんな俺だが、その石に込めた想いに嘘偽りなど一切ないのだ。
 美兎ちゃんへの想いは、間違いなく『一途な愛』。そしてこのアダルトな想いもまた、嘘偽りのない俺の想い。
 だって俺、男だし。


(……楽しみだね♡    うさぎちゃんっ♡ ♡♡♡)


 どうやらベンチで休憩するぐらいでは俺の妄想は収まらないらしい。
 溢れ出る想いにニヤリと不気味に微笑む。その顏は、もはや『ロリコン変態野郎』全開だ。


「グフッ♡    ……グフフフフッ♡♡♡♡」


 堪えきれなくなった笑い声が、ついに俺の口元から小さく溢れ出る。そんな俺の姿を見て、時折通りがかる親子連れが不審そうな目を向ける。
 このままではいつ通報されてもおかしくはない。そうは思うものの、膨らむ妄想と不気味な笑い声は止められそうもない。


(美兎ちゃん……。俺……っ、捕まったらごめん……)


 俺の純粋な想いとよこしまな想いを兼ね備えた、ガーネットという名の”愛の結晶”。
 それを身に付ける美兎ちゃんの姿を想像しながら、俺は1人、ベンチの上で不気味な笑い声を響かせながら悶絶するのだった。
 



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